長距離レースはなぜ面白いのか?天皇賞春に見た競馬の魅力と醍醐味

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淀の3200mに心躍った競馬ファンは多かったのではないだろうか?

5月3日に京都競馬場で行われた天皇賞春(GI/芝3200m)は極上のエンターテイメントだった。スタートから巻き起こる熾烈なポジション争い、各馬が正面スタンド前を通り過ぎる際の高揚感、向こう正面から始まる“仕掛けあい”、そして直線の末脚勝負……。

競馬の魅力がすべて詰まったレース――。

そう思った者は少なくないはずだ。なぜ、天皇賞春は面白かったのか? なぜ、長距離GIはわくわくするのか? 今回は2回にわたり長距離レースの魅力と現状に迫っていきたい。

怒涛の展開に反応する心と体

現在、中央競馬で開催される3000m以上の平地競争は6競争のみ。他の平地競争に比べると圧倒的に少ない。

しかし一方で、長距離レースの人気は根強い。

大きな要因の一つとして挙げられるのが、展開に変化が生まれやすいことだ。

距離が短ければ短いほど、展開に変化が生まれにくい。スプリント戦はコーナー入口の順位がそのまま着順になることが少なくないし、スローペースの瞬発力勝負が増えていることで最後の直線まで展開に変化が生まれないケースが多くなった。

だが長丁場の長距離戦で展開に変化が生まれないケースは少ない。

2011年の天皇賞春を思い出してみよう。スタートからハナを切ったのはゲシュタルトだったが、一周目のスタンド前でコスモヘレノスが先頭を奪う。さらに1コーナーではなんと1番人気のトゥザグローリーが抑えきれずにコスモヘレノスを交わしてしまう。しかも、これだけでは終わらない。今度は向こう正面でナムラクレセントが押し上げて先頭へ。1レースの間に4回も先頭が入れ替わったのだ。

これだけ動きがあれば、見ている側は目が離せない。競馬場やテレビの前ではレースが動くたびに歓声やどよめきが起こったのではないだろうか。事実、京都競馬場では多くの方が声を上げていた。

魅力的な何かを観たり感じたりしたとき、人は心を動かされ、体が勝手に反応してしまうものだ。長距離レースにはファンの心を動かす力がある。あの日の淀のスタンドが、それを物語っている。

騎手たちによる“駆け引き”

同じように魅力的なのが騎手による駆け引きではないだろうか。

例えば天皇賞春や菊花賞が開催される京都競馬場は3コーナーから下り坂になっている。早めに仕掛ければ直線で失速し、仕掛けが遅れれば前にいる馬を捕まえられないという特殊なコース形態になっているため、仕掛けどころが勝負の鍵になる。言い換えると、短中距離より騎手の担う役割が多く、騎手の判断一つで結果が大きく変わる可能性があるのだ。

今年の春の天皇賞ではゴールドシップに騎乗した横山典弘騎手が向こう正面からロングスパートを仕掛けた。レースを早めに動かして他馬に余裕を与えず、スタミナ勝負に持ち込んだことでパートナーに有利な展開を作り上げたのだ。結果はご存知のとおり、過去2年の惨敗が嘘のように、芦毛の怪物は一着でゴール板を駆け抜けた。

「長丁場は騎手で買え」という格言があるのは、競馬本来の醍醐味こそが長距離戦に詰まっているという何よりの証拠なのである。

●おすすめ記事→ゴールドシップと横山典弘、天皇賞春のロングスパートに隠された“思惑”とは?

次回、長距離レースが増えない理由を分析

こんなに魅力的なコンテンツなのだから、もっと盛んに行われていいはずだ。しかし、現在は6レースしか行われていない。それが一体どうしてなのか?

今回は長くなってしまったため、次回、「長距離レースが増えない理由」を分析していくこととする。お見逃しなく。

●後編→長距離戦が増えない理由と見直すべき根拠とは?日本競馬が抱える“ジレンマ”に迫る

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