2018年5月13日、東京競馬場でヴィクトリアマイル(GⅠ/芝1600m)が行われる。リスグラシュー、アエロリット、レッツゴードンキ、ミスパンテール、アドマイヤリード、ソウルスターリング、デンコウアンジュ、カワキタエンカ、デンコウアンジュらが出走するが、どんなレースが展開されるのか?台頭する可能性を秘めた伏兵とは?
古馬牝馬限定のGIは従来秋のエリザベス女王杯しかなかったが、春シーズンにもGIをということでレース体系が整備され2006年に第1回が行われたのがヴィクトリアマイルだ。
ステップレースとして様々な路線から来る馬も多く、最も多いのはGⅡ・阪神牝馬Sであるものの、それ以外にもGⅠ・高松宮記念のようにスプリント路線からやドバイからの遠征帰りが挑戦するなど多士済々といったメンバー構成になりやすいレースである。
また、2013年・2014年はヴィルシーナが2015年・2016年はストレートガールが連覇していて、昨年2017年の優勝馬アドマイヤリードが今年も連覇するかどうかも注目のポイントとなっている。
配当傾向を過去10年で見てみると、単勝1番人気は4連敗中、三連単は2011年を除きすべて万馬券、特に2015年は単勝5番人気→12番人気→18番人気の組み合わせで20,705,810円と超高額配当になっている。
2018年も従来の傾向通りの荒れた決着となるのか、2011年のように一転して人気サイドの決着となるのか。
今回は過去10年のヴィクトリアマイルの結果を元としてデータ分析するが、特に過去の穴馬の共通項から激走馬を探っていく。
目次
過去10年の該当馬(2008年以降・単勝6番人気以下で3着以内)
年 | 着順 | 馬名 |
---|---|---|
2017 | 1 | アドマイヤリード |
2017 | 2 | デンコウアンジュ |
2017 | 3 | ジュールポレール |
2016 | 1 | ストレイトガール |
2015 | 2 | ケイアイエレガント |
2015 | 3 | ミナレット |
2014 | 1 | ヴィルシーナ |
2014 | 3 | ストレイトガール |
2013 | 2 | ホエールキャプチャ |
2012 | 2 | ドナウブルー |
2010 | 2 | ヒカルアマランサス |
2010 | 3 | ニシノブルームーン |
2009 | 2 | ブラボーデイジー |
2009 | 3 | ショウナンラノビア |
注目点① 人気薄は人気に関係なく検討を
該当馬のリストを見てもわかるように、過去10年で馬券圏内に入った延べ30頭のうち単勝6番人気以下が14頭と半分近くに達していて毎年の高配当を裏付ける結果となっている。
しかも、過去10年の内2頭以上がリストアップされる年が5回もあり積極的に人気薄を狙うことも考えなければならない。
なお、今回の該当馬を人気別や単勝オッズで見ると、高配当になる場合の人気を気にする必要はないものの単勝万馬券になるような極端な人気薄を狙うのは得策でないことがわかる。
人気別集計 ヴィクトリアマイル 過去10年
人気 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
---|---|---|---|
1番人気 | 3- 3- 0- 4/ 10 | 30.0% | 60.0% |
2番人気 | 1- 0- 1- 8/ 10 | 10.0% | 20.0% |
3番人気 | 0- 1- 2- 7/ 10 | 0.0% | 30.0% |
4番人気 | 1- 0- 1- 8/ 10 | 10.0% | 20.0% |
5番人気 | 2- 0- 1- 7/ 10 | 20.0% | 30.0% |
6番人気 | 1- 0- 1- 8/ 10 | 10.0% | 20.0% |
7番人気 | 1- 1- 2- 6/ 10 | 10.0% | 40.0% |
8番人気 | 0- 1- 0- 9/ 10 | 0.0% | 10.0% |
9番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% |
10番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% |
11番人気 | 1- 2- 1- 6/ 10 | 10.0% | 40.0% |
12番人気 | 0- 2- 0- 8/ 10 | 0.0% | 20.0% |
13番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% |
