カテゴリー:コラム

将来のGI馬!?スクリーンヒーロー産駒モーリスに注目したい4つの理由

(C)Mina Mina

はじめまして!初投稿させてもらいます。

YUKIといいます。YUKIと書いて「ゆうき」です。女子じゃありません、健全な20代の男子です。期待させてしまった方、ごめんなさい!

僕は若い馬が好きです。

ロ◯コンではありません。人間では年上が好きです。若い馬の将来を考えて妄想するのが好きなんです。

競馬TIMESでは2〜4歳の将来性のある馬を取り上げて“未来予想図”を作り上げていきたいと思います。ここで取り上げた馬がDREAMS COME TRUEで重賞やGIを勝ったら最高ですね。

第1回目に取り上げるのはモーリスです。

前走、スピカステークスで圧勝したスクリーンヒーロー産駒です。日曜日に中山で開催されるダービー卿チャレンジトロフィーでは上位人気になりそうですね。

将来性のある馬なので、ぜひぜひ注目してもらいたいです!!

モーリスを推す理由① スクリーンヒーロー産駒

モーリスはスクリーンヒーローの初年度産駒です。

実はスクリーンヒーローってめちゃくちゃ優秀な種牡馬なんですよ!

3月31日現在、JRAに登録しているのはわずかに64頭です。しかし、2頭も重賞ウィナー&GI好走馬を出しています。

ゴールドアクター 菊花賞3着
ミュゼエイリアン 毎日杯
グァンチャーレ シンザン記念

モーリスは2、3歳時に重賞に挑戦して4着以下に負けています。が、スクリーンヒーローは古馬になってから力をつけた馬なので、晩成血統です。

モーリスも今年に入ってから1000万、準オープンを連勝して本格化しています。さらに大きなところも狙えるのではないでしょうか??

モーリスを推す理由② 応援したくなる母系

モーリスの母方の血統表を見ると「メジロ、メジロ、メジロ、メジロ、そんでまたメジロ」という血統になっています。

母メジロフランシス
母母メジロモントレー
母母母メジロクインシー
母母母母メジロボサツ
母母母母母メジロクイン

「H」と「A」押しすぎてキーボードが凹みましたorz

というのは冗談として、生粋のメジロ血統なんですね。

特に母母のメジロモントレーはアメリカジョッキークラブカップ、アルゼンチン共和国杯など重賞3勝、オークスでは5着になった名牝です。

昔ながらの血統は応援したくなりませんか? 今はなきメジロ牧場の血をつないでいってくれたら、とても素敵だと思うんですよね。


モーリスを推す理由③ 重厚&晩成血統なのにキレる

①と②で紹介したように、モーリスは晩成血統です。しかも母父カーネギー、母母父モガミというのを見ると、明らかに重厚な血統をしています。

それなのに、モーリスは33秒の上がりを連発しています!!

スピカS 上がり33.8(1位)
若潮賞 上がり34.6(2位)
白百合S 上がり33.5(1位)

どこからこの瞬発力はきているのでしょうか……。やっぱり父母父のサンデーサイレンスがきいているんでしょうかね。

こういった重厚な血統の馬はサンデー系にキレ負けしてしまうので、大レースを勝てないことが多いんです。だけど、これだけキレるようなら重賞、いや、GIでも……と夢が広がります。

モーリスを推す理由④ 種牡馬になったら……

モーリスの夢は競走馬としてにとどまりません。

もしモーリスが種牡馬入りすることを考えると、種牡馬として成功できるかもしれません(かなり願望が入っていますが(笑))。

なぜなら、(血は濃くなってしまいますが)サンデー系の牝馬につけられるんです。

モーリスは父母父サンデーサイレンス。つまり、種牡馬になったら父父母父サンデーサイレンスというようになります。

父サンデーサイレンスの牝馬だとサンデーサイレンスの3×2と、濃くなってしまいますが、父父サンデーサイレンスの牝馬なら同3×3になります。


同じように父父母父サンデーサイレンスのアドマイヤムーンはサンデー系の牝馬とつけてアドマイヤドバイ(サンデーサイレンスの3×2)やミヤビジャスパー(同3×3)といった重賞にでるような馬を出していますから、モーリスも期待できるのではないでしょうか?

いざ、GI戦線へ!

いかがだったでしょうか? 4つ目の注目ポイントは時期尚早ですけど(笑)、楽しめそうな気がしてきませんか??

