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なぜアンビシャスはGIで勝てないのか?安田記念凡走の裏にある根深き問題

(C)はねひろ

またしてもGIの壁を越えることはできなかった。

6月4日に東京競馬場で行われた春のマイル王決定戦・安田記念(GI/芝1600m)で、7番人気のディープインパクト産駒サトノアラジンが優勝し、GI初制覇を果たした。5番人気に支持されたアンビシャス(牡5)は15着と惨敗した。

なぜアンビシャスは敗れてしまったのか? 徹底的に検証していこう。

プロフィール〜血統・誕生日・馬主・調教師・生産者〜

ディープインパクト
カーニバルソング
母の父 エルコンドルパサー
母の母 カルニオラ
性別
馬齢 5歳
生年月日 2012年2月17日
毛色 黒鹿毛
馬主 近藤英子
調教師 音無秀孝(栗東)
生産牧場 辻牧場
産地 浦河町
馬名意味 大望のある

レースに参加せずに終わった安田記念

まずは安田記念を振り返ってみよう。

アンビシャスは内枠からスタートし、最後方付近から競馬を進めた。ペースは流れ、後方の馬にとって最高の展開となった。実際、2着のロゴタイプを除き、差し馬が上位を独占する結果となった。

だが、アンビシャスは直線で進路を失い、外へ外へと流れていった。結局、前に壁がなくなったときには大勢が決してしまい、横山典弘騎手も本気で追うことはなかった。もっとも、それにしてもアンビシャスの伸びは精彩を欠いていた。

繰り返される負のサイクル

今回は前が開かないというアクシデントが最大の敗因だった。それは間違いないだろう。

もっとも、差し馬は常に不利を受けるリスクを背負っている。今回の場合、差し馬に有利な流れになりながら、それでも不利を受けてしまった。例えば先行馬であれば流れが向かないことはあっても、前が詰まったり、他の馬から不利を受けたりするようなことはめったにない。

だが、アンビシャスは差しにこだわり続けている。

理由はいくつかあるだろう。馬の特性、騎手との相性、展開のあや……。もっとも、最大の理由は、“師の意向”と言っていい。

アンビシャスを管理する音無秀孝調教師は“差し馬至上主義”、あるいは“逃げ、先行馬嫌い”として知られている。

かつて音無調教師はミッキーアイルを差し馬にしようと試みた。ときには逃げて勝ったにもかかわらず不満を漏らし、控えて負けたにもかかわらず満足気な発言をしていたほどだ。

要するに、アンビシャスが差し競馬を続ける背景には、師の強い意向があるわけだ。

アンビシャスは「追い込み一辺倒の馬」なのか?

しかし、実際のところ、アンビシャスが差しにこだわる絶対的な理由はないと考えられる。

なぜなら、先行して結果を出してきた実績があるからだ。

レース名 着順 通過順
安田記念G1 15    17-16
大阪杯G1  13-14-13
中山記念G2  08-08-07
天皇賞秋G1  14-12-10
毎日王冠G2  09-09-09
宝塚記念G1 16  03-03-03
産経大阪G2  02-02-02
中山記念G2  10-09-09
天皇賞秋G1  08-08-08
毎日王冠G2  13-13-12
ラジオNIHG3  09-10-06
プリンシ  14-12-11
毎日杯G3    07-03
共同通信G3  03-03-03
千両賞500*    07-07
新馬    04-03

集計期間:2014.11.16 ~ 2017. 6. 4

宝塚記念を除けば4角で5番手以内につけたレースは(2−0−3−0)。特に産経大阪杯では現役最強馬のキタサンブラックを下している。

にもかかわらず、音無調教師はアンビシャスが先行することに消極的だ。それどころか、レース前には「他力本願でしまい一辺倒の馬。まずは流れてほしいね」と、先行したことがないかのような発言を残している。

もちろん、今回のように流れが差し馬に向き、直線で不利を受けなければGIを勝つチャンスはあるだろう。もっとも、果たして何度、そのチャンスが訪れるのだろうか?

アンビシャスには先行して勝利してきた実績がある。キタサンブラック、ショウナンパンドラ、そしてラブリーデイを封じるほどの走りができるのだ。今後、再び前での競馬を試みない理由があるだろうか?