14番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% |
15番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% |
16番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% |
17番人気 | 0- 0- 0- 10/ 10 | 0.0% | 0.0% |
18番人気 | 0- 0- 1- 7/ 8 | 0.0% | 12.5% |
集計期間:2008年 ~ 2017年
年 | 馬名 | 人気 | 単勝オッズ |
---|---|---|---|
2017 | アドマイヤリード | 6 | 13.5 |
2017 | デンコウアンジュ | 11 | 67.9 |
2017 | ジュールポレール | 7 | 17.5 |
2016 | ストレイトガール | 7 | 17.7 |
2015 | ケイアイエレガント | 12 | 47.4 |
2015 | ミナレット | 18 | 291.8 |
2014 | ヴィルシーナ | 11 | 28.3 |
2014 | ストレイトガール | 6 | 13.7 |
2013 | ホエールキャプチャ | 12 | 44 |
2012 | ドナウブルー | 7 | 14 |
2010 | ヒカルアマランサス | 8 | 45.9 |
2010 | ニシノブルームーン | 11 | 75.2 |
2009 | ブラボーデイジー | 11 | 46.8 |
2009 | ショウナンラノビア | 7 | 25.3 |
注目点② 父・ロイヤルチャージャー系かニアークティック系に注目
過去10年単勝6番人気以下で3着以内に入った14頭中13頭がロイヤルチャージャー系かニアークティック系種牡馬の産駒となっている。
ロイヤルチャージャー系といえば、ディープインパクトやスペシャルウィーク、タニノギムレットに代表されるように現在の日本種牡馬界の王道とも言える血統であり、ヴィクトリアマイルはまさに十八番、最適のレース条件と言うことができる。
また、ニアークティック系といえば現在の代表種牡馬はクロフネで、どちらかと言うと「ダート」「中距離」が得意分野だが、芝でのレースではあるものの中距離適性で結果を出せている。
種牡馬系統別集計 ヴィクトリアマイル 過去10年
種牡馬系統別 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
---|---|---|---|
ロイヤルチャージャー系 | 8- 6- 7- 89/110 | 7.3% | 19.1% |
ニアークティック系 | 1- 3- 1- 28/ 33 | 3.0% | 15.2% |
ネイティヴダンサー系 | 1- 1- 1- 20/ 23 | 4.3% | 13.0% |
ナスルーラ系 | 0- 0- 1- 6/ 7 | 0.0% | 14.3% |
トゥルビヨン系 | 0- 0- 0- 3/ 3 | 0.0% | 0.0% |
マンノウォー系 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% |
その他のエクリプス系 | 0- 0- 0- 1/ 1 | 0.0% | 0.0% |
集計期間:2008年 ~ 2017年
ソート:着別度数順
馬名 | 父系統 | 種牡馬 |
---|---|---|
アドマイヤリード | ロイヤルチャージャー系 | ステイゴールド |
デンコウアンジュ | ニアークティック系 | メイショウサムソン |
ジュールポレール | ロイヤルチャージャー系 | ディープインパクト |
ストレイトガール | ロイヤルチャージャー系 | フジキセキ |
ケイアイエレガント | ネイティヴダンサー系 | キングカメハメハ |
ミナレット | ロイヤルチャージャー系 | スズカマンボ |
ヴィルシーナ | ロイヤルチャージャー系 | ディープインパクト |
ストレイトガール | ロイヤルチャージャー系 | フジキセキ |
ホエールキャプチャ | ニアークティック系 | クロフネ |
ドナウブルー | ロイヤルチャージャー系 | ディープインパクト |
ヒカルアマランサス | ロイヤルチャージャー系 | アグネスタキオン |
ニシノブルームーン | ロイヤルチャージャー系 | タニノギムレット |
ブラボーデイジー | ニアークティック系 | クロフネ |
ショウナンラノビア | ニアークティック系 | フレンチデピュティ |
注目点③ 前走も重賞レースに出走!
