2017年、阪神競馬場で行われる春競馬の総決算・宝塚記念(GI/芝内回り2200m)。
前日21時の段階でキタサンブラック(牡5)が単勝1.4倍の圧倒的な一番人気に支持される中、近年の競馬ファンの“馬券レベル”の高さを示す現象を見ることができた。
目次
出走予定馬と人気・オッズ
まずは出走予定馬と、単勝の人気から見ていこう。
単勝人気・オッズ
馬名 | 単勝 | 人 |
---|---|---|
ミッキーロケット | 31.2 | 8 |
ゴールドアクター | 11.0 | 5 |
スピリッツミノル | 83.4 | 9 |
クラリティシチー | 137.6 | 11 |
シュヴァルグラン | 13.8 | 6 |
シャケトラ | 9.7 | 4 |
レインボーライン | 24.3 | 7 |
ミッキークイーン | 9.7 | 3 |
ヒットザターゲット | 116.2 | 10 |
キタサンブラック | 1.4 | 1 |
サトノクラウン | 9.4 | 2 |
単勝の人気を見てみると、キタサンブラックに続いてサトノクラウン、そしてミッキークイーンが支持されている。続いて天皇賞春からの巻き返しを目指すシャケトラ、ゴールドアクターが続き、シュヴァルグランは6番人気となっている。
単勝のオッズだけを見ると、「サトノクラウンやミッキークイーンが人気」、「天皇賞春2着にもかかわらず、シュヴァルグランの人気がそれほど高くない」ということが言える。
しかし、複勝の人気を見てみると、様相は違って見えてくる。
複勝人気・オッズ
馬名 | 複勝人気 | 複勝 |
---|---|---|
ミッキーロケット | 8 | 3.7~ 9.7 |
ゴールドアクター | 5 | 1.9~ 4.6 |
スピリッツミノル | 9 | 7.2~ 19.9 |
クラリティシチー | 11 | 11.2~ 31.3 |
シュヴァルグラン | 3 | 1.9~ 4.5 |
シャケトラ | 4 | 1.9~ 4.6 |
レインボーライン | 7 | 2.9~ 7.4 |
ミッキークイーン | 2 | 1.9~ 4.5 |
ヒットザターゲット | 10 | 11.2~ 31.1 |
キタサンブラック | 1 | 1.1~ 1.1 |
サトノクラウン | 6 | 2.2~ 5.5 |
注目したいのはサトノクラウンとシュヴァルグランの複勝人気だ。
単勝2番人気に支持されているサトノクラウンだが、複勝ではなんと6番人気。一方、単勝6番人気のシュヴァルグランは、複勝だと3番人気に支持されている。
つまり、競馬ファンは「一発があるならサトノクラウン」、「シュヴァルグランが勝つ可能性は低いが、3着以内は堅実」と考えているわけだ。その考えが買い目に反映され、“歪んだオッズ”が作り上げられているのである。
実際、サトノクラウンのキャリアを振り返ると(6−0−1−5)。着外の5回は掲示板にすら載っていない。つまり、文字通り「好走するなら勝ち切る」「負けるなら惨敗(複勝圏には来ない」という傾向が見えてくるわけだ。
一方のシュヴァルグランは(6−5−5−4)と、勝ちきらない場合でも複勝圏に来る確率は高い。
GIには、普段競馬をやらないビギナーも参戦する。よって、オッズの歪みが起きにくい傾向にある。しかし、それでもこれほど顕著な傾向が見て取れるところに、近年の競馬ファンの馬券の買い方が非常にシビアになっている点が表れている。
単純に予想するだけでなく、どのように買うか、自分の予想をどう馬券に落とし込むかが求められる時代――。
宝塚記念のオッズには「馬券を買う上で何が求められているか」が表されているわけだ。