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ダンビュライトの勝因、ミッキースワローの敗因は?AJCC2018の回顧
ここでも4歳馬の勢いは止まらず--。1月21日、中山競馬場でAJCC(G2/芝 2200m)が行われ、ダンビュライトが優勝した。2着は1番人気を背負ったミッキースワロー、3着に逃げたマイネルミ… -
サトノクラウンの勝因、シャケトラの敗因は?宝塚記念2017結果
6月25日、阪神競馬場で春競馬の“総決算”宝塚記念(GI/芝内回り2200m)が行われ、サトノクラウン(牡5)が優勝した。圧倒的一番人気に支持されたキタサンブラックは、まさかの9着に敗れた。勝… -
淀が震えた頂上決戦!キタサンブラックの勝因とサトノダイヤモンドらの敗因は?
現役最強馬の座を争う3頭のデッドヒートに、淀が揺れた。4月30日に京都競馬場で行われた天皇賞春(GI/芝外回り3200m)で、1番人気のブラックタイド産駒キタサンブラック(牡5)が、3番人気シ… -
ゴールドアクターはアルゼンチン共和国杯を制して父の同じ道を歩めるのか?
2015年11月8日に東京競馬場で行われるアルゼンチン共和国杯(GII/芝2500m)で人気に支持されることが濃厚なのがゴールドアクター(牡4)だ。3歳クラシックでは菊花賞で3着に食い込み、世…
ダンビュライトの勝因、ミッキースワローの敗因は?AJCC2018の回顧

ここでも4歳馬の勢いは止まらず–。
1月21日、中山競馬場でAJCC(G2/芝 2200m)が行われ、ダンビュライトが優勝した。2着は1番人気を背負ったミッキースワロー、3着に逃げたマイネルミラノが残った。
3番人気に推されたゴールドアクターは、まさかの最下位11着に終わった。勝者、敗者をわけた”分岐点”はどこにあったのだろうか? 振り返っていくことにしよう。
結果・着順
2018年 1月21日(日) 1回中山7日 天候 : 晴 馬場状態 : 良
【11R】 第59回アメリカジョッキーCC
4歳以上・オープン・G2(別定) (国際)[指定] 芝 2200m 11頭立
着 | 馬名 | 性齢 | 人 |
---|---|---|---|
1 | ダンビュライト | 牡4 | 2 |
2 | ミッキースワロー | 牡4 | 1 |
3 | マイネルミラノ | 牡8 | 8 |
4 | ディサイファ | 牡9 | 9 |
5 | トーセンビクトリー | 牝6 | 6 |
6 | ショウナンバッハ | 牡7 | 5 |
7 | レジェンドセラー | 牡4 | 4 |
8 | トミケンスラーヴァ | 牡8 | 7 |
9 | シホウ | 牡7 | 10 |
10 | マイネルディーン | 牡9 | 11 |
11 | ゴールドアクター | 牡7 | 3 |
LAP 12.8-11.2-12.3-12.5-12.5-12.0-12.2-11.8-11.8-12.1-12.1
通過 36.3-48.8-61.3-73.3 上り 72.0-60.0-47.8-36.0 平均 1F:12.12 / 3F:36.35
払い戻し
単勝 7 \390
複勝 7 \140 / 3 \120 / 9 \680
枠連 3-6 \450 (1)
馬連 03-07 \460 (1)
ワイド 03-07 \220 (1)/ 07-09 \2060 (19)/ 03-09 \1730 (16)
馬単 07-03 \1120 (3)
3連複 03-07-09 \6440 (17/165)
3連単 07-03-09 \24620 (78/990)
レース分析
レースラップは以下の通りである。
12.8-11.2-12.3-12.5-12.5-12.0-12.2-11.8-11.8-12.1-12.1(36.3-36.0)