ダービー卿CTで勝てるかどうかは分からないですけど、いつか重賞を勝ってGIに出られる器です! 飛躍を期待して見守りたいと思います!!


エピファネイアのドバイWC惨敗は必然?浮かび上がる3つの“準備不足”

(C) Koichi Takahashi

3月28日に行われたドバイワールドカップで最下位の9着に終わったエピファネイア。昨年のジャパンカップで圧勝し、ジャスタウェイに次ぐ世界レーティング2位に評価されたことでドバイでも注目されていたが、結果は惨敗に終わった。

挑戦が失敗に終わるのは仕方がない。ただし、ここに来ていくつか「準備不足」と言われても仕方がない事実が浮上してきている。

そこで、今回は改めてエピファネイアが惨敗した理由を考えていきたい。

1.準備なき芝GI馬のダート挑戦

芝GI馬のダート挑戦は厳しい結果に終わることが多い。

なぜエピファネイアのドバイWC挑戦を“批判”するメディアはないのか?

この記事で触れたが、過去を振り返るとカレンブラックヒル、トゥザグローリー、グランプリボス、リーチザクラウン、ローエングリンといった芝GIで好走した馬が、ダート初挑戦で惨敗している。

芝とダートでは使う筋肉をはじめとして、求められる資質が全く違う。だから惨敗するのは当然といえば当然で、トゥザヴィクトリー(初挑戦のフェブラリーステークスで3着→ドバイワールドカップで2着)やアグネスデジタル(芝・ダート両方のGIを制覇)のような馬のほうが稀なのだ。

しかもアグネスデジタルはもともとダートを使われていた馬だし、トゥザヴィクトリーはドバイワールドカップを使う前にフェブラリーSでダートを経験していた。

大前提として、ドバイワールドカップでダートに初めて挑戦するというのは極めて厳しいシチュエーションだったわけだ。

2.ドバイ直行というローテーション

今回のドバイワールドカップデーを振り返ると、ほとんどの馬が前哨戦をドバイで戦っていた。

ドバイワールドカップを制したプリンスビショップは前走、ステップレースのアルマクトゥームCR3で2着。UAEダービーを制したムブタヒージュは前哨戦のアルバスタキヤで勝っていた。さらにゴドルフィンマイルを勝ったタマークズも前哨戦のブルジュナハールステークスを叩いて臨んでいた。

日本馬はドバイで前哨戦を使うことがほとんどない。それでいて結果を出しているわけだから、その点を一概に批判することはできない。ただ、ダートの経験がないエピファネイアに関しては、前哨戦を使うという選択肢はなかったのだろうか? 極端な話、前哨戦でダートがダメだと分かれば目標をドバイシーマクラシックやドバイターフに変更できたはずだ。

有馬記念から間隔が空いていないこともあって難しかったのかもしれないが、考慮しても良かったのではないか。

3.スパイク蹄鉄などの事前準備

これが後に分かった一番残念なニュースだ。

JRAのドバイワールドカップデー特設HPに記載されている角居厩舎スタッフの回顧を引用する。

蹄鉄についての部分などで、勉強が必要だとも感じさせられました。(中略)今のエピファネイアは芝馬の形で蹄が出来ているので、スパイク鉄は後脚の角度が余分に大きくついてしまうため、履くことはできませんでした。

スパイク蹄鉄はダート競馬が主流なアメリカでは一般的に広く使われている。蹄の引っ掛かりを良くする効果があるため、ドバイでも多くの馬が使用していた。そのスパイク蹄鉄を、エピファネイアは使えなかったという。

ここで疑問に思うのは、「事前に調べられなかったのか?」、「調べて履けないと分かったなら、代替になる蹄鉄を準備できなかったのか」ということだ。ドバイワールドカップを使うなら、事前に調べておくべきだし、世界中にネットワークを持つ角居厩舎なら調査は可能だったはず。それなのに「芝馬の蹄なので履けなかった」で済ますのはいかがなものなのだろうか?

