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(C)Yushi Machida

悲願のダービー制覇を成し遂げたのは、名伯楽の夢を背負った馬だった。

5月28日に東京競馬場で行われた東京優駿・日本ダービー(GI/芝2400m)で、2番人気のキングカメハメハ産駒レイデオロ(牡3)が、3番人気のスワーヴリチャードを押さえて勝利した。1番人気のアドミラブルは3着だった。

勝ち馬の勝因、敗れた馬たちの敗因は何だったのか? 振り返っていくことにしよう。

結果・着順

2017年 5月28日(日) 2回東京12日 天候 : 晴  馬場状態 : 良
【10R】 第84回東京優駿
3歳・オープン・G1(定量) (牡・牝)(国際)(指定) 芝 2400m 18頭立

馬名性齢
12レイデオロ牡32
4スワーヴリチャード牡33
18アドミラブル牡31
3マイスタイル牡314
7アルアイン牡34
1ダンビュライト牡37
11ペルシアンナイト牡36
8トラスト牡316
10ベストアプローチ牡311
106サトノアーサー牡35
1113カデナ牡38
1216キョウヘイ牡315
135クリンチャー牡39
1415ダイワキャグニー牡310
1517ウインブライト牡312
169マイネルスフェーン牡317
172アメリカズカップ牡313
1814ジョーストリクトリ牡318

LAP 13.0-11.2-12.9-12.8-13.3-12.5-12.1-12.6-12.7-11.5-10.9-11.4
通過 37.1-49.9-63.2-75.7
上り 71.2-59.1-46.5-33.8
平均 1F:12.24 / 3F:36.73

レース分析

まずはレースラップを見てみよう。

13.0-11.2-12.9-12.8-13.3-12.5-12.1-12.6-12.7-11.5-10.9-11.4

見ての通りの超スローペースとなった。1000mの通過はなんと1分3秒台。上がり33秒8という究極の瞬発力勝負になった。

こうなると、本当に瞬発力が優れた馬(アドミラブル)か、ある程度の位置取りで競馬をして上がりをまとめられた馬(レイデオロ、スワーヴリチャード、マイスタイル)しか上位には来られない。

なお、2分26秒9は良馬場で行われたダービーとしては2010年に並ぶ最も遅いタイムだった。この世代はエイシンフラッシュ、ヴィクトワールピサ、ローズキングダム、ルーラーシップなど粒ぞろいだったため、「タイムが遅かったから弱い世代」ということは一概に言えない。

ただし、エイシンフラッシュの年はクラシックが始まる段階で粒ぞろいで「最強世代」と言われていた。しかもエイシンフラッシュとローズキングダムがダービーで記録した上がりタイムは、それぞれ32秒7、32秒9だった。32秒台の上がりを2400mのレースで使えるというのは、ある種最大の才能の証明だった。

それに比べると今回のダービーは物足りない感が否めないだろう。上がり最速は33秒3。馬場の違いがあるため一概に比較はできないものの、前半が63秒ならより速いタイムを叩き出す必要があったのではないか。

出走馬勝因、敗因、次走への展望

1着 レイデオロ

藤沢和雄調教師の悲願を叶えた、という意味で偉大なダービー馬になった。

前半は後方に位置していたが、ペースが遅すぎると判断したクリストフ・ルメール騎手がポジションを上げていき、3、4コーナーでは2番手という絶好のポジションにつけた。結果的にこの判断が勝利に繋がったと言っていいだろう。

2着 スワーヴリチャード

最高の競馬だったが、わずかに、わずかに及ばなかった。

スタートから絶好のポジションにつけ、4コーナーで外に出して直線では末脚に懸けた。ちょうど、四位洋文騎手がウオッカでダービーを制したときと同じような競馬だったが、ほんのわずかに届かなかった。

最高のレース内容だっただけに、敗因らしい敗因は挙げられないだろう。できることがあるとすれば、究極の仕上げで臨んだため、マイナス12キロという馬体重になっていたことで何かしらの影響があった……という憶測を立てることくらいだろうか。もっとも、ここまで仕上げたからこそ好走できたという見方もあるだけに、判断が難しいところだ。

今回は最高の条件、最高の内容のレースだっただけに、次走で人気しすぎるようなら多少割り引いたほうがいいかもしれない。

ただし、ハーツクライ産駒は夏を越えて成長してくる。より強くなった形で秋を迎えることを期待したい。

3着 アドミラブル

このペースではどうしようもなかった。

ルメール騎手のように向こう正面から上がっていければよかったが、ミルコ・デムーロ騎手はそう判断しなかった。今回はその差が出た結果だ。

もっとも、向こう正面で動けば……というのはある種結果論のようなもの。アドミラブルは自分の競馬をして3着になった。今回は展開が、ペースが向かなかった、としか言えないだろう。

なお、またしても青葉賞馬のダービー制覇はならなかった。少なくとも青葉賞組の単勝馬券を買うことに大きなリスクがあるということは、覚えておいたほうが良さそうだ。

4着 マイスタイル

超スローペースを作り出した張本人。横山典弘騎手らしい天才の感性が光った逃げだった。

ハーツクライ産駒ということで東京芝2400mは合っている。その点も「驚きの4着」に繋がったと判断していいだろう。

5着 アルアイン

切れ味が持ち味ではないアルアインにとって、このペースはいくらなんでも厳しすぎた。上がり33秒7は、それでもキャリア最速の数字。この末脚を使って届かなかったのだから、瞬発力勝負に適性がなかったと判断していい。

