タグ:キタサンブラック

(C)Yushi Machida

10万人を超える大観衆に魅せた圧倒的な力、絶対的王者の引退——。

2017年12月24日、中山競馬場で有馬記念(GI/芝 2500m)が行われた。再度その能力の高さを顕示したキタサンブラックは、2着以下を寄せ付けず見事引退レースVを成し遂げた。

2番人気に推されたスワーヴリチャードは4着での入線となったが、勝者と敗者を決める分岐点はどこにあったのか振り返っていこう。


結果・着順

2017年12月24日(日) 5回中山8日 天候 : 晴  馬場状態 : 良
【11R】 第62回有馬記念
3歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定) 芝 2500m 16頭立

馬名性齢
キタサンブラック牡51
クイーンズリング牝58
シュヴァルグラン牡53
スワーヴリチャード牡32
ルージュバック牝510
シャケトラ牡47
サウンズオブアース牡614
レインボーライン牡49
サトノクロニクル牡311
10ヤマカツエース牡56
11ミッキークイーン牝55
12ブレスジャーニー牡312
13サトノクラウン牡54
14トーセンビクトリー牝515
15カレンミロティックセ916
16サクラアンプルール牡613

LAP  6.8-11.6-11.9-12.2-12.3-13.3-13.2-12.8-12.2-12.1-11.7-11.2-12.3
通過 30.3-42.5-54.8-68.1  上り 72.3-59.5-47.3-35.2  平均 1F:12.29 / 3F:36.86

払い戻し

単勝  2 \190
複勝  2 \120 / 3 \550 / 10 \180
枠連  1-2 \1600 (6)
馬連  02-03 \3170 (9)
ワイド 02-03 \1180 (13)/ 02-10 \280 (2)/ 03-10 \2760 (30)
馬単  02-03 \3810 (12)
3連複 02-03-10 \5420 (16/560)
3連単 02-03-10 \25040 (68/3360)

レース分析

レースラップは以下の通りである。

6.8-11.6-11.9-12.2-12.3-13.3-13.2-12.8-12.2-12.1-11.7-11.2-12.3

キタサンブラックがスタートを決めて楽にハナを取る形で隊列が形成され始めた。序盤は少々流れたが、1周目の直線あたりから徐々にキタサンペースに落ち着いていった。

1角、2角では13.3-13.2-12.8と、大胆と言っていいほどにペースが落とされた。向正面から徐々にペースが上がり、最後の1000mは12.2-12.1-11.7-11.2-12.3とロングスパートではあるものの、直線入り口で一気に突き放した。

直線で追い出されたキタサンブラックは後続の追随を許さず見事優勝を果たした。ラスト1Fは12.3と少々甘くなったが、差せる位置に馬を寄せ付けなかった。

直線であわや大事故ともなりかねない騎乗があったのは残念である。不利を受けたのはシュヴァルグランとサクラアンプルールだが、あれがなければ2、3着は変わっていたかもしれないと思うと少し残念でもある。

しかし、落馬などあればキタサンブラックの祝福ムードではなくなってしまう。彼の強さは十分に伝わった。人馬ともに怪我なく完走できたことが最良の出来事だったといえるだろう。

出走馬勝因、敗因、次走への展望

1着 キタサンブラック

スタートを綺麗に決めて先頭に立った。序盤こそペースが流れたが、1周目ホームストレッチあたりから少しずつペースを落とした。1、2角では13.3-13.2-12.8と大胆に息を入れた。

向正面で少しずつペースが上がり、ラスト1000mは12.2-12.1-11.7-11.2-12.3とロングスパートの形で勝負に出た。かなりペースを落としていたにも関わらず、早い段階で動く馬がいなかったため、キタサンブラックにとっては楽な流れとなった。

直線で追い出されると後続の追随を許さず、一度も先頭を譲ることなく見事引退Vで有馬記念を優勝した。最後の坂で甘くなることが多く、今回も11.2-12.3と甘くなった印象を受けるが、そこに付け入ることのできる位置に他馬を寄せ付けなかった。