エピファネイアの馬主はキャロットファーム。つまり、多くの一口馬主の方が出資している。出資している人数が多いからどういうというわけではないが、多くの期待を背負っていることは間違いないのだから、下準備を徹底する必要はなかったのだろうか。

スパイク蹄鉄が直接の敗因だとは思わないが、以上の3つを見ると、「全体的に準備不足だったのではないか」と思わずにはいられない。


芝で真の実力の証明を

エピファネイアのドバイ遠征は疑問と課題が残るものだった。「ジャパンカップの勝ち馬」、「前年の世界レーティング2位」という肩書は世界的に注目を集めるため、日本を代表する意味でもベストな状態で出走するか、ベストなレース(=芝)を選択してほしかった。

終わった後の後出しジャンケンのようなことは書きたくなかった(一応、事前にも指摘していたのでお許し頂きたい)が、今回の経験が次の挑戦にいきるよう、振り返りを忘れないでほしいという意味でキーボードを叩いた。

エピファネイアは芝に戻ればエース格であることに変わりない。次は宝塚記念という報道もちらほら出ている。春のグランプリで真の実力を発揮できるよう、日本のファンに本当の姿を見せられるよう、祈るばかりだ。


ロードカナロアの偉大さを痛感…最強スプリンター誕生の条件は?


3月29日に中京競馬場で行われた高松宮記念は、香港馬のエアロヴェロシティ(騙7)が勝利を収めた。スプリント大国香港の力を見せつけた一方、日本馬にとっては力の差を痛感させられたレースとなった。

日本の競馬ファンは少なからず、悔しい思いをしたのではないだろうか? そして同時に、ある共通の想いを抱いたはずだ。

ロードカナロアって凄かったんだな、と。

2013年、日本史上最強のスプリンターが引退して以降、スプリント界は混沌としている。それほど、ロードカナロアという馬は偉大で特別な存在だったのだ。

今、改めてロードカナロアという名馬を振り返りたい。

スプリント戦で脅威の複勝率100%

1200mはとても難しい距離だ。少しの出遅れ、少しの不利が命取りとなる。

そんな中、ロードカナロアの生涯成績は(13−5−1−0)。なんと生涯、一度も複勝圏を外したことがなかった。唯一の3着はGIの高松宮記念だから、どれほど安定して走っていたかが分かる。

史上最強牝馬の1頭として生涯連対率100%のダイワスカーレットが挙げられるように、「絶対的な安定感」というのは「絶対的な実力の証明」と言い換えられる。

あのサクラバクシンオーでさえ、スプリンターズでは6着に敗れている。また、マイル戦では馬券圏外に消えることが多かった。

「絶対的な安定感」という意味で、ロードカナロアの右に出るものはいないわけだ。

香港スプリント連覇という大偉業

ロードカナロアを語る上で欠かせない実績といえば、香港スプリントの連覇だろう。

かつて、香港スプリントは凱旋門賞に匹敵する「高い壁」だった。

日本のサラブレッドの生産は芝の中距離馬に偏っている。芝2400mの日本ダービーが「ホースマンが目指す頂」だからだ。一方、香港やオーストラリアはスプリント戦に比重が置かれている。

日本はただでさえスプリンターが出にくい土壌にある。だからスプリンターがピラミッドの頂点にいる香港のスプリントGIを勝つなど、一昔前までは「夢のまた夢」だった。事実、2011年まで香港スプリントに14頭の日本馬が臨んだが、最高順位はカレンチャンの5着。ほとんどの馬が二桁着順に敗れていた。

「香港スプリントを制するのは凱旋門賞で勝つより難しい」

一時期はそう言われたものだ。

しかし、ロードカナロアは「夢のまた夢」と思われた快挙をいとも簡単に達成した。しかも2年連続。さらに2年目は5馬身差という考えられない着差で圧勝してみせた。

2着のソールパワーは後に英国の短距離GIを2勝、香港GIを1勝した。5着のスターリングシティは翌年のドバイゴールデンシャヒーンを制覇。ラッキーナイン、スレードパワーも後にGIを勝っている。決してレベルの低いメンバーではなかった。

ロードカナロアという馬がいかに特別で偉大だったか、今振り返っても痛感させられる。

ロードカナロア級の馬を育てるために……

ここまで偉大なスプリンターは今後、なかなか出てこないだろう。日本が芝2400mに比重をおいている限り、どうしても短距離やダート界は手薄になってしまう。


ただ、ロードカナロアが出たのだから、「絶対に現れない」と断言することはできない。むしろ、スプリンターが生まれにくい環境の中でロードカナロアという怪物が出たことをプラスに捉えるべきだろう。

彼を生んだ最大の要因は安田隆行調教師にあったと感じられる。安田隆行厩舎はスプリンター育成のスペシャリスト集団だ。

ロードカナロア以外にもカレンチャンやダッシャーゴーゴー、レッドオーヴァルといったスプリンターを数多く輩出している。彼らのような特定の距離に特化した厩舎があってもいいと思うし、そういう厩舎で花咲く馬も出てくるはずだ。

