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(C)Ko-Mei

2歳から期待されていた素質馬が、ついに悲願のGI制覇を成し遂げた。

6月4日に東京競馬場で行われた春のマイル王決定戦・安田記念(GI/芝1600m)で、7番人気のディープインパクト産駒サトノアラジン(牡6)が、8番人気のロゴタイプを押さえて勝利した。1番人気のイスラボニータは8着だった。

勝ち馬の勝因、敗れた馬たちの敗因は何だったのか? 振り返っていくことにしよう。


結果・着順

2017年 6月 4日(日) 3回東京2日 天候 : 晴  馬場状態 : 良
【11R】 第67回安田記念
3歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定) 芝 1600m 18頭立

馬名S性齢
14サトノアラジン牡67
16ロゴタイプ牡78
6レッドファルクス牡63
7グレーターロンドン牡56
8エアスピネル牡42
12ビューティーオンリーセ69
18ステファノス牡64
15イスラボニータ牡61
10クラレント牡814
105コンテントメントセ712
119ロンギングダンサー牡818
123サンライズメジャー牡817
132ディサイファ牡815
1413ロジチャリス牡513
154アンビシャス牡55
1617ヤングマンパワー牡511
171トーキングドラム牡716
1811ブラックスピネル牡410

LAP 12.2-10.6-11.1-11.6-11.6-11.0-11.3-12.1
通過 33.9-45.5-57.1-68.1  上り 68.7-57.6-46.0-34.4  平均 1F:11.44 / 3F:34.31

払い戻し

単勝  14 \1240
複勝  14 \380 / 16 \440 / 6 \340
枠連  7-8 \590 (2)
馬連  14-16 \10480 (40)
ワイド 14-16 \2870 (33)/ 06-14 \2730 (30)/ 06-16 \2720 (29)
馬単  14-16 \20410 (75)
3連複 06-14-16 \43500 (128/816)
3連単 14-16-06 \283000 (797/4896)

レース分析

まずはレースラップを見てみよう。

12.2-10.6-11.1-11.6-11.6-11.0-11.3-12.1

昨年は12頭立てと少頭数だったため、スローペースになった。


しかし、今年は安田記念らしいラップが刻まれた。最初の一ハロンを除き、すべて11秒6以下という厳しい展開となったのだ。最後の一ハロンで1秒近く減速した点が、我慢比べのレースになったことを示している。

かなり厳しいレースとなったため、マイペースで逃げられたロゴタイプを除き、先行勢は総崩れとなった。厳しい展開を差してこられる力のある馬が上位に来るようなレースだったと言っていいだろう。

出走馬勝因、敗因、次走への展望

1着 サトノアラジン

悲願のGI初制覇をようやく成し遂げられた。

道中は後方待機となったが、結果としてペースが流れたことが幸いする形となった。直線では大外に出したが、追える川田将雅騎手に導かれて直線で弾けた。

もともとディープインパクト産駒ながら1400mが得意な馬で、ペースが流れた中で驚異的な末脚を使って追い上げる……という競馬を得意としている。今回の安田記念はペースが全く緩まず、かつ差し馬が台頭できる流れになった。(ペースが“適度に”流れるだけでは、前に行ったスタミナのある馬に粘り込まれてしまう。)スローペースを圧倒的な末脚で差し切るタイプではないことは、前走の京王杯スプリングカップや昨年の安田記念を見ても明らか。展開が味方したことは大きかった。

もっとも、流れが向いただけではない。この馬には2歳から期待されるだけのポテンシャルがあった。

ディープインパクト×ストームキャットの組み合わせは、GI馬を何頭も輩出している“黄金配合”だ。しかも全姉のラキシスはエリザベス女王杯の覇者。姉が遅咲きだったように、サトノアラジンもようやく本格化し、順番が回ってきたということだ。

GI級のポテンシャルを秘めた馬に、流れが向いた。それが勝因だったと考えられる。

2着 ロゴタイプ

あと一歩のところで連覇の夢が消えた。しかし、この展開で粘るのだから改めて力があることを証明したと言っていい。

ロゴタイプ以外の先行勢は全滅だった。かつ、昨年はスローペースの中で、今年はペースが流れた中で上位に来てみせた。


これからも、まだまだ活躍してくれそうだ。

3着 レッドファルクス

実力に加え、差し馬が台頭できる1400m的な流れになったことが大きかった。

それだけに、直線で前が壁になり、追い出しが遅れたことが痛かった。もし仮にスムーズな競馬ができていたとしたら、上位2頭との差はもっと詰まったかもしれない。

なお、スウェプトオーヴァーボード産駒がマイル以上のGIで馬券に絡んだのは初めてのこととなった。

距離着別度数
1200m1- 1- 1- 4/ 7
1600m0- 0- 0-12/12
2000m0- 0- 0- 1/ 1
2400m0- 0- 0- 1/ 1

