2018年8月12日、札幌競馬場でエルムステークス(GⅢ/ダート1700m)が行われる。出走予定馬には、マーキュリーカップ連覇のミツバ、牝馬限定の地方交流重賞で連勝のアンジュデジール、大井に移籍し存在感を見せるリッカルドなどがいる。今年京都で開催のJBCなどを見据えた試金石になるレースとなりそうだ。
札幌競馬場で開催されたエルムステークス過去10回を見ても、実は逃げ馬が1着になったのは過去10回では1回もなく2着もない。しかし、3着は5回もあるなど、最後に甘さが出てしまうようなデータになっている。また上がり3ハロンで10位以下の馬は過去10回で1回も3着以内に入っていない。逃げた馬もそれなりに脚は使わないといけない表れである。
地方交流重賞で強い馬、活躍の場を求めて地方に行った馬、これから地方交流重賞などで活躍を期する馬など多くの馬がエルムステークスに出走を予定するが、危険な兆候を示す馬を見つけていきたい。
目次
データ① おじさんには不利?
年齢で見ていくと、5歳馬が過去10回で5勝を挙げるなど、かなりいい結果を出している。4歳馬が3勝、6歳馬が2勝となっており、7歳以上は2着こそあれど、勝ち星はない。その2着に入った7歳馬はこれまでに3頭いるが、いずれも実力馬である。グレープブランデーもエスポワールシチーもダートGⅠを制し、トーセンブライドは交流重賞4勝、中央のオープン特別で勝利するなど、最後まで息が長かった。
7歳馬にはリーゼントロックやリッカルドなどがいるが、リーゼントロックは重賞で1つ能力が足りない、リッカルドは南関東では相当強いが、中央では2年前のエルムステークス以外はパッとしない。おじさんには少々厳しいデータとなっている。
リッカルドの鞍上がルメール騎手の予定だが、どこまで通用するか。中央から地方へ活路を見出す馬が増えている中で、貴重なレースになりそうだ。
データ② 先行馬しか勝てない?!
驚くべきデータは脚質に関するデータだろう。先行馬が過去10回で7勝、2着は10回、すべてのレースで何かしらの先行馬が2着になっている。通過順を見ても、10番手以下だった馬は3着以内を見ても4頭しかいない。そのうちの3頭は上がり最速タイムだった。
後ろでレースをするにも上がり最速が求められる。うっかり出遅れたら最後である。出遅れ癖がある馬、後ろからのレースになる馬は注意だが、有力馬に先行馬が多い中で、ミツバのようにマクっていく馬は仕掛け所が難しい。マクリきれれば大きいが、果たしてどうか。
データ③ その他データあれこれ
前走の距離で見ると、同じ距離か距離短縮か、このどちらかに好走が目立つ。距離延長は1勝しかしておらず、岩手の水沢競馬場で行われたダート1400メートルのクラスターカップ
や中京のプロキオンステークスでの好走歴しかない。ダート1600メートルからの距離延長組は延べ11頭いながらすべて着外だ。アンジュデジールには嫌なデータだ。
アンジュデジールにとって嫌なデータはもう1つある。それが牝馬の成績だ。過去10回で延べ7頭しか出ていないのは驚きだが、いずれも着外に終わっている。しかも斤量は55キロと本来の斤量より1キロ重く、アローワンスの差は縮まっており、地方交流連勝の勢いが通じるか、少し微妙なデータである。
まとめ
人気馬はやや不安を抱えた馬が多く、ミツバはマクリが決まるか、リッカルドは年齢、アンジュデジールは牝馬と距離、こちらで引っかかる部分があった。その点、ハイランドピークは引っかかる部分はなかった。マーチステークスは最後方のレースとなり、話にならなかったが、元は前目でレースをする馬である。マリーンステークスでも安定した結果を残した。先週は横山武史騎手がオープン特別で勝利を収めたが、兄の横山和生騎手も続きたい。
最後に枠順のデータを見ると、有利になりそうな内枠はそこまで有利ではなく真ん中の枠からやや外、4枠から7枠までに良績が集まる。逃げが3着にしか残らない現状を見ると、これも当然か。小回りコースだから内枠でうまく回ってくればいいという発想では痛い目を見そうだ。好発を決められるのはどの馬か、そのスタンスで予想するのがいいだろう。