何より馬の距離適性を把握して中途半端に中距離で走らせるようなことをしなかったのは、ある意味“英断”といえる。おそらくロードカナロアくらいの能力があればマイルや中距離でもそこそこやれたはずだ。そんな中でスプリント路線に絞って育て上げたからこそ、史上最強スプリンターは完成したと考えられる。

日本ではどうしても芝の中距離を勝った馬が称賛される傾向にある。種牡馬ビジネスを考えても、高松宮記念馬より天皇賞秋馬のほうが重宝される。

ただし、馬が持っている可能性はそれぞれ違う。

幸い、近年はレースの選択肢が海外へ広がった。今春、多くの日本馬がオーストラリアやドバイに渡ったように、レースの選択肢は多い。馬の適正を見極め、適切なレースに使っていくことができれば、いずれは第2のロードカナロアも出てくるのではないだろうか?

いずれにしても、ホームで海外勢にやられるというのは悔しいことだ。香港馬に太刀打ちできるような、世界で活躍できるような、新たなスプリント界のエース誕生に期待したい。


なぜクロフネ産駒はダート重賞で勝てなかったのか?競馬界の七不思議

(C) karasi gj

競馬界の“七不思議”といえる記録にピリオドが打たれた。

3月29日に行われたダートのGIII競走マーチステークス(1800m)でクロフネ産駒のマイネルクロップが勝利を収めたのだ。

丹内祐次騎手、飯田雄調教師にとって嬉しい重賞初制覇となったが、驚くべきことにクロフネ産駒も中央のダート重賞を制したのはこれが初めてだった。

このニュースを聞いて「え、うそ!?」と思った競馬ファンは多かったことだろう。なにせクロフネといえばジャパンカップダートで歴史的な大勝を収め、「日本競馬史上最強のダート馬」として名前が上がる超A級のダートホースだったからだ。

なぜ今までクロフネ産駒はダート重賞で勝てなかったのか? 今回はその謎に迫ってみたい。

散々なダート重賞成績

クロフネ産駒はダート適性が低いわけではない。事実、3月30日現在、芝ダート合わせて954勝を挙げているが、内訳は芝が287勝に対し、ダートが667勝だ。

つまり、圧倒的にダートの勝ち星の方が多い。これでダート適正が低いというのは無理がある。

しかし、事実としてダート重賞では結果が出ていなかった。マーチステークスが始まる前までの成績は(0−4−3−44)。実に51頭が出走していたが、1頭も勝ち星を挙げられなかったのだ。

産駒はパワー不足?

明確な理由は神のみぞ知るといったところだが、今回は仮説を立ててみることにしよう。

例えば、

・クロフネ産駒は総じてパワーよりスピードが優れている
・新馬、未勝利クラスならそこそこのパワーとスピードで押し切れる
・重賞クラスになるとパワー不足を露呈する

という説が有力ではないかと私は考えている。

クロフネはジャパンカップダートを圧勝したイメージが強い。しかし一方でNHKマイルカップを制した芝のGI馬でもある。芝はダートよりスピードが求められる。だからクロフネはもともとスピードのポテンシャルを秘めていたことになる。

種牡馬としてスピードを伝える一方、ダートの一流馬になるためのパワーを伝えきれていない――。

そんな現実が生んだ不思議だったのではないだろうか?

種牡馬クロフネの真の姿とは?

ではクロフネ産駒はどんな条件が最もあっているのか? この答えはクロフネが生んだ大物たちを見ればすぐに分かる。以下はGIを制した産駒の一覧だ。

フサイチリシャール 朝日杯フューチュリティステークス
スリープレスナイト スプリンターズステークス
カレンチャン スプリンターズステークス、高松宮記念
ホエールキャプチャ ヴィクトリアマイル

いかがだろうか? もうお分かりだろう。

勝ったGIはすべて芝の短距離。そう、クロフネは芝のスプリンターを生む種牡馬なのだ。

ダートで求められるパワーより、芝で必要なスピードを伝えているのであれば、この傾向も納得がいく。


ダート馬、ダート種牡馬という印象の強いクロフネであるが、最も向いているのは芝1200〜1600mなのだ。

ケチャップの瓶はとれた

以上のように、クロフネはダート種牡馬というより芝の短距離種牡馬というのがデータから見る“真実”だ。

もっとも、ダートが向いていないわけではない。今後、活躍馬を出す可能性は十分にある。

不思議なほど解けなかった難問が、あることをきっかけにスラスラ解けるようになる、というのはよくあることだ。

サッカー日本代表の本田圭佑選手は得点が決まらない時、「ゴールはケチャップのようなもの。出ないときは出ないけど、出るときはドバドバ出る」と語った。(※ちなみに元ネタは元オランダ代表の名ストライカー、ルート・ファン・ニステルローイのもの)