4着 グレーターロンドン

やや前が壁になっていたが、400mを過ぎたあたりで前が開けた。追い出すと、一時は先頭に立つかという勢いだったが、最後の一ハロンで伸び切らず、サトノアラジンらの後塵を拝す格好になった。

厳しい流れの中、重賞の経験がない中では立派な結果だったといえる。ただし、最後の一ハロンで踏ん張りきれなかったあたりを見ると、休み明けや臨戦過程に順調さを欠いた影響があったのかもしれない。

もっとも、GIでもやれる力があると証明しただけに、今後が期待されるところだ。5歳馬だが、まだキャリアわずか7戦。まだまだ成長の余地はあるだろう。

5着 エアスピネル

非常にもったいない競馬となってしまった。

厳しい流れを後方から追走するという完璧なレース運びだったが、最後の直線で前が開かなかった。内に進路を取ったものの、前が塞がり、追い出せたのは残り200mを過ぎてから。そこからは全頭の中でも一番の伸びをみせ、猛烈に追い込んできただけに、悔やまれる敗戦となった。

デビュー以来、コンビを組んでいる武豊騎手にとって、悔やんでも悔やみきれないレースとなったのではないか。


6着 ビューティーオンリー

位置取り、直線での追い出しのタイミングも含めてスムーズな競馬だった。力は出し切った上での6着だったと考えられる。

7着 ステファノス

一時は突き抜けるかという手応えで上がっていたが、最後の200mで我慢しきれなかった。

大外枠から終始外外を回る展開、久々のマイル戦が究極のスピード勝負になった点に対応しきれなかったのかもしれない。

8着 イスラボニータ

直線で前を塞がれて完全に行き場を失ってしまった。

残り300mを切ってから追い出されたときには末脚の鋭さもなく、沈むことに。今回は不利があったことに尽きる。

9着 クラレント

位置取りはやや前だったが、不利もなく、力を出し切った。

10着 コンテントメント

厳しいペースを先行して潰れる形に。展開的に厳しかった。

11着 ロンギングダンサー

展開は向いただけに、力負け。

12着 サンライズメジャー

厳しいペースを先行して潰れる形に。展開的に厳しかった。

13着 ディサイファ

厳しいペースを先行して潰れる形に。展開的に厳しかった。

14着 ロジチャリス

力負け。

15着 アンビシャス

この馬も直線で前がふさがり、行き場を失って外へ外へ流れる形になってしまった。

こういう展開になると横山典弘騎手は馬の消耗を考えて本気で追うことはない。

全く競馬をしないまま、この順位に収まったというわけだ。次走を見据える意味で、今回はノーカウントでOKだろう。

16着 ヤングマンパワー

厳しいペースを先行して潰れる形に。展開的に厳しかった。

17着 トーキングドラム

力負け。

18着 ブラックスピネル

厳しいペースを先行して潰れる形に。展開的に厳しかった。


(C)はねひろ

4月23日に京都競馬場で行われたマイラーズカップ(GII/芝外回り1600m)は、2番人気のフジキセキ産駒イスラボニータ(牡6)が直線で抜け出して1番人気のエアスピネル(牡4)らをおさえて勝利を収めた。

勝ち馬の勝因、敗れた馬たちの敗因は何だったのか? 振り返っていくことにしよう。


レース映像・動画

マイラーズカップ映像はこちらから(※JRA公式サイト→レース結果→重賞レース結果のページでご覧いただけます)

結果・着順

成績・2017年3京2/11R 読売マイラーズカップ
2017年 4月23日(日) 3回京都2日 天候 : 晴  馬場状態 : 良
【11R】 第48回読売マイラーズカップ
4歳以上・オープン・G2(別定) (国際)(指定) 芝・外 1600m 11頭立

馬名S性齢
11イスラボニータ牡62
4エアスピネル牡41
6ヤングマンパワー牡57
8ブラックスピネル牡43
1サンライズメジャー牡89
3フィエロ牡85
7プロディガルサン牡44
5ダッシングブレイズ牡56
2アクションスター牡710
109クルーガー牡58
1110シェルビー牡811

LAP 12.4-11.2-11.7-12.1-11.4-11.3-10.8-11.3
通過 35.3-47.4-58.8-70.1
上り 68.6-56.9-44.8-33.4
平均 1F:11.53 / 3F:34.58

レース分析

前後半800mのペースを見てみると……

47.4−44.8

ペースの違いは明らかだ。上がり1位は32.8秒。もうこれ以上の上がりは使えないだけに、ほとんど位置取りの勝負になった+その中で強かったり、経済コースを通って器用に立ち回った馬が上位に来た、という解釈でいい。

例えばイスラボニータのルメール騎手は最高にうまかった。大外の11番枠に入りながら、コーナーではラチ沿いを走って直線でも内々をつけた。


ポジションや位置取りの勝負になった競馬において、このレース運びは理想的意外の何ものでもない。ルメール騎手の腕が光ったレースだったと言える。

開幕週の京都はこういうレースになりがちではあるものの、それをわかった上でそういう騎乗をしたルメール騎手はさすがだった。例えば別に田辺裕信騎手を落とすわけではないが、フローラステークスにおけるホウオウパフュームの乗り方をしていたら、少なくとも1着にはなれなかっただろう。

