リアルインパクトが示した豪州遠征の価値と賞金1億円

オーストラリアのロイヤルランドウィック競馬場で4月6日にドンカスターマイル(GI/芝1600m)が行われ、リアルインパクト(牡7)が2着に入った。地元オーストラリアの3歳牡馬カーマデックに敗れはしたものの、斤量差(5キロ差)を考慮すると“誇れる2着”だったと言っていい。

改めてリアルインパクトの遠征を振り返ると、同馬にとっても日本競馬界全体にとっても、大変有意義なものになったと感じられる。改めてこの7歳馬が示した“道筋”を振り返ってみよう。

目次

新たな選択肢

まずオーストラリア遠征が“現実的な選択肢”であることを示した。

日本ではマイル路線なら安田記念まで、中距離路線なら宝塚記念まで大レースがない。距離適性の関係で高松宮記念や天皇賞春に出られない馬は、春の目標を一つしか設定できないことになる。また、ドバイは一部の有力馬しか選択できない。

となると、1600mや2000mの大レースがあり、ドバイほどレベルが高くないオーストラリアは“現実的な選択肢”と言える。

日本馬が通用することを証明

リアルインパクトはジョージライダーステークス(GI/芝1500m)で1着、ドンカスターマイルで2着となった。

こういっては何だが、リアルインパクトは日本のマイル路線における“トップ・オブ・ザ・トップ”というわけではない。安田記念に出れば中穴人気くらいの存在だろう。

そんな馬が、適性さえ合えばオーストラリア最高峰のレースで通用することが分かった。リアルインパクトのみならず、日本の競馬関係者は勇気を得たことだろう。

日本に匹敵する高額賞金

リアルインパクトはこの遠征で112万豪ドル(約1億円)を手にした。内訳はジョージライダーSで60万ドル(1着賞金)、ドンカスターマイルで52万ドル(2着賞金)だ。

もちろん、好走しなければ賞金を手にすることはできないが、1度でも上位に入れば(少なくとも)遠征費の回収くらいはできる。うまく行けば日本で走るより高額の賞金を手にできる。事実、ドンカスターマイルの1着賞金は180万豪ドル(約1億6000万円)。安田記念の1着賞金1億円よりはるかに高い。

しかもGIで好走したとなると、種牡馬としての価値も上がる。日本でGIIやGIIIを勝つよりメリットは多いのだ。(ちなみにワールドエースは結果を出せなかったが、ドンカスターマイルで8着賞金7万5000豪ドル(約685万円)を手にしている。遠征費の回収とはいかないだろうが、これだけあれば少なくない“補填”にはなるはずだ)

春の豪州遠征は“トレンド”になる?

以上のように、リアルインパクトはオーストラリア遠征が価値のあるものだと示してくれた。

また、リアルインパクトの他にもトーセンスターダムとトゥザワールドがそれぞれGIで2着となった。以前にはハナズゴールやアドマイヤラクティがGIを制し、日本馬が豪州で十分通用することを証明している。

今後は豪州遠征が“トレンド”になっていくかもしれない。

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