前半1000mの通過は61.3秒、600-1000mはそれぞれ12.3-12.5-12.5と緩いペースでレースが進んだ。マイネルミラノの楽逃げとなったが、少し離されてながらも逃げ馬を目標にした道中進んだダンビュライトに流れが向いた。
出走馬勝因、敗因、次走への展望
1着 ダンビュライト
スタートを決めて一時は先頭に立ったが、1角に入ったところで外からマイネルミラノがハナを主張した。内のトミケンスラーヴァに半馬身遅れる形で後続を離し逃げ馬に続いた。
1000m通過付近でトミケンスラーヴァが位置を下げ、最終的には逃げるマイネルミラノ、これを目標に3馬身差で続くダンビュライト、7-8馬身以上遅れて進むその他という体勢に落ち着いた。
4角でも先頭からは数馬身離されていたが、M. デムーロ騎手に促されると徐々にその差を詰めた。直線でマイネルミラノを交わすと後続の追随を許さず見事優勝した。
今後は大阪杯を目指す可能性についても言及されており、放牧を挟んでさらなる成長が見込める将来有望な馬である。
2着 ミッキースワロー
やや出遅れ気味のスタートでレースに入った。1角では後ろから2番目あたりに位置を取って進んだ。1000m通過付近でも後方3番手と横山典弘騎手の指示のもとゆったりと構えた。
残り1000mを過ぎたあたりからじわじわと位置を上げていき、ショウナンバッハと併せるような形で前を懸命に追って行った。
4角では3番手にまで登り詰め、楽なレースを展開した2頭に迫った。早めに仕掛けた分か、以前重賞で見せた程の切れる末脚は残っておらず、マイネルミラノを交わすのが精一杯だった。
休み明けだったこともあり、仕上げも今ひとつだった。そんな中、あの位置から2着に来たことは、地力の強さを認めざるを得ない。叩いて次走、あの切れる末脚炸裂に期待が膨らむ。
3着 マイネルミラノ
まずまずのスタートからいつも通りハナを主張する形で出て行った。しかし、ダンビュライトやトミケンスラーヴァも出足が良く、楽にハナに立つことはできなかった。1角過ぎには先頭に立ったもののここで少し消耗もあったか。
その後は特に競り掛けてくる馬もおらず、2番手のダンビュライトを4馬身ほど離して3角に入った。4角で促されたダンビュライトに差を詰められ、直線に入ったところではピッタリ後ろにつけられた。
よく粘ったものの、最後は勝ち馬のダンビュライト、後方から追い込んだミッキースワローに交わされて3着入選となった。
明けて8歳となったマイネルミラノだが、得意の展開に持っていくことができれば重賞でもまだまだ通用する力を残している。これからも楽しませてくれそうだ。
4着 ディサイファ
天皇賞・秋、JCとG1を戦っての臨戦となった。G1で結果を残せなかったことから9番人気と評価は決して高いものではなかったが、4着と惜しい競馬に終わった。
マイネルミラノとともに明けて9歳のディサイファだが、彼らの奮闘に心躍らせるファンも少なくないのではないか。古豪の復活も楽しみである。
5着 トーセンビクトリー
中団でレースを進めた。田辺騎手は、早めに仕掛けたミッキースワローからワンテンポ遅れてトーセンビクトリーを促した。前は捕らえられなかったが、上がり最速で5着に入った。
牝馬限定の重賞で再度力を発揮してくれるのではないか。
11着 ゴールドアクター
昨年の宝塚記念以来の出走となった。結果は最下位の11着に終わった。グランプリホースながら、ピークはすぎてしまったか。武豊騎手は前脚と後脚のバランスの悪さについて言及しており、怪我がないことを祈る。
サトノクラウンの勝因、シャケトラの敗因は?宝塚記念2017結果

6月25日、阪神競馬場で春競馬の“総決算”宝塚記念(GI/芝内回り2200m)が行われ、サトノクラウン(牡5)が優勝した。圧倒的一番人気に支持されたキタサンブラックは、まさかの9着に敗れた。
勝者、敗者をわけた“分岐点”はどこにあったのだろうか? 振り返っていくことにしよう。