競走馬が絶頂期でいられる時間は短い。アンビシャスがこのまま差し競馬にこだわり続けるなら、GIのタイトルを取れずに競走馬生活を終えるという未来に、現実味が帯びてくるのではないか。

なお、前述のミッキーアイルはGIを2勝している。

その時の3、4コーナーの通過順は、どちらも「1−1」だった。


なぜサトノアラジンは安田記念を勝てたのか?6歳で花開いた理由

(C)Ko-Mei

6月4日に東京競馬場で行われた春のマイル王決定戦・安田記念(GI/芝1600m)で、7番人気のディープインパクト産駒サトノアラジン(牡6)が優勝し、GI初制覇を果たした。

サトノアラジンの血統や将来性はどういったものなのだろうか? 徹底的に検証していこう。

プロフィール〜血統・誕生日・馬主・調教師・生産者〜

ディープインパクト
マジックストーム
母の父 StormCat
母の母 FoppyDancer
性別
馬齢 6 歳
生年月日 2011年2月16日
毛色 鹿毛
馬主 里見治
調教師 池江泰寿(栗東)
生産牧場 ノーザンファーム
産地 安平町
馬名意味 冠名+人名より

血統評価は?

サトノアラジンは父ディープインパクト、母マジックストーム、その父ストームキャットという血統だ。エリザベス女王杯の覇者ラキシスの全弟としても知られている。

ディープインパクト×ストームキャットの配合は活躍馬を何頭も輩出している。現在、最も注目されている“黄金配合”の一つだ。

この配合の重賞ウィナーを見ていくと……

馬名 レース名 着順
サトノアラジン スワンSG2
サトノアラジン 京王杯スG2
エイシンヒカリ 毎日王冠G2
エイシンヒカリ エプソムG3
ラキシス 産経大阪G2
リアルスティール 共同通信G3
ラキシス エリザベG1
キズナ 産経大阪G2
キズナ 東京優駿G1
キズナ 京都新聞G2
ヒラボクディープ 青葉賞G2
アユサン 桜花賞G1
キズナ 毎日杯G3

集計期間:2013. 3.23 ~ 2016.10.29

キズナやエイシンヒカリといったディープインパクトの代表産駒が名を連ねている。

もともとサトノアラジンも2歳の時から注目を集める馬だった。しかし、3歳春のクラシックに間に合わなかった。そして迎えた菊花賞では出走にこぎつけたものの、不利を受けて6着。不本意なままクラシックシーズンを終えた。

古馬になってから本格化して重賞ウィナーとなったが、なかなかGIには手が届かず、6歳にまでなってしまった。長らく期待されていた馬だけに、関係者の喜びもひとしおだろう。

もっとも、血統的には“遅すぎる”というわけではない。

全姉のラキシスも春のクラシックには間に合わず、秋にようやく力をつけたタイプだった。初重賞も古馬になってから。一般的に牡馬より牝馬のほうが成長が早いと言われているだけに、サトノアラジンが姉よりGIを勝つのに時間がかかったことはむしろ自然の成り行きと言える。

6歳馬ながらキャリア24戦と比較的消耗度は低いだけに、もう少しの間は活躍を期待できるのではないか。

次走は?

安田記念を制したことで、まずは休養に入る見込みとなっている。昨年はスワンステークスからマイルチャンピオンシップへ挑んだが、マイルGI春秋連覇を目指して同様のローテーションを組む可能性は十分に考えられる。

また、2年連続で海外遠征を行っている経緯を考えると、今年も暮れは香港で過ごすことになるかもしれない。


ミッキークイーンとルージュバックの敗因とは?ヴィクトリアマイルで惨敗した3つの理由

(C)Ko-Mei

直線で爆発的な末脚を披露することはできなかった。

5月14日に東京競馬場で行われたヴィクトリアマイル(GI/芝1600m)で、6番人気のステイゴールド産駒アドマイヤリード(牝4)が、11番人気のデンコウアンジュ(牝4)を押さえて勝利した。一方、ミッキークイーン(牝5)やルージュバック(牝5)といった人気馬は馬群に沈んだ。

なぜ圧倒的一番人気に支持されたミッキークイーンは敗れたのか? 敗因は何だったのか? 振り返っていくことにしよう。

レース映像・動画

映像はこちらから(※JRA公式サイト→レース結果のページでご覧いただけます)

