キタサンブラックと武豊騎手に期待する5つのこととは?宝塚記念2017

現役最強馬の証明へ――。

ファンの期待に応えるために――。

6月25日、キタサンブラック(牡5)と武豊騎手は春競馬の“総決算”宝塚記念でグランプリ制覇に臨む。圧倒的な一番人気に支持されることが確実な中、彼らはどんなレースを見せるのだろうか? 宝塚記念の“先にあるもの”とは?

今回は「キタサンブラックに期待する5つのこと」を焦点に、話を進めていこう。


目次

史上初の快挙へ

まずは“春古馬GI完全制覇”が期待されるところだ。

今年から大阪杯がGIに昇格し、春の古馬中長距離路線が確立した。その初年度に、完全制覇を成し遂げるというのは驚くべきことであると同時に至難の業と言える。

秋古馬3冠を例に見てみよう。

天皇賞秋、ジャパンカップ、そして有馬記念の完全制覇を達成したのは、歴史上わずか2頭しかいない。テイエムオペラオーとゼンノロブロイ。いずれも歴史的な名馬である。

すでにキタサンブラックは「歴史的名馬」と呼べるクラスの戦績を残しているが、宝塚記念を制するようなことがあれば、さらに箔がつくことになる。

近年の競馬界をけん引してきた馬として、競馬ファンが待ち望む快挙を達成したいところだ。

“証明”の必要性

秋古馬3冠の獲得は同時に現役最強馬の証明を意味する。すでに天皇賞春においてサトノダイヤモンドとの“現役最強馬決定戦”を制しているが、宝塚記念は天皇賞春より門戸が広い。

中距離馬はもちろん、マイル路線を歩んでいた馬や牝馬も参戦してくる。ここで勝つようなら「現役最強馬」という肩書はさらに揺るぎないものとなるわけだ。

波乱が起こるのも競馬の魅力ではあるが、「強い馬が勝つべくして勝つ」というのもファンの心に響く。かつてメジロマックイーンに対し「絶対の強さは、時に人を退屈させる」というキャッチコピーがつけられたが、マックイーンは今なお競馬ファンの心に残り続けている。

現役最強を証明し、いつまでも人々の心にとどまるような馬になるための挑戦でもあるわけだ。

(C)Horse Race Photo Studio

武豊騎手久々の…

鞍上のストーリーも見逃すことはできない。鞍上の武豊騎手にとっても久々のグランプリ制覇がかかっているのだ。

実は武豊騎手、宝塚記念で4勝を、有馬記念で2勝を挙げているが、久しくグランプリ制覇の美酒を味わっていない。

宝塚記念

日付馬名着順人気
2016.6.26キタサンブラック2
2015.6.28トーセンスターダム129
2014.6.29ヒットザターゲット12
2013.6.23トーセンラー4
2011.6.26ビートブラック1112
2009.6.28スマートギア8
2008.6.29メイショウサムソン1
2007.6.24ポップロック4
2006.6.25ディープインパクト1
2005.6.26アドマイヤグルーヴ8
2004.6.27リンカーン3
2003.6.29ダイタクバートラム5
2000.6.25ラスカルスズカ3
1999.7.11スペシャルウィーク1
1998.7.12エアグルーヴ3
1997.7.6マーベラスサンデー1
1996.7.7オースミタイクーン107
1994.6.12ベガ135
1993.6.13メジロマックイーン1
1992.6.14メイショウビトリア1210
1991.6.9メジロマックイーン1
1990.6.10シンウインド6
1989.6.11イナリワン2
1988.6.12フレッシュボイス3

有馬記念

日付馬名着順人気
2016.12.25キタサンブラック2
2014.12.28トーセンラー8
2013.12.22ラブイズブーシェ12
2012.12.23トレイルブレイザー139
2011.12.25レッドデイヴィス6
2010.12.26ローズキングダム0
2009.12.27リーチザクラウン135
2008.12.28メイショウサムソン4
2007.12.23メイショウサムソン1
2006.12.24ディープインパクト1
2005.12.25ディープインパクト1
2004.12.26ダイタクバートラム5
2003.12.28リンカーン4
2002.12.22ファインモーション1
2001.12.23トゥザヴィクトリー6
2000.12.24アドマイヤボス6
1999.12.26スペシャルウィーク2
1998.12.27エアグルーヴ2
1997.12.21マーベラスサンデー1
1996.12.22マーベラスサンデー3
1995.12.24ナリタブライアン2
1993.12.26ベガ6
1992.12.27ヒシマサル3
1991.12.22メジロマックイーン1
1990.12.23オグリキャップ4
1989.12.24スーパークリーク2
1988.12.25スーパークリーク4

最後に勝ったのは2006年、ディープインパクトとともに臨んだ有馬記念だ。実に10年以上、グランプリで勝てていない。ディープインパクト以前となると、1997年のマーベラスサンデーまでさかのぼることになる。

現役最強馬に跨り、武豊騎手が久々にグランプリを勝つ――。

仮にそうなれば、競馬界全体が盛り上がることになるはずだ。

秋の飛躍と、夢への挑戦へ

キタサンブラックにかかる期待は何も宝塚記念制覇だけにとどまらない。日本競馬を代表する馬として、今の世代をけん引する存在として、次なる挑戦への期待がすでに膨らんでいる。

日本競馬界の悲願である凱旋門賞制覇――。

キタサンブラックは、その夢を叶えてくれる馬ではないかと考える者は決して少なくない。

そういう意味で、宝塚記念は重要なレースになる。仮にここで敗れるようなことがあれば、オーナーである北島三郎さんや陣営が海外挑戦を白紙に戻す可能性は十分に考えられる。

秋競馬を盛り上げるためにも、今後世界で日本馬の強さを証明するためにも、キタサンブラックには宝塚記念で結果を出すことが求められるわけだ。

(C)Ko-Mei

最も大事なことは…

ここまで長々と書いてきたが、もっとも重要なことはどんな結果に終わろうとも無事にレースを終えることだ。

特に天皇賞春はレコードタイムが出るような超高速馬場で行われ、レースは最後まで手を抜けない白熱の展開となった。馬にかかる負担も小さくなかったと考えられるわけだ。陣営はキタサンブラックの回復に尽力し、だからこそ出走にこぎつけたわけであるが、競馬というのは“見えない疲労”が突然表沙汰になることがしばしばある。

キタサンブラックが故障するようなことになれば、日本の競馬界にとって大きな損失になる。だからこそ、まずは無事にレースを終え、今後に期待を持てるような終幕になることが求められるのだ。

果たして、キタサンブラックと武豊騎手は宝塚記念で勝てるのか? それとも不安要素に飲み込まれ、苦汁をなめることになるのか?

結果が出るのは6月25日。その結末を、見逃すな。

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