2着 クイーンズリング

内枠を活かした完璧な騎乗でこちらも引退レースで結果を残した。直線での斜行はあったものの、それを除けばさすがC. ルメール騎手といった騎乗だった。

内5番手にポジションを取ったC. ルメール騎手、道中ロスなく進めることで脚を溜めることができた。この馬にとっては完全なロングスパートになりきらなかったこと、内枠を活かしたルメール騎手の完璧な騎乗が噛み合って生まれたものだろう。

外国人騎手の大舞台での勝負根性を見せ付けられた。やはり外国人は巧いと表現したくなるエスコートだった。


3着 シュヴァルグラン

中団後ろで道中運んでいたが、3、4角で先に後ろから外を回って動いてきたスワーヴリチャードとともに進出を開始した。内から斜行したクイーンズリングと外から斜行したスワーヴリチャードに挟まれて不利を受ける場面があった。

この不利さえなければ2着まで食い込めていたことも予想でき、非常に残念な結果に終わった。やはり左回りで力を存分に発揮する1頭ではないか。キタサンブラック不在となるこれからのレース、この馬が今後どのような競馬を見せるのか期待したい。

4着 スワーヴリチャード

懸念された右回り、直線で他馬に大きな迷惑をかける形となった。

直線で右鞭を受けても内に大きくヨレてしまい、シュヴァルグランやサクラアンプルールなどに不利を与えてしまったのは良くなかった。

それでも出負けして後方からの競馬になりながら4着は立派で、ここからさらに完成度が上がれば来年の期待は計り知れない。

5着 ルージュバック

最後方で直線を迎えるも上がり最速で懸命に追い込んでの5着。枠がもう少し内になればさらに着順をあげることができた可能性もある。ルージュバックもここで引退か。

キタサンブラックの引退レースだったが、ルージュバックに騎乗した北村宏司騎手は菊花賞まで主戦としてキタサンブラックに跨っていた。彼にとっても思い入れのあるレースだったのではないか、今回騎乗のルージュバックとともに掲示板まで駆け上がってきた。

16着 サクラアンプルール

直線で不利を受けて着順を大きく落とした。穴として注目していたファンは多く、落胆の色を隠せなかった。サクラアンプルール、蛯名騎手ともに怪我なく完走できたのは不幸中の幸い。

ここでこの着順になったのは不利があったことによるもの。中山巧者の実力はまだまだ発揮されていない。今後注目してみたい1頭である。

まとめ

キタサンブラックの引退Vで幕を閉じた今年の有馬記念。キタサンブラックはやはり強かった。今後王者の引退でGIレースのペースに乱れが生じることが予想される。


これからはまた違った意味で面白い競馬が観られるだろう。

ありがとう、キタサンブラック。


シュヴァルグランの勝因、キタサンブラックやレイデオロの敗因は?ジャパンカップ2017回顧

(C) 2017 Ricky All Rights Reserved.

11月26日、東京競馬場でジャパンカップ (GI/芝2500m)が行われ、シュヴァルグラン(牡5/栗東 友道厩舎)が優勝した。逃げた1番人気キタサンブラックを直線で捉え、念願の初GIタイトルを手にした。

強豪がひしめく今年のジャパンカップ、人気馬を退けて優勝したシュヴァルグランの勝因は何だったのか、3着に沈んだキタサンブラックの敗因はどこにあるのか。

勝者、敗者をわけた“分岐点”を、振り返っていくことにしよう。


結果・着順

2017年11月26日(日) 5回東京8日 天候 : 晴  馬場状態 : 良
【11R】 第37回ジャパンカップ
3歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定) 芝 2400m 17頭立

馬名性齢
1シュヴァルグラン牡55
2レイデオロ牡32
4キタサンブラック牡51
11マカヒキ牡46
14アイダホ牡410
9レインボーライン牡48
8ソウルスターリング牝34
16ヤマカツエース牡512
3ギニョール牡59
1012サトノクラウン牡53
1113シャケトラ牡47
125サウンズオブアース牡611
1210ブームタイム牡616
1417ラストインパクト牡714
156イキートス牡513
1615ワンアンドオンリー牡615
177ディサイファ牡817

LAP 13.0-11.2-12.1-12.1-11.8-12.1-12.3-12.2-11.8-11.3-11.8-12.0
通過 36.3-48.4-60.2-72.3  上り 71.4-59.1-46.9-35.1  平均 1F:11.97 / 3F:35.92

