カテゴリー:厳選コラム

ハーツクライ産駒の特徴と買い時って?鳴尾記念のマジェスティハーツから学べ

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6月7日に阪神競馬場で行われた第68回鳴尾記念(GIII/芝2000m)は、2番人気のラブリーデイ(牡5)が勝利し、重賞3勝目を飾った。

このレースで穴を開けて波乱を演出したのが単勝35倍という低評価だったマジェスティハーツ(牡5)だ。近走振るわなかったが、直線で鋭い伸びを見せて2着に食い込んだ。

マジェスティハーツの戦績を振り返ってみると、ハーツクライ産駒の特徴が面白いように見えてくる。そこで今回は、彼のキャリアを見てハーツクライ産駒の買い時を探っていこう。


生粋の穴馬ハーツクライ

今となっては忘れられているかもしれないが、ハーツクライは生粋の穴馬だった。競走馬時代、19走して1番人気は2回のみ。ディープインパクトを破った有馬記念に代表されるように、常に穴馬としてキャリアを送ってきた。

ジャスタウェイやワンアンドオンリー、ヌーヴォレコルトといったスターホースを輩出したため印象が薄れているかもしれないが、本質的には穴馬なのである。

実際、マジェスティハーツの戦績を振り返ってみると面白いことが分かる。

3歳時、500万条件を3番人気で勝つと、続く1000万条件を4番人気で連勝を飾った。勢いそのままに迎えた神戸新聞杯では7番人気の低評価ながら2着に入り、すべて伏兵という立場でレースに臨みながら菊花賞への出走権を手にしている。

その後、馬券に絡んだレースを見てみると……

大阪ハンブルクカップ 2着(4番人気)


新潟大賞典 2着(2番人気)

中日新聞杯 3着(5番人気)

鳴尾記念 2着(8番人気)

ご覧のとおり、新潟大賞典を除くと4番人気以下という低評価を覆して馬券に絡んでいる。「ハーツクライ産駒は穴でこそ!」。マジェスティハーツのキャリアを見るだけで、特徴が如実にわかるというものだ。

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ハープスターがGI1勝に終わった4つの要因とは?背負った“十字架”に迫る

(C) Yusuke Tsutaya

どうしてハープスターは桜花賞しか勝てなかったのか?

5月7日に現役を引退したディープインパクトの愛娘のキャリアに疑問を抱く方は多いはずだ。爆発的な末脚を繰り出し、他の馬にはない特別な才能を持っていることは明らかだった。それなのに、GIタイトルは牝馬限定の桜花賞だけ。否が応にも物足りなさを感じてしまう。

なぜ、ハープスターはGIを一つしか勝てなかったのか? そのキャリアを紐解くことで、彼女が背負っていた“十字架”を解き明かしていこう。


要因① 極端すぎる脚質

最初に挙げられるのは、脚質が極端すぎたことだ。最後方に構えて直線で外を回して差し切る――。それがハープスターのスタイルだった。

新潟2歳ステークスの上がり3ハロンは32秒5、桜花賞は32秒9だった。強烈すぎる、鮮烈すぎる末脚を持っていたため、このスタイルを取ることができた。ただし、追い込み一気というのは現代競馬のスタイルに合わない。

馬場造園技術の向上により、内と外の馬場差がなくなってきている。よって単純に外を回した馬は距離をロスした分、不利になるケースが多くなっている。ハープスターの脚質では、もろに不利を受ける可能性が高いというわけだ。

オークスでは好位から早めに抜けだしたヌーヴォレコルトを捉えきれなかった。凱旋門賞では外からただ1頭伸びてきたが、勝ったのは内から抜けだしたトレヴだった。機能性がなければ現代競馬でコンスタントにいい成績を残すことは難しい。言い換えると、秀逸な末脚で能力の高さを示したとしても、結果につながるとは限らないのだ。

機能性不足――。それが大きな要因の一つだった。

要因② スターとなり試作が難しくなった

新潟2歳Sや桜花賞で後方一気のスタイルを確立させたことが、彼女のキャリアを難しくしてしまった。一度ハマったスタイルを変えることは簡単ではなく、先行を試みたり、馬群の中に入れてみたりしたが、試作はうまくいかなかった。


そもそも新しいチャレンジができるような環境になかったことが陣営にとって不幸だったといえるかもしれない。鮮烈な末脚に注目したマスメディアは彼女をスターに仕立て上げた。多くのファンは「外を回せば勝てる」と思っている。本当は先行させたかったとしても、それで失敗したら批判を浴びることは間違いない。そうなると、やりたいことがやりづらくなる。しかし、試作を試みることができなかった結果、敗戦を重ねることになった。

そういった“ジレンマ”に悩まされ、ハープスターのキャリアは影を落とすことになったのかもしれない。

【次のページへ】残り2つの要因は血統と競馬界の“悲願”?