クロフネも長らく解けなかった呪縛が解けた。この重賞勝利がケチャップの瓶の蓋をあける合図だったとしたら、今まで勝てなかったことが不思議になるほどの現象が起こるかもしれない。そんな未来も期待しつつ、クロフネ産駒の今後に注目したい。


ドバイワールドカップデー惨敗の日本馬の敗因と煽り報道の是非を考える

(C)Waseem BKH

3月28日、アラブ首長国連邦のドバイ、メイダン競馬場でドバイワールドカップデーが開催された。日本馬はドバイワールドカップに出走したエピファネイア(牡5)が9着、ホッコータルマエ(牡6)が5着、ドバイシーマクラシックに出走したワンアンドオンリー(牡4)が3着、ハープスターが8着、そしてUAEダービーに出走したゴールデンバローズ(牡3)が3着、タップザット(牡3)が5着、ディアドムス(牡3)が8着という結果に終わった。

去年はジェンティルドンナとジャスタウェイが勝利し、日本馬が大活躍だった。今年はなぜ、多くの馬が活躍できなかったのか? 改めて振り返っていきたい。

世界的なダート馬が生まれにくい環境

ドバイワールドカップとUAEダービーに関しては明確な答えがある。

残念ながら、まだ日本のダート馬は世界のトップレベルとは差があるのだ。これが現実と言わざるを得ない。

日本の芝馬、特に芝中距離路線は世界でもトップクラスの実力と層の厚さを誇っている。

凱旋門賞こそ、適正の違いによって制覇に至っていないが、ホームグランドで行われるジャパンカップではもはや外国馬は相手にならない。また、ドバイにおけるジェンティルドンナやジャスタウェイの勝利、オーストラリアにおけるアドマイヤラクティやリアルインパクトの活躍を見れば、芝路線のレベルの高さは明らかだ。

事実、海外における日本調教馬の芝GI優勝回数は26回に上っている。

一方、残念ながらダート馬は海外で活躍できていない。GI勝利回数はいまだにゼロ。今までの最高成績(ドバイワールドカップ2着)を残したトゥザヴィクトリーはもともと芝のGI馬である。日本と海外ではダートの質が違うため、一概に日本馬のレベルが低いということはできないが、残念ながらトップレベルにあるとは言えない。

理由はいくつも考えられる。例えば日本の血統がサンデーサイレンス系に偏りすぎている点だ。サンデーサイレンス系は芝の中距離を得意とするため、ダートが苦手な馬が多くなる(=ダートのレベルが低くなる)のは仕方がない。

また、そもそも日本のホースマンたちが最初に目標に掲げるのは「日本ダービー制覇」である。日本ダービーを勝つための馬作り(=芝中距離で勝てる馬作り)が行われているため、世界で通用するダート馬が生まれにくい環境にあるのだ。

今後は、特に3歳ダート路線の整備を行わないと、ダート馬のレベルはなかなか上がっていかないだろう。

ただゴールデンバローズの3着は嬉しいニュースだった。UAEダービーのペースは先行勢に辛いものだった。そんな中で3着に粘ってみせた。おそらく適正距離はもっと短いだけに、マイル前後であれば世界で戦えるのではないだろうか?

今回の結果にめげることなく、再び果敢に海外へ挑戦し、ダートGIを制するシーンが見てみたい。

エピファネイアの惨敗は残念だが必然

エピファネイアの惨敗に関しても触れなければならないだろう。

まず、下記の記事を読んでいない方は、先に目を通してほしい。

なぜエピファネイアのドバイWC挑戦を“批判”するメディアはないのか?