払い戻し

単勝  1 \1330
複勝  1 \190 / 2 \140 / 4 \120
枠連  1-1 \1780 (6)
馬連  01-02 \1770 (7)
ワイド 01-02 \460 (5)/ 01-04 \350 (3)/ 02-04 \230 (1)
馬単  01-02 \5250 (19)
3連複 01-02-04 \1300 (2/680)
3連単 01-02-04 \13340 (36/4080)

レース分析

まずはレースラップをチェックしていきたい

13.0-11.2-12.1-12.1-11.8-12.1-12.3-12.2-11.8-11.3-11.8-12.0(36.3-35.1)

ポイントは2つ

・ラスト3Fが最速ラップだったこと
・前半のペースがややスローではあるものの、昨年より早いペースだったこと

全馬ほぼ揃ったスタートでジャパンカップの幕が開けられた。前走とは変わってスタートを綺麗に決めたキタサンブラックがハナに立って1角へと進んで行った。キタサンブラックがそのまま自分のペースに持ち込んだものの、前半のペースがやや早く、昨年のようなキタサンブラックの楽逃げとはならなかった。

その流れの中でのラスト3Fが最速ラップとなり、キタサンブラックには少々苦しい形となった。ギニョールの後ろ、3列目内にポジションを取り、3、4角をロスなく回ったシュヴァルグラン、スタートで挟まれてポジションを下げることになったレイデオロが直線で抜け出して脚を伸ばして行った。

この2頭が直線でキタサンブラックを捉え、そのまま後続を寄せ付けず残り100m付近でシュヴァルグランがキタサンブラックを捉えた。レイデオロはゴール前でキタサンブラックを交わし、3着で入線した。

不良馬場での開催となった天皇賞(秋)に出走せず、万全の状態でジャパンカップに臨んだ2頭での決着となった。期待された天皇賞(秋)組が馬群に沈む中、かかってこいと言わんばかりに堂々と逃げての3着、キタサンブラックは負けて強し、立派な競馬だったのではないか。

(C) 2017 Ricky All Rights Reserved.

出走馬勝因、敗因

1着 シュヴァルグラン

綺麗にゲートから出て、若干出負けしたレイデオロの進路を締める好スタートとなった。内からギニョールの後ろにポジションを取り、3列目内を回って3角、4角とスムースにレースを進めた。

直線を向くと少し外へ追い出して進出し、あとは苦しい展開となったキタサンブラックを直線で捉えるだけとなった。残り100mでキタサンブラックを抜いて先頭に立ち、悲願の初GI制覇となった。

京都大賞典を叩き台に使い、天皇賞(秋)を回避して万全の状態でこのジャパンカップに臨んだこととボウマン騎手のスムースな騎乗が噛み合ったことが大きな勝因だった。

2着 レイデオロ

スタートが良かった両脇に馬に対し、若干出負けしてしまったレイデオロは、ポジションを下げることを余儀なくされる苦しいスタートとなった。中団の内めで3角まで乗り進めるも、4角から直線に向くところで外へ出し、キタサンブラックを目掛けて進出した。


ジリジリと先頭との距離を縮め、ゴール前でキタサンブラックを交わしての2着入線となった。優勝はならなかったものの、初めての古馬との戦いとなった本レースで堂々の2着は評価に値するものだった。

3着 キタサンブラック

前走とは異なり、綺麗にスタートを決めてスムースに先頭に立った。そのまま自分の競馬に持ち込むも、昨年ほどのスローペースに持ち込むことはできなかった。

前半のペースが昨年より早かった中で、ラスト3Fが最速ラップとなる早仕掛けとなったキタサンブラックは、3列目で脚を溜めていたシュヴァルグラン、中団外めから脚を伸ばしてきたレイデオロに交わされて3着に沈んだ。

天皇賞(秋)の疲労や鞍上武豊の怪我など不安要素がいくつかある中、1番人気を背負ってスタートを迎えた。天皇賞(秋)組で馬券に絡むことができたのがキタサンブラックだけであったことから、やはり前走の疲れは計り知れないほど大きく、その状態で3着に残った力はやはり怪物級だった。