結果・着順

2017年 5月14日(日) 2回東京8日 天候 : 曇  馬場状態 : 稍重
【11R】 第12回ヴィクトリアマイル
4歳以上・オープン・G1(定量) (牝)(国際)(指定) 芝 1600m 17頭立

馬名S 性齢
5 アドマイヤリード 牝4 6
10 デンコウアンジュ 牝4 11
3 ジュールポレール 牝4 7
2 スマートレイアー 牝7 4
4 ソルヴェイグ 牝4 9
8 クイーンズリング 牝5 5
11 ミッキークイーン 牝5 1
15 フロンテアクイーン 牝4 12
12 ウキヨノカゼ 牝7 8
10 7 ルージュバック 牝5 2
11 14 レッツゴードンキ 牝5 3
12 1 アットザシーサイド 牝4 13
13 6 アスカビレン 牝5 10
14 13 ヒルノマテーラ 牝6 17
15 16 クリノラホール 牝4 16
16 17 リーサルウェポン 牝6 15
17 9 オートクレール 牝6 14

LAP 12.6-11.2-11.8-12.3-12.2-11.1-10.8-11.9
通過 35.6-47.9-60.1-71.2
上り 70.1-58.3-46.0-33.8
平均 1F:11.74 / 3F:35.21

敗因分析

まずはレース回顧をご覧でない方は、こちらを見てから先に進んでいただきたい。

アドマイヤリードの勝因、レッツゴードンキの敗因は?ヴィクトリアマイル2017結果・動画

まとめると、今回のヴィクトリアマイルの本質は……

・残り3ハロンまでの位置取り
・やや重の中で上がりを使える能力

この2点だった。そういう意味で、ミッキークイーンはこの2つの要素に全く当てはまっていなかったのだ。

敗因1 消極的すぎたレースプラン

浜中俊騎手はレース後、こう振り返っている。

「ゲートは上手に出てくれて、出たなりで競馬はできた。いつも反応は鈍い方だけど、今日は手前を3回くらい替えて走っていた。最後もデンコウアンジュが横から来たところで抵抗できなかった」

まずこの「出たなりの競馬」という点が消極的すぎたように思える。ヴィクトリアマイルは牝馬限定戦で、毎年のようにスローペースになっている。しかも今年のメンバーを見渡しても、スローペースになることは濃厚だった。少なくともハイペースになるようなことはなかっただろう。

そうならば、少なくともポジション取りをもう少し気にしたほうがよかったはずだ。3コーナーでは悪い位置取りではなかったが、4コーナーではズルズル下がってポジションを悪くしてしまった。

先行するような競馬を経験したことはないとはいえ、今回の位置取りが失敗だったことは間違いないだろう。

敗因2 瞬発力レースはもう向かない?

次に、瞬発力勝負になったこともミッキークイーンに味方しなかった。

ミッキークイーンは圧倒的な瞬発力を持っている……とイメージしがちだ。しかし、実際にはそこまで瞬発力に優れた馬ではない。

戦績を見れば明らかだろう。能力で押し切ることができた2、3歳のときは上がり1位を使っているが、古馬になってからは2回しか1位を使っていない。他にすべて3位以下である。
馬グループ戦歴(1頭)

レース名 馬場状態 上り3F 上り3F順
ヴィクトG1 33.8 7
阪神牝馬G2 34.0 1
有馬記念G1 35.8 7
エリザベG1 33.6 4
ヴィクトG1 33.6 4
阪神牝馬G2 33.3 1
JCG1 34.2 6
秋華賞G1 34.6 4
ローズSG2 33.8 1
優駿牝馬G1 34.0 1
忘れな草 34.0 3
クイーンG3 33.8 1
未勝利* 36.1 1
新馬・牝 33.7 1

集計期間:2014.12. 7 ~ 2017. 5.14

ちなみにこの戦績はジェンティルドンナと非常によく似ている。

レース名 馬場状態 上り3F 上り3F順
有馬記念G1 34.1 8
JCG1 35.5 8
天皇賞秋G1 34.4 8
宝塚記念G1 36.2 8
京都記念G2 34.6 8
JCG1 33.9 6
天皇賞秋G1 35.8 3
宝塚記念G1 35.9 4
JCG1 32.8 2
秋華賞G1 33.1 3
ローズSG2 33.2 3
優駿牝馬G1 34.2 1
桜花賞G1 34.3 1
チューリG3 34.7 3
シンザンG3 34.7 4
未勝利* 34.1 1
新馬 36.7 2