結果・着順
2017年 6月25日(日) 3回阪神8日 天候 : 曇 馬場状態 : 稍重
【11R】 第58回宝塚記念
3歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定) 芝・内 2200m 11頭立
着 | 馬 | 馬名S | 性齢 | 人 |
---|---|---|---|---|
1 | 11 | サトノクラウン | 牡5 | 3 |
2 | 2 | ゴールドアクター | 牡6 | 5 |
3 | 8 | ミッキークイーン | 牝5 | 4 |
4 | 6 | シャケトラ | 牡4 | 2 |
5 | 7 | レインボーライン | 牡4 | 7 |
6 | 1 | ミッキーロケット | 牡4 | 8 |
7 | 3 | スピリッツミノル | 牡5 | 9 |
8 | 5 | シュヴァルグラン | 牡5 | 6 |
9 | 10 | キタサンブラック | 牡5 | 1 |
10 | 4 | クラリティシチー | 牡6 | 11 |
11 | 9 | ヒットザターゲット | 牡9 | 10 |
LAP 12.5-11.1-11.6-13.1-12.3-11.7-11.6-11.8-11.7-11.8-12.2
通過 35.2-48.3-60.6-72.3 上り 70.8-59.1-47.5-35.7 平均 1F:11.95 / 3F:35.84
払い戻し
単勝 11 \900
複勝 11 \480 / 2 \550 / 8 \450
枠連 2-8 \710 (5)
馬連 02-11 \5250 (17)
ワイド 02-11 \1500 (18)/ 08-11 \1170 (13)/ 02-08 \1060 (12)
馬単 11-02 \10330 (30)
3連複 02-08-11 \10670 (29/165)
3連単 11-02-08 \70420 (160/990)
レース分析
まずはレースラップを見てみよう。
12.5-11.1-11.6-13.1-12.3-11.7-11.6-11.8-11.7-11.8-12.2
ポイントは2つ。
・4、5ハロン目に極端に緩んだこと
・以降はずっと11秒台を刻んだこと
予想に反してシュヴァルグランが逃げることになったが、スタートから2、3ハロン目はそこそこ流れた。しかし、4、5ハロン目で極端に緩んだことで、ここでかかるか、脚を溜められるかが一つの分岐点となった。
例えばキタサンブラックはこの区間でリラックスして走ることができなかった結果、直線では後退する一方になってしまった。
しかも6ハロン目からは11秒台と、休む期間がなくなってしまった。「息を入れられるときに入れられた馬」、要するに後ろで待機していて自分のペースで走ることができた馬が好走するようなレースになったわけだ。
先行勢が全滅したように、前に行った馬にとっては極めて厳しい展開となった。
サトノクラウン、ゴールドアクター、そしてミッキークイーンはいずれも最後の直線まで後方に待機していた。一方、キタサンブラック、シュヴァルグラン、そしてシャケトラの先行勢は馬券圏外に落ちてしまった。
このラップに対応できたかどうかが、一つの大きな“分岐点”となったわけだ。
出走馬勝因、敗因、次走への展望
1着 サトノクラウン
気難しい馬で、走らないときは掲示板にも載れないわけだが、ハマったときの爆発力がGI級であることをここで証明することになった。
勝因を挙げるとするなら
・馬場
・展開
・ミルコ・デムーロ騎手の手腕
だろうか。まず重馬場はサトノクラウン、そしてデムーロ騎手が最も得意とする条件だ。この条件で彼ら以上のコンビを見つけることは難しい。