7着 ソウルスターリング

毎日王冠、天皇賞(秋)と惨敗しても4番人気に推されたのは、これまでにソウルスターリングに魅せられたファンの想いだろうか。C. デムーロ騎手を鞍上に、勝ったオークスと同じ舞台でスタートを迎えた。

スタートを決めるも折り合いの不安からか中団にポジションを取った。道中少し掛かり気味で3-4角へ。直線を向いてシュヴァルグランの直後に進路を取って進出するも直線で手応えなく、前と離されて7着となった。

好位に付けたかったが折り合いに問題があり、前に壁を作るためにポジションを下げた。それでも力んでしまい、直線では脚が残っていなかった。

10着 サトノクラウン

M. デムーロ騎手の成績を考慮してか、道悪ではないものの3番人気に推された。外めの枠からスタートし、後方外めにポジションを取った。

3-4角で外からジリジリ押し上げて行き、外から直線伸びて行くと思われたが手応えがなく前と離される。M. デムーロ騎手も無理することはなく10着入線となった。実力を十二分に発揮できる条件が狭い印象が強まる結果となった。


(C)はねひろ

6月25日、阪神競馬場で春競馬の“総決算”宝塚記念(GI/芝内回り2200m)が行われ、サトノクラウン(牡5)が優勝した。圧倒的一番人気に支持されたキタサンブラックは、まさかの9着に敗れた。

勝者、敗者をわけた“分岐点”はどこにあったのだろうか? 振り返っていくことにしよう。


結果・着順

2017年 6月25日(日) 3回阪神8日 天候 : 曇  馬場状態 : 稍重
【11R】 第58回宝塚記念
3歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定) 芝・内 2200m 11頭立

馬名S性齢
11サトノクラウン牡53
2ゴールドアクター牡65
8ミッキークイーン牝54
6シャケトラ牡42
7レインボーライン牡47
1ミッキーロケット牡48
3スピリッツミノル牡59
5シュヴァルグラン牡56
10キタサンブラック牡51
104クラリティシチー牡611
119ヒットザターゲット牡910

LAP 12.5-11.1-11.6-13.1-12.3-11.7-11.6-11.8-11.7-11.8-12.2
通過 35.2-48.3-60.6-72.3  上り 70.8-59.1-47.5-35.7  平均 1F:11.95 / 3F:35.84

払い戻し

単勝  11 \900
複勝  11 \480 / 2 \550 / 8 \450
枠連  2-8 \710 (5)
馬連  02-11 \5250 (17)
ワイド 02-11 \1500 (18)/ 08-11 \1170 (13)/ 02-08 \1060 (12)
馬単  11-02 \10330 (30)
3連複 02-08-11 \10670 (29/165)
3連単 11-02-08 \70420 (160/990)

レース分析

まずはレースラップを見てみよう。

12.5-11.1-11.6-13.1-12.3-11.7-11.6-11.8-11.7-11.8-12.2

ポイントは2つ。

・4、5ハロン目に極端に緩んだこと
・以降はずっと11秒台を刻んだこと

予想に反してシュヴァルグランが逃げることになったが、スタートから2、3ハロン目はそこそこ流れた。しかし、4、5ハロン目で極端に緩んだことで、ここでかかるか、脚を溜められるかが一つの分岐点となった。

例えばキタサンブラックはこの区間でリラックスして走ることができなかった結果、直線では後退する一方になってしまった。

しかも6ハロン目からは11秒台と、休む期間がなくなってしまった。「息を入れられるときに入れられた馬」、要するに後ろで待機していて自分のペースで走ることができた馬が好走するようなレースになったわけだ。

先行勢が全滅したように、前に行った馬にとっては極めて厳しい展開となった。

サトノクラウン、ゴールドアクター、そしてミッキークイーンはいずれも最後の直線まで後方に待機していた。一方、キタサンブラック、シュヴァルグラン、そしてシャケトラの先行勢は馬券圏外に落ちてしまった。

