新種牡馬オルフェーブルの評価を高めるためにも負けられない戦い――。
2017年12月10日、阪神競馬場で阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神JF/GI/芝 1600m)が行われる。アルテミスS(GⅢ/芝1600m)を制したラッキーライラックにはGI制覇の期待が集まる。
しかし、同じくオルフェーブル産駒の札幌2歳S(GⅢ/芝1800m)覇者ロックディスタウン、ファンタジーS(GⅢ/芝1400m)で優勝したベルーガなど、強豪が犇めき合う難しい一戦である。
今回はラッキーライラックが阪神JFに臨む上での期待と不安について考察していこう。
目次
期待① 抜群のレースセンス
前走アルテミスSで綺麗なスタート、ある程度流れるスピードでの追走、そして良い脚を長く使う持続力と、非凡なセンスを見せつけた。
新馬戦では序盤緩いペースで進み、早仕掛けのロングスパートで差し切り勝ちだったが、アルテミスSのような流れたペースにも対応できることやそこから上がり最速で差し切れることが証明された。
ある程度流れることが予想される阪神JFだが、序盤から中盤のペースに削がれることなく、これまで通りのレースができれば勝ち負けできる可能性は少なくない。
期待② 輸送なしでの出走
これまでラッキーライラックは新潟、東京と輸送を経験してきた。2戦ともに快勝しているため、輸送を苦手とするタイプではないのは確かだが、関西圏での出走はプラスに働くことが期待される。
美浦所属のロックディスタウンは長距離輸送が必要であり、激しい戦いが予想されるオルフェーブル産駒の2頭だが、この点においてはラッキーライラックにアドバンテージがある。
不安① 石橋脩騎手の手腕
ラッキーライラックには新馬戦から継続騎乗している石橋脩騎手が跨る。有力馬は外国人騎手に乗り替わるのが日本競馬界の常となりつつあるが、GIのこの舞台でも石橋騎手が継続騎乗することがどう影響するのかが大きなポイントになる。
石橋騎手のGI成績は1-1-1-39という結果である。決して好成績とは言えないこの数字をどう評価するべきか。阪神GIに絞ると0-0-0-4と馬券に絡むことができていないことも不安要素だ。
しかし、ラッキーライラックはスタートが非常に上手く、楽に好位につけることができる。この機動力の高さは大きな強みであり、内で脚を溜めて馬群を捌くなど、難しい騎乗をする必要がない。
いまいちGIでの成績が振るわない石橋騎手だが、この鞍上が関西圏でどこまで通用するかについて注目してみるのも面白い。
まとめ
デビューから2連勝で出世レースと位置付けられたアルテミスSを制したラッキーライラック、前走非常に高いパフォーマンスで勝利を収めたことから、ここでも勝算は十分ある。
さらに相手の上がる阪神JFでどのような競馬を見せるのか。騎手の手綱捌きに不安が残るものの、必ずしも難しい騎乗を必要としない同馬はそんな問題を物ともしない可能性さえある。
ラッキーライラックは、後ろから突っ込んでくる馬を振り切って2歳牝馬の 頂点に立つことができるだろうか。