ここで書いたように、芝GI馬がいきなりダートGIで結果を出すのは極めて困難なことだ。

大前提として、芝とダートでは求められる能力が全く違う。

芝では瞬発力やスタミナが重要になるが、ダートで求められるのはパワーだ。そして砂をかぶってもひるまないような根性や経験も必要となる。

だから芝適性の高い馬や、芝のレースを使われ続けてきた馬はたとえGI級の力を持っていたとしても、ダートで惨敗するケースが多々見られる。カレンブラックヒル、トゥザグローリー、グランプリボス、リーチザクラウン、ローエングリンといった芝GIで好走経験のある馬のダート挑戦の歴史を振り返れば、厳しさは明らかだろう。(上記の記事より引用)


言ってみれば芝とダートは、バレーボールとビーチバレーくらい違う。

バレーボールのオリンピック金メダリストがビーチバレーでいきなり活躍できるかというと、必ずしもそうではない。バレーボールの実力は折り紙つきで身体能力も高いはずなのに、足元が砂というだけで全く違う競技になる。

競馬でも同じことが言えるのではないだろうか?

エピファネイアの挑戦は残念な結果に終わった。しかし、今回に関しては「仕方なかった」と割り切るべきだろう。芝に戻れば大将格であることに変わりはない。今回、海外遠征の経験を詰めたとプラスに捉え、さらなる挑戦にトライしてほしい。

復活へ手応えを得たワンアンドオンリー

ゴールデンバローズとともに、日本馬の中で健闘したのがワンアンドオンリーだ。

昨年の日本ダービーで勝って世代の頂点に立ちながら、秋は不甲斐ない成績に終わった。特に古馬GIの成績が振るわなかったため、ここでも厳しいと思われていたが、大健闘の3着となった。

昨年の秋は完全に使い詰めのローテーションで馬がかわいそうだった。しっかりと間隔を空けて大事に使えば一級戦で戦える力はあるということだ。

今後はキングジョージへ向かう可能性が高いという。ぜひ実現し、父の無念(3着)を晴らしてほしい。

適正距離を見誤った? ハープスターの惨敗

最後にハープスターについて。

ハープスターは過剰人気馬の典型?“華やかさとリスクの代償”に迫る


大前提として1番人気というのは明らかに過剰人気だった。3歳牝馬限定GIの桜花賞を制したあとはオークスで敗れ、凱旋門賞やジャパンカップ、さらに京都記念でも健闘止まり。そんな馬が世界の強豪より人気を得ていたというのだから、少しかわいそうだった。

敗因はいくつも考えられるが、やはり距離の問題が大きいように思う。

馬齢が若いうちは長い距離に適応できる。だから凱旋門賞やジャパンカップでも上位に入選できた。しかし、古馬になるとだんだん距離の融通がきかなくなってくる。

特に母父のファルブラヴは短距離馬を出す傾向にある。エーシンヴァーゴウ、フォーエバーマーク、アイムユアーズ、ブルーミンバーなど、活躍しているのはほとんどが2000mより短い距離(というかマイル以下)で走る馬だ。母系に入ってもその色が濃く出てしまう可能性は十分にある。

幸い、彼女にはヴィクトリアマイルという“最適のレース”が用意されている。厳しいスケジュールの中で迎える帰国初戦ではあるが、適正を見極める上でこれ以上のレースはない。内容を見て、今後の路線を適切に判断してほしい。

煽り報道の是非

こうして冷静に振り返ると、どの馬も不安要素を抱え、厳しいシチュエーションに置かれていたことが分かる。

日本馬が海外へ挑戦するというニュースは嬉しいし、一人の競馬ファンとして応援したいと思う。ただ、今回もマスコミの報道は煽る内容のものが多かったように映った。(これはあくまでも私の主観であるため、「違う」という意見はあって当然だし、そういった意見は素直に受け入れたい。)

サッカーや野球でもそうだが、煽るだけの報道に価値はあまりない。冷静な分析も必要になってくる。

ファンとしては煽られれば煽られるほど、期待値は高くなる。期待値が高くなれば、裏切られた時の落胆も大きくなる。

「日本馬の海外遠征を盛り上げる」というのはいい姿勢だし、必要なことだ。しかし一方で「現実的には◯◯」という冷静な意見がもっと必要だったのではないだろうか?

もちろん、無理やり批判しろということではない。「そういう考え方もある」ということを示すことで議論が生まれることに価値がある。そして、それがメディアの一つの大きな役目である。

来年も、あるいは今年もまだまだ日本馬は海外に挑戦していくことだろう。ワンアンドオンリーはキングジョージへ向かうし、キズナは凱旋門賞への再挑戦を表明している。彼らが挑戦する際には競馬を盛り上げることに加え、色々な角度からの意見が必要になってくるのではないか。そうしていくことで競馬という文化はより一層、広がっていくと思う。

そんなことを考えた、今年のドバイワールドカップデーだった。


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