このラップに対応できたかどうかが、一つの大きな“分岐点”となったわけだ。

出走馬勝因、敗因、次走への展望

1着 サトノクラウン

気難しい馬で、走らないときは掲示板にも載れないわけだが、ハマったときの爆発力がGI級であることをここで証明することになった。

勝因を挙げるとするなら

・馬場
・展開
・ミルコ・デムーロ騎手の手腕

だろうか。まず重馬場はサトノクラウン、そしてデムーロ騎手が最も得意とする条件だ。この条件で彼ら以上のコンビを見つけることは難しい。


さらに展開の後押しもあった。通常の宝塚記念は逃げ、先行馬の粘り込みが好走のパターンだが、今回は馬場が特殊だったこともあり、例年のような形にならなかった。後ろで待機しても勝負になるような展開になったことが優勝を後押ししたわけだ。

そして目を見張るのはデムーロ騎手の手腕だろう。向こう正面でデムーロ騎手は一度サトノクラウンを前へ促し、先行勢にプレッシャーをかけにいった。これでキタサンブラックら、先行勢は息を入れられなくなってしまった。

しかし、当の本人はペースが速くなると、再び後方に下がって機会をうかがった。結果、十分に脚をためることができ、直線の爆発につながったわけだ。

2着 ゴールドアクター

“終わっていないこと”を証明する2着となった。

展開、そして馬場が向いたのはサトノクラウンと同様。馬場の悪い内側を突いた点は、ゴールドアクターの重馬場適性やパワーに相当の自信を持っていたことの証明だろう。

そして有馬記念や宝塚記念のようなトリッキーな条件が得意なことも証明する形となった。今後は特殊な条件で評価を挙げ、東京や京都のようなコースでは評価を下げる必要がありそうだ。

3着 ミッキークイーン

宝塚記念といえば牝馬の台頭――。

期待に違わぬ走りを見せた。マイナスファクターに合致せず、競馬TIMES編集部でも「オススメの1頭」に挙げたように、好走する条件が揃っていたのだから。

3着止まりだったのは上位2頭が強かったこと、そして血統的な面が大きかっただろうか。

ミッキークイーンは“ズブいディープインパクト産駒”ではあるものの、血統的なタフさでは上位2頭に劣っていた。さすがにマルジューやスクリーンヒーロー(ロベルト系)に、ディープ産駒はタフさでかなわない。


今後もディープインパクト産駒が苦手なようなタフな条件で台頭してくる可能性はありそうだ。一見、瞬発力があるように見えるが、実はそれほどでもない。

よって、瞬発力が求められるジャパンカップより、持続力が求められるエリザベス女王杯のほうが向いている、と言えそうだ。

4着 シャケトラ

マンハッタンカフェ産駒は抜群のコース成績を誇っていただけに、台頭があるかと思われた。

しかし、先行勢に厳しいペースとGI級の底力が求められるレースとなり、最後の最後で失速してしまった。

もっとも、キタサンブラックやシュヴァルグランが沈んだ展開で先行しながら4着に粘ったのは立派だった。まだまだキャリアが浅く、成長が期待できる。

5着 レインボーライン

ステイゴールド産駒が得意な舞台でペースが向いたが、5着まで。コーナーで外を回した影響が多少なりともあったと考えられる。

ただし、マイナス要素よりプラスファクターのほうが多かっただけに、現状力負けと言えるかもしれない。

6着 ミッキーロケット

直線、ジリジリ伸びてきたものの、弾けるまではいかず。直線、窮屈になる場面があったとはいえ、この展開だったことを考慮すると、上位とは力の差があったと考えてしかるべきだろう。

7着 スピリッツミノル

ゴールドアクターの前にポジションを取り、内を突く選択をしたが直線では伸びなかった。力負け。

8着 シュヴァルグラン

意表を突く逃げを打ったが、3コーナーで手応えが怪しくなり、4コーナーでは馬群に飲み込まれた。初の逃げで戸惑ったこと、一気に距離短縮となったことでペースに戸惑ったことなど、敗因は複数考えられる。

