3歳牝馬の頂点から現役最強牝馬へ――。
2017年11月12日、京都競馬場でエリザベス女王杯(GI/芝外回り2200m)が行われる。人気を集めそうなのが、秋華賞馬のディアドラだ。前走は重馬場の中で行われた力の問われる一戦で見事に勝利し、初の戴冠を手にした。今回も人気上位に支持されることが確実になっている。
では、ディアドラは古馬を交えた最強牝馬決定戦を勝ち抜ける力を持っているのだろうか? その可能性を探っていこう。
目次
期待① 3歳馬の好走条件
まず3歳馬の好走条件に合致している点は心強い。3歳馬の好走条件は、以下の2つだ。
・3歳クラシックで人気になってきた素質馬
・古馬混合となっても人気に支持される実力を示してきた馬
ディアドラは秋華賞で3番人気に支持され、今回も上位人気が確実。条件に合致することはほぼ間違いないだろう。
期待② 歴代秋華賞馬の実績
また、秋華賞馬に絞ってみると、エリザベス女王杯で好成績を残していることが分かる。
・秋華賞1着
・エリザベス女王杯で5番人気以内
この条件で絞ってみると……
2014.11.16 ショウナンパンドラ 6着
2013.11.10 メイショウマンボ 1着
2011.11.13 アヴェンチュラ 2着
2010.11.14 アパパネ 3着
2007.11.11 ダイワスカーレット 1着
ご覧の通り、5頭中4頭が好走を果たしている。ディアドラにしても、実績的には申し分ないわけだ。
期待③ ハービンジャー産駒と京都重賞
さらに血統面でも、相性は悪くない。京都の芝重賞で10番人気以内に支持されたハービンジャー産駒の成績を見てみると……
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着別度数 勝率 複勝率 単回値 複回値
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2- 3- 3-10/18 11.1% 44.4% 68 118
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※3000m以上の特殊距離は除外
高い好走率を誇っている。実際、秋華賞でもハービンジャー産駒のワンツーフィニッシュだったし、その一週前の京都大賞典ではトーセンバジルが6番人気ながら2着に食い込んできている。今回も、決して悪い条件ではないわけだ。
不安① ほぼ100%だった秋華賞の走り
不安を挙げるとするなら、秋華賞からの上積みがどれだけ望めるのか、という点だろう。
秋華賞では出遅れこそしたものの、クリストフ・ルメール騎手のリカバーと巧みな手綱さばきで最高の競馬ができていた。
馬場にしても、パンパンの良馬場より重馬場のほうがハービンジャー産駒にとって好都合だったはず。
また、クラシック最終戦を取るという強い意気込みで調教されていたこと、歴代の秋華賞馬に比べてキャリアを重ねすぎていること(すでに14戦、2017年だけで8戦)による“見えない疲労”も気になるところだ。
不安② 歴代屈指の高メンバー
さらに相手関係が、過去と比較して屈指の厳しいメンバー構成になっている、という事実もある。
GI2勝のヴィブロスとミッキークイーン、前年の覇者クイーンズリング、前哨戦で牡馬を一蹴してここへ挑むルージュバックとスマートレイアー、さらに3歳クラシック戦線で活躍してきたリスグラシューとモズカッチャンもいる。
秋華賞馬が出てくれば問答無用で一番人気になるような年もあるが、今年はそうではないわけだ。いくら秋華賞馬といえど、一筋なわけではいかなさそうなのである。
まとめ
ディアドラは実績的にも適正的にもエリザベス女王杯で好走する要素を持っている。もっとも、前走からの上積みや相手関係という不安要素を持っていることも確かである。
果たしてディアドラは現役最強牝馬への階段を登りきることができるのか? 戦いのゴングは、12日15時40分頃に鳴り響く。