さらに展開の後押しもあった。通常の宝塚記念は逃げ、先行馬の粘り込みが好走のパターンだが、今回は馬場が特殊だったこともあり、例年のような形にならなかった。後ろで待機しても勝負になるような展開になったことが優勝を後押ししたわけだ。
そして目を見張るのはデムーロ騎手の手腕だろう。向こう正面でデムーロ騎手は一度サトノクラウンを前へ促し、先行勢にプレッシャーをかけにいった。これでキタサンブラックら、先行勢は息を入れられなくなってしまった。
しかし、当の本人はペースが速くなると、再び後方に下がって機会をうかがった。結果、十分に脚をためることができ、直線の爆発につながったわけだ。
2着 ゴールドアクター
“終わっていないこと”を証明する2着となった。
展開、そして馬場が向いたのはサトノクラウンと同様。馬場の悪い内側を突いた点は、ゴールドアクターの重馬場適性やパワーに相当の自信を持っていたことの証明だろう。
そして有馬記念や宝塚記念のようなトリッキーな条件が得意なことも証明する形となった。今後は特殊な条件で評価を挙げ、東京や京都のようなコースでは評価を下げる必要がありそうだ。
3着 ミッキークイーン
宝塚記念といえば牝馬の台頭――。
期待に違わぬ走りを見せた。マイナスファクターに合致せず、競馬TIMES編集部でも「オススメの1頭」に挙げたように、好走する条件が揃っていたのだから。
3着止まりだったのは上位2頭が強かったこと、そして血統的な面が大きかっただろうか。
ミッキークイーンは“ズブいディープインパクト産駒”ではあるものの、血統的なタフさでは上位2頭に劣っていた。さすがにマルジューやスクリーンヒーロー(ロベルト系)に、ディープ産駒はタフさでかなわない。
今後もディープインパクト産駒が苦手なようなタフな条件で台頭してくる可能性はありそうだ。一見、瞬発力があるように見えるが、実はそれほどでもない。
よって、瞬発力が求められるジャパンカップより、持続力が求められるエリザベス女王杯のほうが向いている、と言えそうだ。
4着 シャケトラ
マンハッタンカフェ産駒は抜群のコース成績を誇っていただけに、台頭があるかと思われた。
しかし、先行勢に厳しいペースとGI級の底力が求められるレースとなり、最後の最後で失速してしまった。
もっとも、キタサンブラックやシュヴァルグランが沈んだ展開で先行しながら4着に粘ったのは立派だった。まだまだキャリアが浅く、成長が期待できる。
5着 レインボーライン
ステイゴールド産駒が得意な舞台でペースが向いたが、5着まで。コーナーで外を回した影響が多少なりともあったと考えられる。
ただし、マイナス要素よりプラスファクターのほうが多かっただけに、現状力負けと言えるかもしれない。
6着 ミッキーロケット
直線、ジリジリ伸びてきたものの、弾けるまではいかず。直線、窮屈になる場面があったとはいえ、この展開だったことを考慮すると、上位とは力の差があったと考えてしかるべきだろう。
7着 スピリッツミノル
ゴールドアクターの前にポジションを取り、内を突く選択をしたが直線では伸びなかった。力負け。
8着 シュヴァルグラン
意表を突く逃げを打ったが、3コーナーで手応えが怪しくなり、4コーナーでは馬群に飲み込まれた。初の逃げで戸惑ったこと、一気に距離短縮となったことでペースに戸惑ったことなど、敗因は複数考えられる。
もっとも、天皇書春上位組のキタサンブラックが同じように沈んだことを考慮すると、レコード決着だったレースの“見えない反動”があったとも考えられる。
よりスタミナのいる条件で見直しだろう。最低でも2400mはほしいところ。
9着 キタサンブラック
もともと合う条件ではなかったことに加え、チグハグな競馬になってしまった。詳細は個別の検証記事にて。
10着 クラリティシチー
展開向かず、馬場の悪いところを通った。現状、力負けだろう。
11着 ヒットザターゲット
残念ながら全盛期の力はもうない。
淀が震えた頂上決戦!キタサンブラックの勝因とサトノダイヤモンドらの敗因は?