もっとも、天皇書春上位組のキタサンブラックが同じように沈んだことを考慮すると、レコード決着だったレースの“見えない反動”があったとも考えられる。

よりスタミナのいる条件で見直しだろう。最低でも2400mはほしいところ。

9着 キタサンブラック

もともと合う条件ではなかったことに加え、チグハグな競馬になってしまった。詳細は個別の検証記事にて。

10着 クラリティシチー

展開向かず、馬場の悪いところを通った。現状、力負けだろう。

11着 ヒットザターゲット

残念ながら全盛期の力はもうない。


なぜキタサンブラックと武豊は宝塚記念で惨敗したのか?5つの予兆と敗因とは

(C)Arappa

「競馬に絶対はない」

その格言を痛感させられる結果となった。

6月25日、阪神競馬場で春競馬の“総決算”宝塚記念(GI/芝内回り2200m)が行われ、サトノクラウン(牡5)が優勝した。圧倒的一番人気に支持されたキタサンブラックは、まさかの9着に敗れた。

なぜ現役最強馬は無残に惨敗することになったのか? その理由を検証していこう。


プロフィール〜血統・誕生日・馬主・調教師・生産者〜

ブラックタイド
シュガーハート
母の父サクラバクシンオー
母の母オトメゴコロ
性別
馬齢5 歳
生年月日2012年3月10日
毛色鹿毛
馬主(有)大野商事
調教師清水久詞(栗東)
生産牧場ヤナガワ牧場
産地日高町
馬名意味冠名+父名の一部

数多くあった不安要素

まず、大前提としてキタサンブラックに不安要素がなかったわけではない。それどころか、5つもの明確な不安要素があった。

・天皇賞春の反動
・過去10年で春古馬王道路線連覇はなし
・グランプリは3回走って勝利ゼロ
・叩き3戦目はパフォーマンスを落とす傾向に
・武豊騎手もグランプリは久しく勝っていない

※詳細→宝塚記念2017の予想データ分析…キタサンブラックと武豊騎手の5つの不安要素とは?

いくら天皇賞春でサトノダイヤモンドを破って現役最強馬の称号を得た馬とはいえ、これだけの不安要素があった中で1.4倍の一番人気になるというのは少々荷が重かったと言えるかもしれない。

想定外の展開の連続

実際のレースでも想定外のことがいくつも起こった。

まず今回はハナを切ることができなかった。ここ数戦も番手からの競馬をしているが、天皇賞春はヤマカツライデンが、大阪杯はマルターズアポジーが大逃げを打ったため、キタサンブラックは実質的な逃げ馬として自分でペースを作ることができていた。

しかし、今回は3番手に控えた。しかもハナを切ったのはシュヴァルグラン。大方の予想を覆す馬、逃げたことがない馬がペースを作ることになり、少々おかしなラップを刻むことになった。

12.5-11.1-11.6-13.1-12.3-11.7-11.6-11.8-11.7-11.8-12.2

2、3ハロン目で加速したが、4、5ハロン目では極端にペースが緩んでいる。キタサンブラックが逃げたときには起こらない現象だ。シュヴァルグラン、そしてシャケトラに並ぶ形で競馬をするしかなかったキタサンブラックは、結果として自分のペースで競馬ができなかったのだ。

さらに向こう正面ではミルコ・デムーロ騎手騎乗のサトノクラウンが外側から上がってきてプレッシャーをかけてきた。ここでまた自分の走りをするのが難しくなってしまった。

象徴的だったのが武豊騎手の手綱だ。いつもはほとんど手綱を緩めた中でレースを進めていくが、この日はガッチリと握られていた。まるでキタサンブラックを必死でなだめるような力の入れようだった。この点からも、いつものキタサンブラックではなかったことがうかがえる。

向かなかった展開

直線に入った段階でほとんど余力が残っていなかったことを見ても分かる通り、非常に消耗の激しいレースとなった。

実際、ペースは速かった。そのことは先ほどのラップと着順別の位置取りを見ると一目瞭然だ。

馬名通過順位
サトノクラウン07-06-06-06
ゴールドアクター06-06-06-09
ミッキークイーン09-09-09-09
シャケトラ02-02-02-03
レインボーライン10-09-10-06
ミッキーロケット03-04-04-06
スピリッツミノル07-06-06-05
シュヴァルグラン01-01-01-01
キタサンブラック03-03-02-03
クラリティシチー03-04-04-02
ヒットザターゲット10-11-11-11

上位3頭は差し、追い込み馬で、先行馬はシャケトラを除いて下位に沈んでいる。シュヴァルグランは天皇賞春で2着になるようなスタミナを誇る馬だが、実力馬であってもこのペースでは持ちこたえられなかったのだ。

リズムの悪い走りをした中で展開も向かなければ、キタサンブラックが沈んだのも無理はない。


数々の不安要素が当たり、実際のレースでも今までのような展開に持ち込めなかった。これらがキタサンブラック惨敗の理由だと考えられる。

秋の復活なるか?次走の選択は……

さて、果たして今後、どのような道を選択するのだろうか?