集計期間:2011.11.19 ~ 2014.12.28

ご覧のように、ジェンティルドンナも同世代の馬たちと戦っていたときは常に1〜3位だったが、古馬になってからはほとんど上がり上位を使っていない。しかし、絶対的なセンスと能力で勝ちを重ねていた。

ミッキークイーンも同じで、今は瞬発力だけの競馬を求められると辛い。だが、おそらくジェンティルドンナのように、もう少し先行するなど、能力を活かそうとする競馬をした方が力を発揮できる可能性が高いといえる。

今回のヴィクトリアマイルではミッキークイーンが持つ能力を発揮しきれなかったのだ。

敗因3 ディープ産駒の差し馬は…

これは敗因とは少しズレるが、そもそもディープインパクト産駒の差し馬というのは取りこぼしが多い。(差し馬に取りこぼしが多いのはディープインパクト産駒に限らないが)

ディープインパクト産駒完全攻略!スター種牡馬の仔が走る5つの法則とは?

ここで述べられているが、基本的に先行馬の方が期待値が高い。差し馬は色々なリスクがあるため、凡走する可能性が高いといえるのだ。

先に出したジェンティルドンナはもともと差し馬だったが、徐々に先行馬にシフトしていった。一方のミッキークイーンは差す競馬を続け、取りこぼしも多い。

今回の凡走は、差し馬にならいつでも起こり得るものだった。そういう意味で、今回のレースを教訓にもっと積極的なレースを展開してくれることを望む。なにも先行する競馬ができないわけではないはずなのだから。

ルージュバックの敗因は?

なお、人気で敗れたルージュバックにも同じことが言える。位置取りが悪すぎたし、爆発的な末脚を望むことはもう難しいだろう。

戸崎圭太騎手はレース後「追走は楽だったけど、後方からになってしまった。外に出せずに中を突く形になって、伸びがひと息だった」と振り返っているが、あのような位置取りになるくらいなら、無理にでも追走しなければ厳しかったわけだ。

まとめ

今回のように、人気の差し馬が負けて伏兵が台頭する、というのは競馬ではよくあることだ。

ミッキークイーンもルージュバックも、差し馬とはいえ、圧倒的な爆発力を持っているわけではない。というより、現代の競馬で差して安定した成績を残せる馬など、本当に一握りである。

だからこそ、2頭と陣営、騎手にはもっと積極的な競馬をしていくことが求められるのではないか。今は競馬ファンの目がシビヤになっている。先行して力勝負で負けたのなら納得がいくが、差して展開が向かずに届かない……というのはどうしてももどかしさが残る。

2頭とも能力は高いのだから、今の殻を打ち破るようなレースをしてくれることを期待したいところだ。


サトノダイヤモンド、天皇賞春の4つの敗因は?血統から導く理由と今後への不安

(C)はねひろ

ライバルにはあと一歩、届かなかった。

現役最強馬決定戦となった天皇賞春でサトノダイヤモンド(牡4)はキタサンブラック(牡5)に敗れた。人気を分け合う実力馬たちの明暗を分けたものは何だったのだろうか?

プロフィール〜血統・誕生日・馬主・調教師・生産者〜

ディープインパクト
マルペンサ
母の父 Orpen
母の母 Marsella
性別
馬齢 4歳
生年月日 2013年1月30日
毛色 鹿毛
馬主 里見治
調教師 池江泰寿(栗東)
生産牧場 ノーザンファーム
産地 安平町
馬名意味 冠名+宝石名。流星の形から連想

血統評価は?

サトノダイヤモンドは菊花賞を勝っているが、根本的に3000m以上の長距離戦が得意なわけではない。(菊花賞は同世代のレースに加え、長距離戦を嫌ったり、天皇賞秋を目指す馬がいたりしてレベルの高いレースになりにくく、絶対能力が違えば勝ててしまうケースがある、というのが実情だ)