今回の該当馬14頭中13頭までが前走でも重賞レースを走っていて、1600万下・OPEN特別といったレースを走っていた馬がいきなり活躍することが難しい結果となっている。
たとえ前走の重賞で敗退した実力馬はヴィクトリアマイルで他馬との比較で人気を落としてきていても、陣営の調整やレース展開などで前評判を覆して巻き返しが十分可能であることを示していると言える。
前走クラス別集計 ヴィクトリアマイル 過去10年
前走クラス | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
---|---|---|---|
1600万下 | 0- 0- 1- 9/ 10 | 0.0% | 10.0% |
OPEN特別 | 0- 0- 0- 4/ 4 | 0.0% | 0.0% |
GⅢ | 1- 4- 4- 55/ 64 | 1.6% | 14.1% |
GⅡ | 6- 4- 4- 65/ 79 | 7.6% | 17.7% |
GⅠ | 1- 0- 1- 11/ 13 | 7.7% | 15.4% |
集計期間:2008年 ~ 2017年
馬名 | 前走クラス | レース名 |
---|---|---|
アドマイヤリード | GⅡ | 阪神牝馬S |
デンコウアンジュ | GⅢ | 福島牝馬S |
ジュールポレール | GⅡ | 阪神牝馬S |
ストレイトガール | GⅡ | 阪神牝馬S |
ケイアイエレガント | GⅢ | 京都牝馬S |
ミナレット | GⅢ | 福島牝馬S |
ヴィルシーナ | GⅡ | 阪神牝馬S |
ストレイトガール | GⅠ | 高松宮記念 |
ホエールキャプチャ | GⅡ | 阪神牝馬S |
ドナウブルー | GⅢ | 中山牝馬S |
ヒカルアマランサス | GⅡ | 阪神牝馬S |
ニシノブルームーン | GⅢ | 中山牝馬S |
ブラボーデイジー | GⅢ | 福島牝馬S |
ショウナンラノビア | 1600万 | 卯月S |
注目点④ 狙うは関西所属馬と関東の騎手の組み合わせ!
過去10年で単勝6番人気以下で3着以内に入った14頭中10頭が関西馬、しかもそのうち半分5頭の鞍上が関東の騎手となっている。
GⅠレースであるので以前であれば継続騎乗するケースも多く、関西馬には関西の騎手が騎乗することが主流で、実際上位人気馬の場合は今でもその傾向は強い。
ただ、上位人気にはならなさそうで逆転を狙っているような馬は、近年では騎手の腕を見込んだり、開催競馬場に乗り慣れている騎手に依頼するケースが増えてきている。
騎手所属別集計 ヴィクトリアマイル 過去10年
騎手所属 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
---|---|---|---|
美浦 | 7- 4- 6- 70/ 87 | 8.0% | 19.5% |
栗東 | 3- 5- 4- 73/ 85 | 3.5% | 14.1% |
外国 | 0- 1- 0- 5/ 6 | 0.0% | 16.7% |
集計期間:2008年 ~ 2017年
調教師所属別集計 ヴィクトリアマイル 過去10年
調教師所属 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 |
---|---|---|---|
美浦 | 2- 2- 3- 60/ 67 | 3.0% | 10.4% |
栗東 | 8- 8- 7- 88/111 | 7.2% | 20.7% |
集計期間:2008年 ~ 2017年
馬名 | 騎手 | 調教師 |
---|---|---|
アドマイヤリード | C.ルメー | 関西・須貝尚介 |
デンコウアンジュ | 蛯名正義 | 関西・荒川義之 |
ジュールポレール | 幸英明 | 関西・西園正都 |
ストレイトガール | 戸崎圭太 | 関西・藤原英昭 |
ケイアイエレガント | 吉田豊 | 関東・尾形充弘 |
ミナレット | 江田照男 | 関東・大和田成 |
ヴィルシーナ | 内田博幸 | 関西・友道康夫 |
ストレイトガール | 岩田康誠 | 関西・藤原英昭 |
ホエールキャプチャ | 蛯名正義 | 関東・田中清隆 |
ドナウブルー | C.ウィリ | 関西・石坂正 |
ヒカルアマランサス | 内田博幸 | 関西・池江泰郎 |
ニシノブルームーン | 北村宏司 | 関東・鈴木伸尋 |
ブラボーデイジー | 生野賢一 | 関西・音無秀孝 |
ショウナンラノビア | 柴田善臣 | 関西・岡田稲男 |
まとめ
ここまでの4つの注目点から、人気薄で激走する可能性のある馬を選定すると次の1頭が該当する。
デンコウアンジュ
なお、本原稿は特別登録の段階で執筆しているため、仮に今回の該当馬が上位人気に支持されたり、出走回避した場合などは、人気薄が上位に食い込む可能性は低いと見て、素直に上位5番人気までの堅い決着を予想する方法もありそうだ。
後は予想時点での単勝人気やオッズも確認の上、検討を加えていくのも、面白いのではないだろうか。