なぜサトノラーゼンはダービーで激走したのか?人気薄馬の血統と戦績が示す根拠

メンバー最速の上がりで追い込んできたサトノクラウンを、ハナ差抑えて2着を奪い取ったサトノラーゼン。日本ダービーを見ようと詰めかけた12万人を超える観衆をあっと言わせました。

1着とはいかずとも、単勝18.7倍、5番人気からの下克上は胸を張っていい成績です。

今回はサトノラーゼンの躍進の理由を探りつつ、秋の予習をしていきましょう。


目次

ダービーを走るべくして走った血統

まずは改めて血統をチェックしてみましょう。

父ディープインパクトは説明不要の名種牡馬。産駒もここ3年で日本ダービーを2勝していて、「ダービー馬はダービー馬から」という格言を証明する活躍を見せています。

母の父インティカブはロベルトを祖父に持つ種牡馬。ロベルトは3頭の日本ダービー馬を輩出したブライアンズタイムの父です。

母の母の父カーリアンは97年の日本ダービー馬・フサイチコンコルドの父です。

このように、父・母系ともに日本ダービーに縁のある血統が凝縮されていることが分かります。今回の好走は、脈々と受け継がれる「日本ダービー縁の血統」が巻き起こしたものだったわけです。

レースを使われながら徐々に成長

昨年7月にデビューしたサトノラーゼンは、日本ダービーが10戦目。初勝利まで実に5戦を要し、ほぼ月に一度のペースでレースに使われていました。

同じように夏にデビューして皐月賞を制したイスラボニータでも日本ダービーは7戦目。サトノラーゼンの方が3レースも余計に使われていたので、消耗度合いが気になりましたが、もろともしませんでしたね。

ここで効いたのがロベルトの血です。

ナリタブライアン:ダービーが11戦目
サニーブライアン:ダービーが10戦目

ロベルトを祖父に持つ2頭のダービー馬は、レースを使われながら栄冠を手にしました。

ロベルト系で栄冠を手にした残りの1頭、タニノギムレットにしてもキャリア8戦目での勝利。しかも同馬は2歳12月から毎月出走し、NHKマイルカップからダービーという厳しいローテーションを歩んでいました。前述の2頭と同じく、底力がなければできない芸当といえます。

サトノラーゼンは惜しくも2着でしたが、キャリアをしっかりと積み重ねているところはロベルト系の名馬と瓜二つ。ダービーもフロックとは言えません。

ディープ産駒初の菊花賞馬となるか

一気に世代のトップランカーとなったサトノラーゼン、秋の動向が気になるところです。

血統面をさらに掘り下げると、母母父カーリアンと母父インティカブは凱旋門賞など欧州の2400m前後のGⅠで活躍する馬を送り出していることから、スタミナも一級品ということが分かります。

ディープインパクト産駒はマイルからクラシックディスタンスを得意にしています。3000m以上の重賞は未勝利。菊花賞では2着が最高となっています。しかし、ロベルトというスタミナの裏付けを持っているサトノラーゼンなら、ジンクスを打ち破れるかもしれません。

もしも菊花賞でドゥラメンテと再び相まみえることあったら……。3冠へ向けた最大のライバルになりそうですね。

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