ホッコータルマエに「追い風」は嘘?メイダン競馬場のダートの質を考察

(C) Tom Morgan

ドバイワールドカップデーが28日に迫ってきている。なんといっても注目されるのは、世界最高賞金レースとして知られるドバイワールドカップだ。中東における競馬の祭典のメインレースにして最も注目を集めるレースにはエピファネイア(牡5)とホッコータルマエ(牡6)が参戦する。

レース展望を行う前に、今年から変更になったメイダンのダートコースについて考えていこう。オールウェザーからダートに変わったことで「ホッコータルマエに追い風」と報じられることも多いが、果たして本当にそうなのだろうか?

2014年まではオールウェザー

メイダン競馬場は2010年にオールウェザーを採用した。「芝とダートの中間」というタレコミで両方の路線から一流馬を招き入れる狙いがあったとされる。

だがオールウェザーは「中間」ではなく、「第3の馬場」だった。適正の差が見極めにくいため使うことに消極的な陣営が増え、特にアメリカから一流馬が参戦することはほとんどなくなってしまった。

よって、オールウェザー開催を断念し、今年からダートに戻すという判断が下された。

本当に“ダート”なのか?

今年からダートに戻ることで、日本のダート王ホッコータルマエに「追い風」とする報道が目立つ。

しかし、本当にそうなのだろうか? この点には少々懐疑的である。なぜなら、メイダンのダートは日本のダートと質が全く違うからだ。

メイダンのダートは日本のダートより、アメリカのダートに近い。

日本のダートは「砂」である。良馬場になると蹴った砂が土煙になって舞い上がるほど、粒子が細かくて軽い砂を採用している。

一方、アメリカのダートは「砂」というより「土」に近い。だから蹴りあげると舞い上がるのではなく、塊が飛んでいくイメージだ。実際に行って触ったわけではないが、映像で見る限り、日本よりアメリカに近いことは間違いない。

ご覧のとおり、明らかに日本より粘っこく、重そうに見える。

そうなると「ホッコータルマエに追い風」という表現は正しくない。

日本の「砂」で合っていても、アメリカ(=ドバイ)の「土」に適正があるかどうかはやってみないと分からないからだ。

幸騎手も「違い」を指摘

この違いは多くの関係者が認めるところである。

例えばホッコータルマエに騎乗する幸英明騎手はダートの印象について「まだ馬に乗っていないので(分からない部分もありますが)、見た目や触った感じだと粘土質っぽい。(日本のダートと比べて)こちらのほうが粘っこいですね。土っぽい」と語っている。

「粘土質」、「土」というストレートな単語が、まさにメイダンのダートの本質を示しているといえるだろう。

よって、現時点で言えることは……

1.日本のダートとは質が全く違う
2.よってホッコータルマエに「追い風」という報道は正しくない
3.ただ適正があるかどうかは走ってみないと分からない

ということだろうか。

ヴィクトワールピサ以来の快挙へ

なにやら否定的な見解を書いてきてしまったが、決して「向かい風」と言っているわけではないことはご了解いただきたい。

日本馬の活躍を願っているし、走ってみないとわからないのだから、適正があると信じて応援したいところだ。

ドバイワールドカップ制覇となれば2011年のヴィクトワールピサ以来の快挙となる。なお、日本馬はまだ海外でダートのGIを勝ったことがない。ダブルの快挙達成を目指し、ホッコータルマエとエピファネイアは大一番に望む。



JIN

JIN競馬TIMES編集長

投稿者プロフィール

東京都生まれ。スポーツ系出版社に入社してWEBや雑誌制作に携わった後、フリーランスに。2010年に開設した公式サイト『JIN競馬』でコラムや予想を執筆。2013年に『当たり馬券がザクザク!! サンデー系馬キャラ分析のツボ』を上梓。公式メールマガジンや株式会社マイナビの『競馬予想グランプリ』でプロ予想家として予想を提供中。公式サイト: http://jinkeiba.com/

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