2020年12月27日、中山競馬場で有馬記念(GⅠ/芝2500m)が行われる。今回は過去のデータやレース傾向を振り返り、当レースの危険な人気馬を予想していく。
馬券を買う上で特に重要なのは「どの馬を買うか」ではなく「どの馬が消しか」を見極めることだ。
人気馬を「買わない」と判断できれば、余った資金を軸馬の買い足しや穴馬の追加購入に回すことができる。そして人気馬が馬券圏外になれば配当が跳ね上がる。
「人気だから押さえようかな」と毎回人気馬を買ってしまうと回収率は落ちていく。だからこそ「買わない人気馬」を見つけることがカギになってくるのだ。
果たして、人気が想定されるクロノジェネシス、フィエールマン、カレンブーケドール、ラッキーライラック、ワールドプレミアらの中で危険なのはどの馬なのか。しっかり考察していこう。
過去10年のデータを参考にする。
目次
有馬記念の人気馬成績
過去10年のデータを見ると、1番人気は5勝、2着は2回、3着は1回。あのアーモンドアイですら惨敗した有馬記念、人気だから勝てるほど甘くはない。
時折リピーターがやってくるレースであり、伏兵馬の一発もあることから、ここは取捨選択を慎重に行いたい。
ではここからは注目のデータをピックアップして紹介していこう。
予想参考データ① 牝馬の取捨選択
今年だけで5頭も参戦するなど2020年は牝馬が席巻した年だった。2008年ダイワスカーレットが久しぶりの牝馬の勝利だったが、去年のリスグラシュー、ジェンティルドンナと肩を並べる馬も出てきた。
ブエナビスタ以外の馬はこのレースがラストランだったというのがあるが、それ以外で見ていくと、クイーンズリング以外は中山初参戦、そして京都や東京、阪神で勝利経験があった。
カレンブーケドールは東京と中山でしか勝ち星がなく阪神すら行ったことがない。あとはサラキアが該当していないぐらいで、結構牝馬の有力馬は過去に好走した牝馬の条件を満たしている。
予想参考データ② 前走菊花賞かジャパンカップか
前走別の成績では断然菊花賞組では、10頭中7頭が3着以内に絡み、4勝している。また古馬勢で有力なのはジャパンカップ組。ただ頭数が圧倒的に多いので注意したい。
菊花賞組だが、勝ち馬か2番人気までの馬か、このいずれかである。惨敗からの巻き返しではトゥザワールドがいるが、当時2番人気。今年も登場するブラストワンピースは1番人気だった。実はバビットは菊花賞3番人気と非常に微妙。辛く攻めるなら切っていいが、1番枠となればヒモに入れても損はないはずだ。
ジャパンカップ組は5番人気以内か3着まで、もしくは1秒以内の負け、このいずれかに該当した馬が狙い。ワールドプレミアはギリギリ引っかかった形だが、ほぼ1年の休み明けであることは加味したい。
予想参考データ③ それぞれの馬の前走レベル
天皇賞秋のタイムはそこまで強調するものではなかったが、アーモンドアイがジャパンカップで勝っており、評価されてしまうかもしれない。天皇賞秋組で勝った馬はおらず、2着が2頭だけ。しかし、クロノジェネシスもフィエールマンも前走がベストな条件とは言えず、アーモンドアイと状況は同じようなものだった。危険とまで踏み込めないのが実情か。
ジャパンカップの勝ちタイムはそれなりのものだったが、これはキセキの大逃げによるもので、2年前と比べてしまうとやや見劣りするといってもいい。レースとしては感動を呼んだが、中身まで精査するとどうか。1990年の有馬記念でオグリキャップが勝ったが、タイムは平凡だった。
エリザベス女王杯は実質秋の宝塚記念の様相を呈した。今年の宝塚記念は稍重だったので比較できないが、エリザベス女王杯のタイムはとても優秀。ラッキーライラックの敗因は春3戦目が原因で、2戦目なら勝負になるか。
アルゼンチン共和国杯は、平均的なタイムかやや遅めという感じか。そもそも登場した馬のレベルがさほど高くないため、オーソリティが穴人気をするようなら警戒するべきだろう。
2020年の危険な人気馬は?
カレンブーケドールは人気になる見込みだが、2着続きの馬ならではのジレンマに悩まされることを考慮するべきだろう。馬場が渋ればチャンスだろうが、天気が崩れる感じではない。池添謙一騎手の代打騎乗は魅力だが、それ以上に津村明秀騎手が合っていた感はあり、ここでのスイッチはさほどプラスにはならないのではないか。有馬記念の好走条件に合致せず、危険な人気馬の一頭になりそうだ。
また、フィエールマンは2つ目の消しデータに合致している。前走は福永祐一騎手のファインプレーだと思うが、そもそも3000メートル以上で3勝しており、その中間で勝てていない。去年のAJCCで敗れ、有馬記念もたとえ凱旋門賞直後だったとはいえ馬券圏内にも入れていないのはどうか。中山が実は苦手という可能性もあるのではないか。
反対にワールドプレミアは危険なデータに一つも当てはまらない。ほぼ1年の休み明けでジャパンカップは健闘した。菊花賞馬は有馬記念に強く、去年は3着。叩き2戦目万全の状態で迎えられるとなれ、人気も落ち着くようなら面白い。怖いのはブラストワンピースだ。人気馬の中で最も不安要素が少ないのが、ワールドプレミアと言えそうだ。