出走馬勝因、敗因、次走への展望

1着 イスラボニータ

前述の通り、ルメール騎手の騎乗は素晴らしかった。大外枠ながら経済コースを通って、馬に負担のないレース運びをした。もともとマイルチャンピオンシップで2、3着の実績がある舞台で、条件としては悪くなかったし、力はある馬だけにうまいレース運びができればこういう結果になる。

次走は安田記念になるはず。ただ、安田記念につながるレースになったかどうかはかなり微妙。詳細は、個別回顧で。

2着 エアスピネル

ラチ沿いから3頭目を走るという、このレースにおいてある意味最も厳しい競馬をした。武豊騎手は自身を持ったからこそ、そういう騎乗をしたのだろうが、ルメール騎手に完璧に乗られてしまったため、通ったコースがそのまま着順に表れた。

それでも勝ちきれなかったのは、今後の課題になりそう。

もともと善戦しながらも勝ちきれない馬で、3歳以降に勝ったのは1回のみ。それにしても着差なし。

血統的にもそう。近親のエアシェイディは1着が7回に対し、2着が10回もあった。エアシャカールも(4−6−1−9)と2着が多かった。(エアソミュールこそ勝ちきっていたが)

ちなみに母のエアメサイアもオークス、ヴィクトリアマイルでともに2着。京都以外ではなかなか勝ちきれない馬だった。安田記念に向けて、課題となるところと言っていい。

3着 ヤングマンパワー

ペースメーカーを前において2番手につける最高の競馬となった。結果として切れ負けしてしまったのは、逆にペースがおそすぎて末脚比べになったから。この馬にとってはもう少し流れてもらって、タフな展開になったほうがよかった。


もっとも、こういうレースになっても器用に立ち回って上位に来られるのが強みでもある。

安田記念はサンデーサイレンス系が苦手なレース。この馬にとっても、ペースが厳しくなるであろうことは、いいはず。期待を持てる3着なったのではないか。

4着 ブラックスピネル

上がり32秒8で届かないのだから、今回は展開が悪かったと言わざるを得なかった。

もっとも、タニノギムレット産駒はもともと重賞における期待値が低く、人気より1つ低い順位でフィニッシュしたというのはある意味で血統に従順だった、という見方もできる。

前述の通り、安田記念はもう少し非サンデー系の馬たちに向く展開になるため、バカにされたような人気になるようであれば、見直しの必要がありそう。

5着 サンライズメジャー

もともと得意な舞台、そして絶好の展開だったのだから、もう少し上位に来たかった。もう8歳馬で、これ以上を望むのは酷か。

6着 フィエロ

悪くないレース運びだったが、直線に向いたところでイスラボニータが外に出てきた煽りをうけて進路が塞がってしまった。完全に加速のタイミングを逸したため、あとはズルズル後退というか、惰性で走ってしまった感じ。

力は出し切れていないため、ノーカウントと考えてよさそうだ。

7着 プロディガルサン

物足りない競馬だったが、上がり32秒9でこの順位なのであれば、致し方ない。展開の面が大きく、見直し可能。ただし、そこまで成長力があるかというと、やや微妙な面も。

8着 ダッシングブレイズ
9着 アクションスター
10着 クルーガー
11着 シェルビー


ブラックスピネルの血統や将来性は?グランプリホースやダービー馬との共通点


10月31日に京都競馬場で行われた萩ステークス(OP/芝外回り1800m)でタニノギムレット産駒のブラックスピネル(牡2)が人気のスマートオーディンらをおさえて優勝した。

5頭立てで行われたレースだったが、極端にペースが緩むことはなく、淡々と流れた。道中、2番手につけたブラックスピネルは直線で前を行くノーブルマーズを捉えると、スマートオーディンらを抜かせることなくフィニッシュ。OP勝ちを果たした。

ブラックスピネルの血統や将来性はどういったものなのだろうか? 徹底的に検証していこう。


血統評価は?

ブラックスピネルは父タニノギムレット、母モルガナイト、その父アグネスデジタルという血統。

モルガナイトは中央で4勝を挙げ、半弟のラブラドライトは今も現役で活躍している(こちらも4勝馬)。さらに母系をたどるとクリソライトやアロンダイト、リアファルといった活躍馬の名前もある。母系の血統レベルはまずまず高いわけだ。

父のタニノギムレットはウオッカという大物を輩出したものの、牡馬の産駒はGI未勝利と、苦しい立場に立たされている。最近ではハギノハイブリッドやメドウラークといった楽しみな馬たちが出てきているが、GI云々というレベルには達していない。

そんな中で現れたブラックスピネルには大きな期待がかかるところだ。

というのも、今までのキャリア3戦でなかなかのパフォーマンスを示し、その将来が期待されるからだ。

【次のページヘ】キャリアが示す歴代GI馬との共通点とは?


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