現役最強馬の座を争う3頭のデッドヒートに、淀が揺れた。
4月30日に京都競馬場で行われた天皇賞春(GI/芝外回り3200m)で、1番人気のブラックタイド産駒キタサンブラック(牡5)が、3番人気シュヴァルグラン(牡5)、2番人気のサトノダイヤモンド(牡4)を押さえて勝利した。
勝ち馬の勝因、敗れた馬たちの敗因は何だったのか? 振り返っていくことにしよう。
レース映像・動画
映像はこちらから(※JRA公式サイト→レース結果のページでご覧いただけます)
結果・着順
2017年 4月30日(日) 3回京都4日 天候 : 晴 馬場状態 : 良
【11R】 第155回天皇賞(春)
4歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定) 芝・外 3200m 17頭立
着 | 馬 | 馬名S | 性齢 | 人 |
---|---|---|---|---|
1 | 3 | キタサンブラック | 牡5 | 1 |
2 | 6 | シュヴァルグラン | 牡5 | 4 |
3 | 15 | サトノダイヤモンド | 牡4 | 2 |
4 | 10 | アドマイヤデウス | 牡6 | 10 |
5 | 7 | アルバート | 牡6 | 6 |
6 | 9 | ディーマジェスティ | 牡4 | 8 |
7 | 12 | ゴールドアクター | 牡6 | 5 |
8 | 13 | トーセンバジル | 牡5 | 9 |
9 | 1 | シャケトラ | 牡4 | 3 |
10 | 5 | ファタモルガーナ | セ9 | 15 |
11 | 14 | ワンアンドオンリー | 牡6 | 11 |
12 | 16 | レインボーライン | 牡4 | 7 |
13 | 8 | タマモベストプレイ | 牡7 | 14 |
14 | 4 | スピリッツミノル | 牡5 | 16 |
15 | 17 | ヤマカツライデン | 牡5 | 12 |
16 | 11 | プロレタリアト | 牝6 | 17 |
17 | 2 | ラブラドライト | セ8 | 13 |
LAP 12.9-11.5-11.2-11.3-11.4-11.6-11.6-13.0-12.5-12.7-12.6-12.5-12.2-11.6-11.7-12.2
通過 35.6-46.9-58.3-69.9
上り 72.8-60.2-47.7-35.5
平均 1F:12.03 / 3F:36.09
レース分析
黒光りする馬体がゴール板を通過したとき、掲示板には「3.12.5」という数字が映し出された。
ディープインパクトが持っていた記録を大幅に更新するレコード決着となった。まさに最高の死闘、最高のマッチレースと表現していいレースだっただろう。
逃げ宣言をしていたヤマカツライデンがハナを切り、2番手にキタサンブラックがつけるという戦前の予想通りの展開となった。シュヴァルグランとシャケトラが並ぶように続き、サトノダイヤモンドは中段につけて最初のコーナーを曲がった。
向こう正面に差し掛かると、徐々にキタサンブラックがヤマカツライデンに迫っていく。ライバルを射程圏に捉えたいシュヴァルグランらも追走し、サトノダイヤモンドもポジションを徐々に上げていった。
3、4コーナーに差し掛かった頃にはキタサンブラックがヤマカツライデンを捉え、先頭に立つ。直線の入り口ではキタサンブラック、シュヴァルグラン、そしてサトノダイヤモンドの3頭が並び、力と力の叩き合いとなった。
キタサンブラックは二枚腰で伸び、シュヴァルグラン、粘るアドマイヤデウス、そしてサトノダイヤモンドが追いすがる。それでも後続を寄せ付けなかったキタサンブラックが、先頭を譲ることなく淀の歓声を自分のものにした。
12.9-11.5-11.2-11.3-11.4-11.6-11.6-13.0-12.5-12.7-12.6-12.5-12.2-11.6-11.7-12.2
ヤマカツライデンが引っ張ったとはいえ、キタサンブラックにとっても決して楽なペースではなかったはずだ。特に武豊騎手がレース後「追いかけに行ってしまった」と話したように、向こう正面では徐々に前へ進出していった。キタサンブラックにとって、簡単なレースではなかったわけだ。
むしろ位置取りとしてはシュヴァルグランやシャケトラのほうがよかったし、距離ロスがあったこと以外はサトノダイヤモンドのレース運びも盤石だった。
要するに、厳しいペースになったため、本当の底力が問われるレースになったわけだ。上位に入線した馬たちは、本当に強い馬だった、という結論を出していいだろう。
出走馬勝因、敗因、次走への展望
1着 キタサンブラック
向こう正面で緩まない程度にペースを落ち着かせ、ライバルに脚を使わせつつ押し切る、というのがキタサンブラックの勝ちパターンだ。しかし、今回は脚をためきれなかったように見えた。
それでも直線で力尽きることなく、後続を押さえてしまうのだから恐れ入る。
本当に強い馬の前では理屈など超えて「すごかった」という言葉しか出てこないものだ。今回のキタサンブラックはまさに「すごかった」というほかない。
●キタサンブラックの血統や次走は?歴史的名馬は凱旋門賞へ向かうのか?