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キズナと武豊騎手の凱旋門賞挑戦断念が大正解な5つの理由とは?

(C) Yusuke Tsutaya

キズナが凱旋門賞への挑戦を断念した。

5月13日に発表された凱旋門賞(2015年)の一次登録リストの中に「KIZUNA」の名前はなかった。陣営は一昨年に挑戦して以降「再チャレンジ」を公言してはばからなかったが、登録は見送られた。事実上の「断念」と受け止めていいだろう。

ファンが多いダービー馬、しかも鞍上は武豊騎手だ。残念に思う方も多いはず。実際、私も願わくば「ダービー馬が鞍上武豊で凱旋門賞制覇」というシーンを見たかった。

ただし、この断念は決してネガティブな面ばかりではない。むしろ、以下のコラムで書いたように、キズナの将来を明るいものにするかもしれない。

●関連記事→キズナと武豊が天皇賞春で惨敗した5つの理由と英断への期待

断言しよう。凱旋門賞への挑戦を断念する判断は、大正解である。今回はその根拠を記していこう。


理由① キズナに凱旋門賞は合わない

これが一番大きな理由だ。ロンシャンの芝2400mはどう考えてもキズナが得意とする条件に合わない。キズナが生涯最高のパフォーマンスを見せたのはダービーであり、京都新聞杯だ。芝が軽い東京や京都を得意とする馬が、芝の重たいロンシャンで最高のパフォーマンスを発揮できるはずがない。

また、凱旋門賞は多頭数かつ馬群が密集した競馬になりやすい。キズナの脚質では大外を回すしかないため、どうしても距離をロスしてしまう。そうなると、好位からの抜け出しが“王道”である凱旋門賞で勝つのは難しい。

理由② 東京芝中距離がベスト条件

一方で日本の秋のGIシリーズはキズナに向いている。特に天皇賞秋とジャパンカップは東京の芝中距離で開催される。末脚が生きる舞台のため、十分勝ち負けになるはずだ。


また、天皇賞秋とジャパンカップはキズナと同じディープインパクト産駒のスピルバーグやジェンティルドンナが勝ったレースである。少なくとも凱旋門賞より適正があることは明らかだ。

【次のページへ】キズナは衰えていない?3つ目の理由は……

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長距離戦が増えない理由と見直すべき根拠とは?日本競馬が抱える“ジレンマ”に迫る

(C)sleep

5月3日に京都競馬場で行われた天皇賞春(GI/芝3200m)に心躍ったファンは多かったのではないだろうか?

スタートから巻き起こる熾烈なポジション争い、各馬が正面スタンド前を通り過ぎる際の高揚感、向こう正面から始まる“仕掛けあい”、そして直線の末脚勝負……。

競馬の魅力がすべて詰まったレース――。

そう思った者は少なくないはずだ。前回は「長距離レースの魅力」について書いた。

●前編→長距離レースはなぜ面白いのか?天皇賞春に見た競馬の魅力と醍醐味

しかし、現在JRAで3000m以上のレースは年6回しか行われていない。なぜ、長距離レースは増えないのか? 面白いのに、どうして行われないのか? 今回は日本競馬界が抱える“ジレンマ”に迫っていこう。


長距離レースが増えない理由

入れ替わり立ち替わりの展開、騎手の駆け引きなど、長距離レースにはたくさんの魅力がある。これだけ魅力的なのだから、もっと長距離戦を増やしていいように思える。しかし、現状は年6レースしか行われていない。

JRAにとってファンが望む条件を増やすことは馬券の売上向上につながるため、好ましいことだ。ただ、長距離レースは生産者たちにとって魅力的なコンテンツとはいえない。

日本の競馬で最も重要視されるのは東京競馬場の芝2400mで勝てるかどうか、だ。“すべてのホースマンの夢”日本ダービーや、国内最高賞金がかかるジャパンカップの舞台なのだから、いかに重要視されているか分かる。


「東京の芝2400mで勝てる馬作り」が生産者や調教師たちのプライオリティだとすれば、長距離レースはどうしても軽視されてしまう。加えてそこで勝った馬が種牡馬入りすると、スタミナのある種牡馬が減ってしまう。するとますます、長距離レースを目標にしようと思わなくなる。こういった構図により、長距離レースはすされてきてしまっているのだ。

軽視される長距離GIウィナー

近年では長距離GIウィナーが種牡馬入りできない事態が相次いでいる。菊花賞やメルボルンカップを制したデルタブルースや、天皇賞春馬マイネルキッツは乗馬として余生を送っている。

また菊花賞と天皇賞春を制したライスシャワーは、ステイヤー色が濃すぎたため引退できずに走り続けた結果、予後不良という最悪のバッドエンドを迎えてしまった。

こういったスタミナのある馬たちが軽視されている限り、長距離レースが増えていくことはないだろう。

【次のページへ】日本競馬が抱える“ジレンマ”と長距離レースの今後とは?