もっとも、そんな中でしっかりと5着に食い込んだことは評価できる点だろう。皐月賞がフロックではなかったことを証明してみせた。

上がりのかかるレースで、再び真価を発揮したいところだ。

6着 ダンビュライト

絶好枠を引いたが、この馬も瞬発力勝負には全く向かなかったため、切れ負けしてしまった。絶好の枠から絶好の位置にいたが、逆に回りを囲まれて動きにくくなったことが痛かった。通常のダービーであれば絶好の位置取りだったのだが、ペースが遅くなりすぎたことでポジションの優位性を生かせなかった格好だ。

7着 ペルシアンナイト

レイデオロに続いて上がっていったが、最後伸びなかった。上がりを叩き出せない馬ではないだけに意外な結果だったが、戸崎圭太騎手いわく「ついて行った時に脚を使った分かな」とのこと。

ハービンジャー産駒は夏を越えて成長してくるだけに、今後が期待される。

8着 トラスト

先行した分、粘ることができた。

9着 ベストアプローチ

最初のコーナーでは悪くない位置取りにいたが、3、4コーナーでポジションを悪くした。結果として位置取りの時点で上位に来ることは難しかった。

10着 サトノアーサー

瞬発力勝負は得意なタイプだが、それにしても位置取りが後ろ過ぎた。4角16番手ではどうしようもない。

11着 カデナ

瞬発力勝負は得意なタイプだが、それにしても位置取りが後ろ過ぎた。4角16番手ではどうしようもない。

12着 キョウヘイ

力負け。

13着 クリンチャー

力負け。

14着 ダイワキャグニー

力負け。

15着 ウインブライト

力負け。

16着 マイネルスフェーン

力負け。

17着 アメリカズカップ

力負け。

18着 ジョーストリクトリ

力負け。


アルアインの血統や次走、将来性は?皐月賞馬になれた理由

(C)Horse Race Photo Studio

大波乱の主役になったのは、この馬だった。

4月16日に行われた3歳牡馬クラシック初戦の皐月賞(芝内回り2000m)に挑んだディープインパクト産駒のアルアイン(牡3)は9番人気の低評価を覆して1着でゴール板を駆け抜けた。1番人気のファンディーナ(牝3)、2番人気のカナデ(牡3)ら、人気馬は馬群に沈んだ。

アルアインの血統や将来性はどういったものなのだろうか? 徹底的に検証していこう。

プロフィール〜血統・誕生日・馬主・調教師・生産者〜

ディープインパクト
ドバイマジェスティ
母の父EssenceofDubai
母の母GreatMajesty
性別
馬齢3 歳
生年月日2014年5月1日
毛色鹿毛
馬主(有)サンデーレーシング
調教師池江泰寿(栗東)
生産牧場ノーザンファーム
産地安平町
馬名意味UAE東部にある遺跡群で、ユネスコ世界遺産。アラビア語で泉の意

血統評価は?

さすがディープインパクト、さすがディープインパクト産駒、という結果になった。

もっとも、正直なところ、かなり意外な結果になった。

というのも、ディープインパクト×ボールドルーラー系という組み合わせは今までほとんど重賞戦線で活躍できていなかったからだ。

レース名馬名着順人気
皐月賞G1アルアイン9
毎日杯G3アルアイン2
中山牝馬HG3リーサルウェポン1516
弥生賞G2サトノマックス6
愛知杯HG3リーサルウェポン119
シンザンG3アルアイン2
府中牝馬G2リーサルウェポン12
オータムHG3リーサルウェポン12
関屋記念G3リーサルウェポン1017
福島牝馬G3リーサルウェポン105
中山牝馬HG3リーサルウェポン125
京都牝馬G3リーサルウェポン1010
共同通信G3ハートレー1
愛知杯HG3リーサルウェポン5
ホープフG2ハートレー3
フラワーG3リーサルウェポン8
弥生賞G2トーセンワープ1212
フィリーG2サクセスセレーネ1611

集計期間:2012. 3.11 ~ 2017. 4.16

重賞ウィナーはハートレーのみ。他にはリーサルウェポンが愛知杯で馬券になったくらいだ。さらにハートレーにしても、勝ったのは2歳重賞のホープフルステークス。要するに、3歳以降の重賞で勝った馬はいなかった、ということになる。

もっとも、母系の実力が確かだったことも事実ではある。

母ドバイマジェスティはBCフィリー&メアスプリント(米GI/ダ7F)の勝ち馬で、アメリカの牝馬におけるチャンピオンスプリンターに輝いた実績を持っている。

母がボールドルーラー系、ダートGI馬ということで分かる通り、スピードの持続力に優れた血統をしている。事実、この馬、ディープインパクト産駒にも関わらず、上がり33秒台の脚を使ったことが一度もない。スパッと切れる、というよりいかに持続的な脚を使うか。それがアルアインの生命線になる。

そういう意味で今回はハマったレースだった。高速馬場で前が止まらず、長く脚を使って押し切れるシチュエーションだった。反対に瞬発力型の馬たちにとって、厳しすぎる馬場だったのだ。

なお、前述のハートレーが勝った舞台も、中山芝2000mだった。これは決して偶然ではないだろう。

次走は?

皐月賞を制したということで、当然ながら次走は日本ダービーということになるだろう。

ここで負けていればNHKマイルカップという選択肢もあったが、今となっては周りが許さないはず。

もっとも、ダービーで通用するかというと、かなり疑問符がつく。

前述の通り、今回の皐月賞はかなり持続力が問われるレースだった。一方、ダービーはある程度瞬発力が問われる馬場になるのが通例となっている。東京の長い直線で33秒の脚を使えなければ、上位進出は厳しい。

アルアインがこの試練を乗り越えられるのか、興味深いところだが、血統的な観点から見ると、不安を持たざるをえない……という判断が妥当だろう。


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