2着 シュヴァルグラン
最高の条件、最高の枠順、最高の展開だった。
ハーツクライ産駒は成長力が魅力だ。この馬も例に漏れず、今までに増して力をつけてきた。今回はいい枠順を引けたし、キタサンブラックを見る形でレースが進められた。
しかし、それでもキタサンブラックには届かなかった。レース後、鞍上の福永祐一騎手が「思い通りのレースができた」と語ったように、ケチのつけることのない完璧なレースだった。
それだけに、キタサンブラックの強さを褒める他ない。
3着 サトノダイヤモンド
池江泰寿調教師が「相手の方が3つも4つも5つも上」と話したように、どこまでも届かない差があったようにすら感じられた。
もっとも、このレベルになるとほんの少しの差が勝負を分けてしまう。外枠で多少なりともロスがあったことも影響したはずだ。
もう勝ち馬が3頭いればいいのに……とすら感じられたレースだっただけに、今はただただ無事とさらなる飛躍を期待したい。
4着 アドマイヤデウス
特筆すべきは岩田康誠騎手の騎乗ぶりだろう。好スタートからポジションを取ると、あとはなるべく内へ内へ入るように馬を導いた。結果、3、4コーナーではラチ沿い2頭目を、1、2コーナーではラチ沿いに入り、距離ロスを防いだ。
最後、現役最強馬クラスの3頭に競り負けてしまったが、120点のレースだった。馬券を勝ったファンは悔しがりつつ「これで負けたら仕方ない」と思えるレースだったのではないだろうか。さすが岩田騎手、といったところ。
アドマイヤドン産駒、もしくはミスプロ系全体に言えることだが、どうしても3000m以上の底力勝負になると勝てない。キングカメハメハ産駒(キングマンボ系=ミスプロ系)が長距離レースを苦手としていることでも分かるだろう。
あまり得意な条件ではないだけに、大健闘の4着だった。
5着 アルバート
同じくアドマイヤドン産駒のアルバートは中段から我慢の競馬をした。スムーズな競馬ではあったが、なかなか内に入れられず、アドマイヤデウスと比較しても距離をロスしていた感は否めない。
また、なかなか反応が鈍いタイプのため、4コーナーの仕掛け時に置いていかれてしまった。
もっとも、内をつけるような器用なタイプではないし、血統的な欠点もあったため、こちらも力を出し切っての5着だったといえるだろう。
6着 ディーマジェスティ
スタートで出負けしてポジションを悪くし、内に入れずに終始大外を回して距離をロス……というチグハグな競馬になってしまった。直線の入り口では伸びてきたため、一瞬「おっ」と思わせたが、残り200m付近で他の馬たちと脚色が同じになってしまった。
もっとも、あれだけ距離をロスしていて伸びてきたらそれこそ怪物級であるため、このレースぶりで止まるのは仕方なかった。むしろ健闘の6着といえるのではないだろうか。
セントライト記念以降、歯がゆい結果が続いているが、これは血統的な側面が大きそうだ。ディープインパクト産駒×ロベルト系の組み合わせはどうしても中央よりローカル的な条件を得意としている。タフな馬場、コーナー4回などの条件で巻き返しが期待される。
7着 ゴールドアクター
横山典弘騎手が「スタートで終わってしまった」と語ったように、残念なレースになってしまった。本来は先行してアドマイヤデウスのような競馬がしたかったはず。ずっと先行してきた馬が二桁番手につける時点で勝負にならなかった。
ノーカウントと捉えてOKだろう。
8着 トーセンバジル
枠順と脚質の問題でどうしてもロスの多い競馬になってしまった。4コーナーでは一瞬内をつこうとしたように見えたが、スペースがなくて諦めて……といった競馬だった。今回は相手が強かったし、キャラクターとしても「最後の直線で脚は使うけど、それまでのロスが……」というタイプのため、これ以上はどうしようもなかったか。