今まで、数多くのディープインパクト産駒が長距離GIに挑んできたが、その多くは人気を裏切る形に終わっている。

例えば、ディープインパクト産駒のGIにおける距離別の成績を見てみよう。

距離 勝率 複勝率 単回値 複回値
1200m 0.0% 25.0% 0 65
1300m
1400m
1500m
1600m 12.3% 30.3% 126 91
1700m
1800m
1900m
2000m 9.3% 28.0% 113 74
2100m
2200m 8.3% 36.1% 130 161
2300m
2400m 13.8% 33.8% 73 80
2500m 12.5% 12.5% 70 25
2600m
2800m
3000m 4.2% 16.7% 9 34
3200m 0.0% 15.4% 0 58

 

距離 着別度数
1200m 0- 2- 2- 12/ 16
1300m 0- 0- 0- 0/ 0
1400m 0- 0- 0- 0/ 0
1500m 0- 0- 0- 0/ 0
1600m 15- 12- 10- 85/122
1700m 0- 0- 0- 0/ 0
1800m 0- 0- 0- 0/ 0
1900m 0- 0- 0- 0/ 0
2000m 7- 10- 4- 54/ 75
2100m 0- 0- 0- 0/ 0
2200m 3- 4- 6- 23/ 36
2300m 0- 0- 0- 0/ 0
2400m 9- 7- 6- 43/ 65
2500m 2- 0- 0- 14/ 16
2600m 0- 0- 0- 0/ 0
2800m 0- 0- 0- 0/ 0
3000m 1- 2- 1- 20/ 24
3200m 0- 1- 1- 11/ 13

集計期間:2010.12.12 ~ 2017. 4.30

サトノダイヤモンドが菊花賞を勝った以外、勝ち馬はゼロだ。

マイル〜2400mまでであればどんな人気薄のディープインパクト産駒がGIを勝っても驚きはないし、「さすがディープインパクト」と多くの競馬ファンが思うことだろう。

しかし、3000m以上のGIではそういうことが起こらない。これは、ディープインパクト産駒にとって3000m以上のレースが適正外であることを示している。

しかもサトノダイヤモンドの場合、今回は外枠を引いてしまった。勝ったキタサンブラックや2着のシュヴァルグランに比べてコーナーで外を回った分、ロスが大きかったのは事実だろう。

生まれた時期が悪かった?

もう一つ挙げるとするなら、サトノダイヤモンドの生まれた時期も気になるところだ。

GI2勝馬、しかも有馬記念を勝っている馬にこんなデータを当てることが適切かどうかは微妙なところだが、それでも事実として横たわる数字と向き合うことは悪くないだろう。

サトノダイヤモンドは1月生まれだが、何を隠そう1月生まれの馬たちは長距離GIにおいて芳しい結果が残せていない。

生月 着別度数
3月生 19- 15- 5-134/173
5月生 7- 6- 4-106/123
4月生 4- 10- 17-141/172
2月生 4- 4- 7- 83/ 98
1月生 1- 0- 1- 21/ 23
9月生 0- 0- 1- 1/ 2
6月生 0- 0- 0- 6/ 6

 

生月 勝率 複勝率 単回値 複回値
3月生 11.0% 22.5% 115 74
5月生 5.7% 13.8% 260 120
4月生 2.3% 18.0% 41 82
2月生 4.1% 15.3% 53 89
1月生 4.3% 8.7% 10 10
9月生 0.0% 50.0% 0 85
6月生 0.0% 0.0% 0 0

集計期間:2000. 4.30 ~ 2017. 4.30

ご覧の通りだ。特に3〜5月に比べて極端に成績が良くない。

これは生まれた環境が大きく影響していると考えられる。

ほとんどの競走馬は1月から5月の間に産まれる。中でも3~5月が最盛期で、競走馬にとって最適な誕生時期だと言える

春が訪れる3月、雪はほとんどなくなり、草木は青々と茂り始める。過ごしやすい気候となり、とねっ娘たちは外を元気よく駆けまわり、草を食べ歩く。

競走馬がしっかりと育っていくために最適な環境が整っているわけだ。

一方、1、2月に誕生した馬はどうかというと、あまり恵まれた環境とは言えない。

1、2月といえば、北海道はまだ雪の季節だ。草達はまだ芽生えず、雪に隠れている。極寒という日も少なくない。

そういった季節に生まれた競走馬は、自ずと行動が制限される。最も大きいのは食事だ。人間でも同じだが、自然の食料を体に入れることができないというのは成長していく上で大きなマイナスになる。

