ステイゴールド産駒のグランシルク(牡3)は、5月10日に行われた3歳マイル王決定戦のNHKマイルカップ(GI/芝1600m)で1番人気に支持されたが、5着に敗れてしまった。勝ったのは3番人気のクロフネ産駒クラリティスカイだった。

なぜ、1番人気に応えることができなかったのか? その敗因に迫ることで、次回の“買い時”を見つけていこう。


敗因① そもそも1番人気は過剰人気だった

まず、これに尽きる。

グランシルクは前走のニュージーランドトロフィーで鮮烈な末脚を使ったことで人気を集めた。

しかし、鮮烈に見えた末脚は実は“漁夫の利”によって生み出されたものだった。前半からペースが流れたことで先行勢は総崩れ。上位は4角16番手だったグランシルクを筆頭に、後方に待機していた馬ばかりだった。

1着 ヤマカツエース 4角8番手
2着 グランシルク 4角16番手
3着 アルマワイオリ 4角10番手
4着 ナイトフォックス 4角6番手
5着 ネオルミエール 4角14番手

1番人気というのは、やや過剰人気だったといえるだろう。

敗因② 前走気持ちのいい競馬をした“余波”

前述のとおり、グランシルクはニュージーランドトロフィーで最後方から競馬をした。最後方からスムーズに外に出し、直線では不利を受けることなく、自慢の末脚を発揮した。最後まで他の馬に邪魔されることはなかった。さぞ、気持ちよく走ったことだろう。

一方で今回は1枠2番からスタート。好位につけられたのは良かったが、前走と違って道中でかなり揉まれた。直線でも窮屈になる場面があったため、伸び切れなかった。このように、前走スムーズな競馬をした馬がストレスを受けると案外伸びない、というケースは多々ある。

例えばペルーサが思い出される。“出遅れの帝王”は天皇賞秋やジャパンカップで出遅れながら鮮烈な末脚を使うことから、「出遅れなければGIを勝てる」と言われていた。しかし、はじめてまともにゲートを出た2010年の有馬記念では終始先行しながら、3番人気4着と人気を裏切る結果に終わっていた。「前走出遅れたから、出遅れなければ勝てる」という考えは、必ずしも正しくないわけだ。

グランシルクにも前走気持ちのいい競馬をした“余波”があったと考えて不思議はない。

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