9着 シャケトラ
スタート、やや出負けしたが、盛り返して好位置を取った。ただ、終始田辺裕信騎手と喧嘩し、行きたがってしまった。2週目の3、4コーナーではほとんど手応えなく、3強の叩き合いを後方で眺めていた。
1枠1番という最高の枠を引いたこともあって人気になっていたが、さすがに初のGIでは荷が重すぎた。
10着 ファタモルガーナ
枠順を利して一発を狙ったが、厳しかった。さすがに力が足りなかったし、高速馬場も向かなかった。
11着 ワンアンドオンリー
3番手につける積極的な競馬だったが、最後のコーナーでは手応えがなく、後退していった。
ワンアンドオンリーに関しては以下の記事で書いたが、3歳時の消耗がすべて。今後も厳しいだろう。
●ダービー馬ワンアンドオンリーは古馬GIで勝てない?宝塚記念惨敗の真相を暴く
12着 レインボーライン
出遅れで最後方に待機し、一発を狙ったが、前の3頭が強すぎた。最内をつけば幾分か着順を上げられただろうが、スペースがなく厳しかった。
13着 タマモベストプレイ
力負け。
14着 スピリッツミノル
力負け。
15着 ヤマカツライデン
レコードタイムを演出する良い逃げをうってくれた。積極的なレース運び、名勝負の演出という意味で、感謝したい。
16着 プロレタリアト
力負け。
17着 ラブラドライト
力負け。

2015年11月8日に東京競馬場で行われるアルゼンチン共和国杯(GII/芝2500m)で人気に支持されることが濃厚なのがゴールドアクター(牡4)だ。
3歳クラシックでは菊花賞で3着に食い込み、世代屈指の力があることを証明した。その後、約10カ月間、休養することとなったが、休み明け初戦を快勝すると、2走目の準オープン、オクトーバーステークスも快勝。満を持してアルゼンチン共和国杯へ臨んでくる。
果たしてゴールドアクターは父スクリーンヒーローと同じ道を歩むことができるのだろうか?
出世レースのアルゼンチン共和国杯
アルゼンチン共和国杯といえばジャパンカップや有馬記念で飛躍を目指す馬たちが集まるレースとして知られている。特に近年は“出世レース”というイメージが定着した。
昨年の勝ち馬フェイムゲームは今年の天皇賞春で2着に食い込み、2着のクリールカイザーはアメリカジョッキークラブカップでゴールドシップらを一蹴。
2年前の2着馬アドマイヤラクティはオーストラリアでGI馬となり、11年の勝ち馬トレイルブレイザーはジャパンカップやブリーダーズカップターフで4着になるなど、GIでも善戦した。
アルゼンチン共和国杯で好走した馬の多くが、後にGIで活躍しているのだ。
そして、他の何よりも“出世レース”というイメージを印象づけた馬こそ、ゴールドアクターの父であるスクリーンヒーローだろう。
当時、スクリーンヒーローは準オープン馬に過ぎなかった。前走のオクトーバーSでは2着。準OPですら勝ち切れない馬だった。
しかし、アルゼンチン共和国杯では後の天皇賞馬ジャガーメイルに競り勝って重賞初制覇を成し遂げると、続くジャパンカップではウオッカ、ディープスカイ、メイショウサムソンという3世代のダービー馬を蹴落として一気にGI馬への階段を登った。まさに銀幕に映される映画のようなシナリオで、出世街道を歩んだのだ。
関係者はゴールドアクターにも同じ道を歩むよう、期待を寄せているはずだ。
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