アーモンドアイの3冠濃厚ムードをユタカマジックが打ち砕くか――。
2018年10月14日、京都競馬場で秋華賞(GⅠ/芝2000m)が行われる。春のオークスでは13着と大敗したカンタービレだが、トライアルのローズSでは先行して他馬を封じ込める完勝劇を見せた。騎乗したルメール騎手が今回はアーモンドアイに乗るため鞍上が空白となっていたが、名手武豊騎手がその手綱を取ることになった。
鞍上のマジックが前提にはなるかもしれないが、カンタービレ自身も春からの成長を見せている。
メンバー的にも打倒・アーモンドアイのチャンスが有るのはこの馬しかいないと編集部担当は読んでおり、今回はその3つの理由について迫っていくことにしたい。
目次
理由① 夏を挟んで一変?
フラワーカップを制して穴人気を集めて挑んだオークスでは、末脚勝負の流れに全く対応できず惨敗したカンタービレ。
しかし夏を挟んで、馬体面の成長とともにローズSでは高速上がり決着にも対応した。極端なスローになった新馬戦を除いた上がり3Fの推移を見てみよう。
未勝利戦 35.5 2着
未勝利戦 35.0 1着
フラワーC 35.1 1着
オークス 35.5 13着
(放牧)
ローズS 33.6 1着
といった具合である。ディープインパクト産駒では有るものの母父がガリレオであり、本来は持久力勝負に長けているはずの同馬。オークスでは明らかに上がりの限界に当たった印象だったが、ローズSでは一変して33秒台の末脚を先行して披露するという変わり身を見せた。
元来の強み(持久力)を考えればローズSの阪神外回り1800mから、今回の京都内回り2000mに変わるのはプラスであり、夏を越して早い上がりにも対応できる体勢が整ったとなれば、さらに強みを発揮してもおかしくはないだろう。
理由② 輸送がないのは確実な好材料
オークスの惨敗は上に挙げた上がり勝負になったという面もあるが、輸送が響いて仕上げきれなかったという印象も有る。
勝ったフラワーCも輸送があったものの、この時も余裕のあるローテーションながらも輸送減りでマイナス6キロであった。それを加味してオークスは控えめに馬を造ったと思われるが、今度は太めの残る10キロ増。
牝馬ということもあり、輸送が有ると仕上げにくいタイプかもしれない。今回は地元での競馬で万全の仕上げだろう。
厩舎(中竹厩舎ではあるが、実質角居厩舎)もサトノワルキューレという大将格を送り出せなかった今、この馬にかける思いは強いだろう。
理由③ 臨戦過程に妙味あり
今年のローズSは、春のクラシック好走組が軒並み出走しないという例年にはない事態となっていた。その点、メンバー的に恵まれたのは間違いないことだが、それだけオークス好走の反動は少なくなかったのだろう。
オークス好走組を見ると、勝ったアーモンドアイも予定通りとは言え、2冠馬がぶっつけで最終の3冠目のレースに挑むというのは例がない。
2着のリリーノーブルも故障、3着のラッキーライラックも予定が狂い今回はぶっつけでの参戦だ。
これら3強とそれほど差のないレースを続けていたオークス5着のマウレアも結果として秋華賞には使えず。6着だったサトノワルキューレもマウレア同様、前哨戦でダメージを負ってしまう有様だ。
そういった点では、カンタービレは負担の多いオークスで無理をせずアッサリ惨敗したことで、この夏の成長、順調にローズSを使えて今回も出走できるという見えないアドバンテージがあったのかもしれないと思わせる。
まとめ
武豊騎手が空いていた事、そして自身の成長、そして近年にはない異様なローテーションで望む馬が多い中順調に使えている点を総合すると、アーモンドアイを打倒するにはこの馬しかいないという条件が揃っている。
すんなりスタートを決めて、先行集団から早めの上がりで抜け出せば……展開次第では一発があってもおかしくはないだろう。