宝塚記念の結果次第ではフランスの凱旋門賞へ挑戦するプランがあると明言されていた。実際に登録も済ませている。

しかし、ここまでの惨敗を喫すると、話は変わってくるかもしれない。もともと北島三郎オーナーは「息子を知らない土地へ連れていくのはかわいそう」と海外遠征に消極的だった。GIを勝つにつれて前向きな考えに変わってきたと発言していたが、このレースを見て考えを変える可能性がないとは言い切れないだろう。

国内に専念するのか、あるいはこの結果を受けてなお、海外に挑戦するのか。

一つ確かなことは、多くの競馬ファンがキタサンブラックの復活を、今から待ち望んでいるということだ。


キタサンブラックと武豊騎手に期待する5つのこととは?宝塚記念2017

(C)Yushi Machida‏

現役最強馬の証明へ――。

ファンの期待に応えるために――。

6月25日、キタサンブラック(牡5)と武豊騎手は春競馬の“総決算”宝塚記念でグランプリ制覇に臨む。圧倒的な一番人気に支持されることが確実な中、彼らはどんなレースを見せるのだろうか? 宝塚記念の“先にあるもの”とは?

今回は「キタサンブラックに期待する5つのこと」を焦点に、話を進めていこう。


史上初の快挙へ

まずは“春古馬GI完全制覇”が期待されるところだ。

今年から大阪杯がGIに昇格し、春の古馬中長距離路線が確立した。その初年度に、完全制覇を成し遂げるというのは驚くべきことであると同時に至難の業と言える。

秋古馬3冠を例に見てみよう。

天皇賞秋、ジャパンカップ、そして有馬記念の完全制覇を達成したのは、歴史上わずか2頭しかいない。テイエムオペラオーとゼンノロブロイ。いずれも歴史的な名馬である。

すでにキタサンブラックは「歴史的名馬」と呼べるクラスの戦績を残しているが、宝塚記念を制するようなことがあれば、さらに箔がつくことになる。

近年の競馬界をけん引してきた馬として、競馬ファンが待ち望む快挙を達成したいところだ。

“証明”の必要性

秋古馬3冠の獲得は同時に現役最強馬の証明を意味する。すでに天皇賞春においてサトノダイヤモンドとの“現役最強馬決定戦”を制しているが、宝塚記念は天皇賞春より門戸が広い。

中距離馬はもちろん、マイル路線を歩んでいた馬や牝馬も参戦してくる。ここで勝つようなら「現役最強馬」という肩書はさらに揺るぎないものとなるわけだ。

波乱が起こるのも競馬の魅力ではあるが、「強い馬が勝つべくして勝つ」というのもファンの心に響く。かつてメジロマックイーンに対し「絶対の強さは、時に人を退屈させる」というキャッチコピーがつけられたが、マックイーンは今なお競馬ファンの心に残り続けている。

現役最強を証明し、いつまでも人々の心にとどまるような馬になるための挑戦でもあるわけだ。

(C)Horse Race Photo Studio

武豊騎手久々の…

鞍上のストーリーも見逃すことはできない。鞍上の武豊騎手にとっても久々のグランプリ制覇がかかっているのだ。

実は武豊騎手、宝塚記念で4勝を、有馬記念で2勝を挙げているが、久しくグランプリ制覇の美酒を味わっていない。

宝塚記念

日付馬名着順人気
2016.6.26キタサンブラック2
2015.6.28トーセンスターダム129
2014.6.29ヒットザターゲット12
2013.6.23トーセンラー4
2011.6.26ビートブラック1112
2009.6.28スマートギア8
2008.6.29メイショウサムソン1
2007.6.24ポップロック4
2006.6.25ディープインパクト1
2005.6.26アドマイヤグルーヴ8
2004.6.27リンカーン3
2003.6.29ダイタクバートラム5
2000.6.25ラスカルスズカ3
1999.7.11スペシャルウィーク1
1998.7.12エアグルーヴ3
1997.7.6マーベラスサンデー1
1996.7.7オースミタイクーン107
1994.6.12ベガ135
1993.6.13メジロマックイーン1
1992.6.14メイショウビトリア1210
1991.6.9メジロマックイーン1
1990.6.10シンウインド6
1989.6.11イナリワン2
1988.6.12フレッシュボイス3