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横山典弘騎手の“ポツン騎乗”は本当に多いのか?天才の気まぐれの真相

(C) Y.Noda

横山典弘騎手は5月3日に行われた天皇賞春(GI/芝3200m)で周囲を唖然とさせる騎乗を見せた。天皇賞春で連敗中だったゴールドシップの手綱を取ると、2周目の向こう正面から捲って先頭に立ち、押し切ってみせたのだ。天才が天才であるゆえんを示し、惜しみない称賛を浴びた。

●おすすめ記事→ゴールドシップと横山典弘、天皇賞春のロングスパートに隠された“思惑”とは?

しかし一方で、“無気力騎乗”と言われても仕方がない騎乗があることも事実だ。レースに参加せず、最後方に位置取る姿は“ポツン”と揶揄されて久しい。

「天才」、「気まぐれ」、「やらず」――。

様々な顔を見せてくれる横山典弘騎手。今回のテーマは「本当に“ポツン”が多いのか?」。その真相に迫ってみたい。


“ポツン騎乗”とは何か?

そもそも“ポツン騎乗”とは何なのか? 簡潔に書くと……

「スタートしてから終始最後方に位置取り、レースに参加せず、直線だけ追って(時には追わないことも!)レースを終えること」

だろうか。昔からこういう騎乗がなかったわけではないが、2012年のオークスで改めてクローズアップされることになった。ココロチラリに騎乗した横山典弘騎手は終始レースに参加せず、最後の直線でも馬なりのまま追い出すことはなかった。レース後、物議をかもしたことは言うまでもない。

最近で言えば青葉賞におけるカカドゥでの騎乗が“ポツン”にあたる。


最後方に位置取り、直線では(多少詰まったこともあるが)ほとんど追わずにレースを終えている。レース映像を見てもらえれば、ポツン騎乗のイメージが付くのではないだろうか。

“ポツン騎乗”の定義

断っておくが、この記事ではあえて「ポツン騎乗の是非」について触れない。横山典弘騎手は何かしらの意図があってそうした騎乗をしているのだろうし、陣営もそれが分かって騎乗依頼を出している。その意志を尊重したい。

ここではあくまでもデータ的な観点から、ポツン騎乗が本当に多いのか、考察していく。

ではポツン騎乗の集計を行っていこう。さすがにすべてのレースを見返していると日が暮れるどころではなくなってしまうのため(苦笑)、以下をポツン騎乗とする。

・3コーナー、または4コーナーで最後方につけていること
※16頭立てで「7―7―12―16」のように明らかに垂れた馬は除外とする

計測地点を2箇所に設定したのは、動き出す位置が違うためだ。3コーナーからまくっていき、4コーナーで何頭か抜いているというケースはあるため、計測地点が4コーナーだけでは不十分。一方、4コーナーになると前の馬が垂れてきて、動いていないのに通過順が上がるというケースが見られる。よって、3コーナーか4コーナー、どちらか一方でも最後方なら“ポツン”と定義することが妥当と判断する。多少の誤差があるのはご容赦願いたいが、大きなズレはないはずだ。

定義に沿って2015年のポツン回数を集計したところ……

横山典弘騎手
ポツン回数/騎乗数/ポツン率
16回/196騎乗→8%

100回騎乗して8回程度、ポツン騎乗があることになる。

トップジョッキーの“ポツン騎乗比較”

これだけでは横山典弘騎手のポツン騎乗が特別多いのかどうか分からない。そこで、2015年のリーディング上位5人(5月7日現在)、福永祐一騎手、戸崎圭太騎手、浜中俊騎手、武豊騎手、岩田康誠騎手の“ポツン率”を調べてみた。


横山典弘騎手
16回/196騎乗→8%

福永祐一騎手
7回/304騎乗→2%

戸崎圭太騎手
12回/322騎乗→3%

浜中俊騎手
7回/283騎乗→2%

武豊騎手
4回/266騎乗→2%

岩田康誠騎手
9回/354騎乗→3%

ご覧のとおり、リーディング上位の騎手たちは総じて2、3%程度に収まっている。横山典弘騎手の8%というのは、相当高い確率だと断定して良さそうだ。回数の面でもダントツの“ポツン騎乗リーディング”といえよう。

繰り返すが、ここではポツン騎乗のぜひについて触れない。(他の記事で書くことはあるかもしれないが)

ただひとつ言えることは馬券を買う身、馬を応援する身からすると、馬柱に「横山典弘」の文字を見つけた時、胸にざわつく何かを感じずにはいられないということだろうか。天才的な騎乗をするかもしれないし、ポツンかもしれない。天才がどのような気まぐれを起こすのかはレースが始まってみないと分からないのだから。

果たして横山典弘騎手のポツン騎乗は続いていくのか? ポツン騎乗で大仕事をやってのけることはあるのだろうか? 注視してみていくと、面白いかもしれない。


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