巻き返しなるか――。
2018年5月27日、東京競馬場で日本ダービー(GⅠ/芝2400m)が行われる。皐月賞馬のエポカドーロや皐月賞をパスして臨むダノンプレミアム、京都新聞杯を制したステイフーリッシュなどが出走を予定している。その中で大きな期待が集まるのがステルヴィオだ。
ステルヴィオの前走は皐月賞だったが、稍重で特殊なペースになっていく中で14番手を追走し、最後はキタノコマンドールやグレイルと一緒に上がり3ハロン最速のタイムで突っ込んできたが4着に終わった。位置取りの分だけ負けた格好だが、スプリングステークスではエポカドーロに勝利を収めていた。決して力負けということではなく、特殊な状況で難しいレースを迫られたというのが正しいかもしれない。
皐月賞は2番人気になり、結果は4着に終わったことで日本ダービーでの巻き返しが有力視されている。決して力負けではなかった事実もそれを後押しし、上位人気に支持される可能性もある。その一方で心配な点があるのも事実だ。ステルヴィオの強みと弱み、それぞれから日本ダービー制覇の可能性を占いたい。
目次
期待① 確実な末脚
日本ダービーのこれまでの傾向は上がり3ハロンのタイムが1位だった馬がそのまま1着になるケースや上位に食い込むことが多い。確実な末脚がある馬が日本ダービーを制覇する条件と言える。ステルヴィオの場合、皐月賞はキタノコマンドールとグレイルと同タイムではあったが1位になった。これまでのレースはいずれもメンバー中1位か2位で駆け抜けてきた。ここでもその可能性は高い。
先週のオークスのように、アーモンドアイが前目につけてこれまでと同じ脚を見せつけて完勝というのが理想的だ。ここで注意したいのが枠順だ。皐月賞もそうだったが、枠が外に行くと後手を踏む傾向にある。内に入れば多少前での競馬ができる。ステルヴィオがどの枠に入るのか、出来ればゲートの中で待ちにくい偶数番、それも3枠や4枠だと包まれにくくスッと出しやすい。そこにも注目だ。
不安① 血統面の不安
ステルヴィオはロードカナロア産駒だが、ロードカナロア産駒といえばアーモンドアイが2400メートルを影をも踏ませぬ完勝で駆け抜けてみせた。ロードカナロア産駒は父親がスプリンターということもあり2400メートルは持たないのではないかと言われていたが、その不安を一応は一蹴した形となった。鞍上のルメール騎手もアーモンドアイと同じであり、共通点は多い。
しかし、アーモンドアイの母親はフサイチパンドラである。フサイチパンドラはカワカミプリンセスの降着もあったがエリザベス女王杯を制し、牡馬に混じって札幌記念も制している。オークスでは2着に入るなど、距離実績があった。ここにロードカナロアのスピードが加わったことで2400メートルでも通用した可能性が高い。
その点、ステルヴィオの母はラルケットである。ラルケットは芝で4勝したが、1400メートルから1800メートルでの勝利実績にとどまっている。ペースが流れ、スタミナが要求されるようなレースになった場合に2400メートルをしっかりと走れるのか。アーモンドアイの勝利でロードカナロア産駒は多少長くても大丈夫と思うのは危険かもしれない。
不安② ダノンプレミアムとの勝負付け
ラッキーライラックとアーモンドアイの2強ムードだったオークスは結局桜花賞組で決まった。ラッキーライラックとリリーノーブルに入れ替わりこそあったが、力量的には桜花賞の時とさほど変わらない中でオークスまで進行した形だ。ステルヴィオの場合、最大の強敵はダノンプレミアムだ。これまでにダノンプレミアムとは2戦2敗、どちらも完敗の結果に終わっている。
今回、ダノンプレミアムは一頓挫があってからのレースとなり、不安視されている面がある。ただ、皐月賞からしっかりと間隔をとってレースに臨めることから疲労度はかなり低い。ダノンプレミアムにとって休み明けは全く苦にしない。朝日杯フューチュリティステークスでは前で競馬をしながら上がり3ハロンのタイムが1位だった。ダノンプレミアムをマークする競馬ができれば分からないが、今までの競馬のままでは厳しい。
まとめ
皐月賞で惜敗した馬がダービーで善戦をすることが多く、去年1着のレイデオロ、2着のスワーヴリチャードは明らかに中山競馬場に合わない走りをしたが、ダービーでは見違える動きを見せた。スプリングステークスを勝利しているステルヴィオとは少し状況は違うが、特殊なペースで流れた皐月賞を見る限り100%のレースだったとは思えない。
ルメール騎手は去年もオークスとダービーで2冠を達成したが、今年もそうなるか。去年のレイデオロではペースが遅いと見るや大胆に動いていき、前で競馬を進めて押し切った。こうした判断がステルヴィオでも出来れば、確実な末脚を披露して勝利する可能性は大きい。ダービーは最も運がいい馬が勝つと言うが、枠順でどこを引くかが最初の勝負所だ。