有馬記念

日付馬名着順人気
2016.12.25キタサンブラック2
2014.12.28トーセンラー8
2013.12.22ラブイズブーシェ12
2012.12.23トレイルブレイザー139
2011.12.25レッドデイヴィス6
2010.12.26ローズキングダム0
2009.12.27リーチザクラウン135
2008.12.28メイショウサムソン4
2007.12.23メイショウサムソン1
2006.12.24ディープインパクト1
2005.12.25ディープインパクト1
2004.12.26ダイタクバートラム5
2003.12.28リンカーン4
2002.12.22ファインモーション1
2001.12.23トゥザヴィクトリー6
2000.12.24アドマイヤボス6
1999.12.26スペシャルウィーク2
1998.12.27エアグルーヴ2
1997.12.21マーベラスサンデー1
1996.12.22マーベラスサンデー3
1995.12.24ナリタブライアン2
1993.12.26ベガ6
1992.12.27ヒシマサル3
1991.12.22メジロマックイーン1
1990.12.23オグリキャップ4
1989.12.24スーパークリーク2
1988.12.25スーパークリーク4

最後に勝ったのは2006年、ディープインパクトとともに臨んだ有馬記念だ。実に10年以上、グランプリで勝てていない。ディープインパクト以前となると、1997年のマーベラスサンデーまでさかのぼることになる。

現役最強馬に跨り、武豊騎手が久々にグランプリを勝つ――。


仮にそうなれば、競馬界全体が盛り上がることになるはずだ。

秋の飛躍と、夢への挑戦へ

キタサンブラックにかかる期待は何も宝塚記念制覇だけにとどまらない。日本競馬を代表する馬として、今の世代をけん引する存在として、次なる挑戦への期待がすでに膨らんでいる。

日本競馬界の悲願である凱旋門賞制覇――。

キタサンブラックは、その夢を叶えてくれる馬ではないかと考える者は決して少なくない。

そういう意味で、宝塚記念は重要なレースになる。仮にここで敗れるようなことがあれば、オーナーである北島三郎さんや陣営が海外挑戦を白紙に戻す可能性は十分に考えられる。

秋競馬を盛り上げるためにも、今後世界で日本馬の強さを証明するためにも、キタサンブラックには宝塚記念で結果を出すことが求められるわけだ。

(C)Ko-Mei

最も大事なことは…

ここまで長々と書いてきたが、もっとも重要なことはどんな結果に終わろうとも無事にレースを終えることだ。

特に天皇賞春はレコードタイムが出るような超高速馬場で行われ、レースは最後まで手を抜けない白熱の展開となった。馬にかかる負担も小さくなかったと考えられるわけだ。陣営はキタサンブラックの回復に尽力し、だからこそ出走にこぎつけたわけであるが、競馬というのは“見えない疲労”が突然表沙汰になることがしばしばある。

キタサンブラックが故障するようなことになれば、日本の競馬界にとって大きな損失になる。だからこそ、まずは無事にレースを終え、今後に期待を持てるような終幕になることが求められるのだ。


果たして、キタサンブラックと武豊騎手は宝塚記念で勝てるのか? それとも不安要素に飲み込まれ、苦汁をなめることになるのか?

結果が出るのは6月25日。その結末を、見逃すな。


競馬TIMESについて

keiba_times_atoz1

投稿・執筆者募集

093524

公式Twitter&FB

Twitter_logo_blue FB-f-Logo__blue_72

カテゴリー

アーカイブ

写真提供

競馬TIMESでは以下の写真家の方々にご協力いただいております

写真家一覧

※写真提供は随時募集しております。お問い合わせフォームからご連絡いただければ幸いです

ページ上部へ戻る