天才の手綱さばきが光ったレースだった――。

8月23日に小倉競馬場で北九州記念(GIII/芝1200m)が開催され、2番人気のサクラバクシンオー産駒ベルカント(牝4)が押し切り勝ちを収めた。同馬はサマースプリントシリーズで連勝を飾ったわけだが、その影に武豊騎手の存在があったことを忘れてはならない。

名手は以下にしてベルカントを1着に導いたのか? 改めて振り返っていこう。


逃げないという判断

レース前、ベルカントはハナを主張する可能性が高いと見られていた。2枠3番という逃げやすい枠順、キャリアを通じてほとんどが逃げか2、3番手の競馬をしていること、そして前走アイビスサマーダッシュで1000mの競馬を経験したことなど、「逃げるだろう」と考える根拠はいくつもあった。

そんな中、武豊騎手は「逃げない」という選択をした。

好スタートを切ると無理に押していかずに馬なりで追走し、先頭から離れた5番手につけた。ベルカントが先団にとりつかない競馬をするというのはかなり珍しい。

しかしこの判断こそ、ベルカントが重賞連覇を果たした最大の要因になったと考えられる。

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