そうなると、「底力」のある競走馬が生まれにくくなってしまうのではないかと考えられるのだ。

これは単なる仮説ではなく、上記のデータやクラシックにおける1、2月生まれの馬の苦戦具合を見ても、一定の信用性があるのではないかと考えられる。

繰り返しになるが、サトノダイヤモンドはGI2勝馬だ。これからも勝利を積み上げていくことだろう。よって、この仮説には必ずしも当てはまらないかもしれない。ただ、天皇賞春が底力の問われるレースになったことを考えると、競走馬が秘めた底力に敗因の理由があるのではないかと考えるのも、決して的外れではないはずだ。

よって、敗因を挙げるとすれば、

・血統的に長距離が得意ではない
・1、2着馬に比べてロスが大きい競馬だった
・底力が問われるレースになったため
・そもそも勝ち馬が強すぎた

この4つになるのではないだろうか。


アドミラブルの血統や次走、将来性は?青葉賞馬の日本ダービー制覇は?

(C)kenji

4月29日に東京競馬場で行われた青葉賞(GII/芝2400m)で、1番人気のディープインパクト産駒アドミラブル(牡3)が、4番人気ベストアプローチ(牡3)を押さえて勝利した。

アドミラブルの血統や将来性はどういったものなのだろうか? 徹底的に検証していこう。

プロフィール〜血統・誕生日・馬主・調教師・生産者〜

ディープインパクト
スカーレット
母の父 シンボリクリスエス
母の母 グレースアドマイヤ
性別
馬齢 3歳
生年月日 2014年3月23日
毛色 鹿毛
馬主 近藤英子
調教師 音無秀孝(栗東)
生産牧場 ノーザンファーム
産地 安平町
馬名意味 賞賛すべき、立派な

血統評価は?

アドミラブルはデビュー前から注目されてきた。理由の一つが、血統にある。

近親にいる馬たちを見てみると……

リンカーン
アンライバルド
ヴィクトリー

などなど、GI戦線で活躍した馬がいる。これだけ活躍馬がいれば、期待されないほうがおかしいというものだ。

全姉のイサベラにしても、デビュー以来、期待を背負い続けた。新馬戦で4番人気になったあとは9走したが、すべて1、2番人気に支持されている。アドミラブルも、人気を背負っていくことになるはずだ。

父ディープインパクト×母父ロベルト系ということで、長くいい脚を使えるタイプだろう。同じ配合の代表馬たちを見てみると……

ディーマジェスティ
ゼーヴィント
サトノラーゼン
ニューダイナスティ
モンドインテロ

彼らに共通していることは、比較的長い距離で活躍していることだ。もともとディープ×ロベルトはズブいタイプが多く、王道路線よりローカル重賞で活躍するタイプが多かった。この中で言えばニューダイナスティがまさにそのタイプだ。

ロベルトの血が入るとどうしても瞬発力が鈍ってしまうため、その分をスタミナで補填できるような場所で活躍する……というイメージをすればいいだろう。

アドミラブルも、基本的には2000m、いや2200m以上で活躍していくことになるはずだ。

なお、GIレベルになるとどうしても切れ負けしてしまう傾向にあるため、特殊な環境(馬場が渋るなど)で台頭してくるケースが想定される。

次走は?

日本ダービーへの出走権を得たことで、当然ながら次の舞台はダービーになる。

青葉賞では強い勝ち方をしたが、ダービーにつながるかというと、微妙なところだろう。

アドミラブルの勝因、トリコロールブルーの敗因は?青葉賞2017結果・動画

こちらの回顧で触れてあるように、青葉賞はアドミラブルが持つスタミナを存分に発揮できる展開になった。一方で、ダービーは究極の瞬発力勝負になりがち。瞬発力勝負になると、より切れ味に特化したタイプの馬が台頭していくることが予想されるだけに、アドミラブルにとっては好ましくないといえるだろう。

よって、展開が一つのカギになってきそうだ。

また、ダービーの週はコース替わりがあるため、どうしても内有利になりがちな傾向にある。

アドミラブルはあまり器用な馬ではない。青葉賞がそうだったように、後方から競馬をしてまくり気味に上がっていく……というパターンが想定される。

しかし、ダービーでそんな距離ロスをしてしまうと、内々を回った馬に足元をすくわれる、というのが常だ。

確かに青葉賞の勝ち方は強かったが、一方で課題の残るレース内容だった。このあたりがダービーでどのように改善されてくるのか、注目されるところだ。


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