カテゴリー:武豊コラム

データで見る武豊復活の根拠とは?強い馬を勝たせる技術は全盛期と遜色なし?

(C)Y.Noda

武豊騎手は2015年7月19日終了時点で60勝を挙げて全国リーディング4位につけている。

全盛期に比べると「4位」という成績は物足りない響きかもしれない。ただし、ある側面から見ると現在の武豊騎手が全盛期並みの成績を残していることが分かる。

2010年の毎日杯で大けがを負い、一時は引退もささやかれるほど勝ち星に恵まれなかったところから確実に復調している。

強い馬を勝たせる武豊

武豊騎手といえば、「強い馬を勝たせる技術」に長けている。

よく「穴馬で馬券にならない=下手」という“暴論”があるが、強い馬と穴馬では求められる騎乗技術が異なる。武豊騎手の場合、デビューから強い馬に乗り続けてきたため、強い馬を勝たせる技術に長けている。

それは元ジョッキーの安藤勝己氏も認めるところだ。以前、番組で「能力のある馬に乗せたら抜群。強い馬に乗って勝つのは案外難しいんですけど、スタートや位置取りをミスしないし、3、4コーナーでいつの間にかちゃんと動ける位置にいて、スムーズに出してくる。強い馬を勝たせる技術は抜けている」と語っている。

よって、武豊騎手が復調したかどうかは「強い馬を勝たせているかどうか」で判断できる。

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武豊騎手が決勝線手前での御法により戒告処分!油断騎乗で戒告は妥当なのか?

写真=武豊騎手公式HPの画面キャプチャ

7月5日に行われた中京8Rでカレングラスジョー(牡5)に騎乗した武豊騎手は「決勝線手前での御法(騎乗ぶり)」により戒告処分を受けた。

カレングラスジョーは直線で先頭に立ち、叩き合っていたブレイクアウト(3着)にセーフティリードを保った。すると武豊騎手は決勝線手前で追うのを緩める。しかし、大外から猛追してきたトゥヴァビエンが差しきり、カレングラスジョーは2着となってしまった。

●詳細→中京8RのJRA公式レース動画を見る

腰を浮かせたり、完全に追うのをやめたりしたわけではなかったが、追っていた手の力は明らかに緩んでいた。だからこそ、JRAの裁決委員が問題視し、戒告という処分が取られたと考えられる。

競馬界の第一人者による“油断騎乗”

はじめに書いておくと、明らかな油断騎乗だったわけではない。だからこそ、処分が「戒告」にとどまったのだろう。

事実、ゴール前50m程度までムチを使ってしっかりと追っているし、腰を上げているわけでもない。実際のところ、2、30mのところで多少手を緩めてもあまり大きな差は生じない。

ただし、今回の場合は「ハナ差」という小さな差であったことから「普通に追っていれば……」という見方が出てくるのは当然のことだ。オーナーやカレングラスジョーの単勝を買っていたファンならなおさら。普通に追って負けたのなら何の文句も出ないが、手を緩めてしまったら疑念が生まれることは避けられない。

何より武豊騎手は競馬界の顔であり、第一人者である。シンボルというべき騎手が“疑念”を持たれるような騎乗をすること自体、あってはならないことだ。

そういう意味で制裁が下されたのは妥当な判断だったと考えられる。

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ポルトドートウィユと武豊騎手をつなぐ“絆”!日本ダービーへ必勝体制

(C)minafl

ポルトドートウィユが5月9日に行われる京都新聞杯(GII/芝2200m)に出走する。

きさらぎ賞(GIII/芝1800m)で2着となり、クラシック戦線に名乗りを挙げたポルトドートウィユは前走の若葉ステークスでまさかの4着となり、皐月賞(GI/芝2000m)への出走権を取り逃した。賞金額が微妙と判断すると、早々に目標をダービーに切り替えて1冠目をパス。必勝体制でここへ挑んでくる。

今回は栄光の舞台を目指す良血馬の背景と、鞍上の武豊騎手との“物語”に迫ってみよう。

勝利を約束された系譜

「ポルトドートウィユ」はお世辞にも言いやすい名前とはいえない。非常に実況泣かせの名前ではある。実はこの名前には深い意味がある。凱旋門賞(仏GI/芝2400m)が行われるロンシャン競馬場へ向かうための最寄りの駅が由来になっているのだ。日本競馬界の悲願といえるレースに関連した名前というわけだ。

期待の高さは一口クラブの募集価格にも表れている。総額1億2000万円、一口では300万円と破格の内容で募集がかけられた。兄にGI馬ドリームジャーニーを持つあのオルフェーヴルでさえ150万円だったことを考えると、いかに高額な設定かうかがえる。

強気の金額設定の背景にはポルトドートウィユが持つ日本屈指の“血の系譜”がある。

3代母(曾祖母)は数々のGIホースを輩出したダイナカール。祖母は女帝エアグルーヴで、母のポルトフィーノにしてもOP馬でGI出走歴がある。そして、父は言わずと知れたディープインパクトだ。

勝利はもちろん、GIタイトルを手にすることが約束されたと称されても異論はない。それだけ競馬関係者が注目する馬というわけだ。

武豊騎手との出会いとその想い

ポルトドートウィユはデビューして6戦を消化。本来であれば6戦内で2勝を挙げている福永祐一騎手がそのまま主戦を担うことになるのだろう。しかし、福永騎手は皐月賞2着馬リアルスティールの主戦ジョッキー、しかも馬主は同じサンデーレーシングということで、鞍上変更を余儀なくされている。

ただ、武豊騎手に白羽の矢が立ったのは何も偶然ではない。

その大きな要因こそ、“血統背景”だ。

ポルトドートウィユの祖母にあたるエアグルーヴはキャリア19戦の内、14戦で武豊騎手が手綱を取っている。制したオークスと天皇賞秋のパートナーも武豊騎手だ。

祖父のクロフネはGI2勝を武豊騎手ともに挙げているし、母ポルトフィーノにしてもデビュー以来、主戦を務めたのは武豊騎手だ。そして極めつけに父がディープインパクトとなれば、武豊騎手が鞍上に選ばれて騎乗することに何の違和感もない。むしろ“乗るべくして乗っている”という印象を受けるのではないだろうか?

夢をつなげるか?

若葉Sでまさかの4着に終わったため、京都新聞杯では結果が求められる。ダービー出走のために、これ以上の失敗は許されない。万が一、出走できないとなると、この馬に携わった関係者の期待を大きく裏切ることになってしまう。そのことは武豊騎手が一番理解しているはずだ。

超一流の血統背景を持つポルトドートウィユと、彼の体内に流れる血を知り尽くした武豊騎手。そのコンビが日本ダービーに出走することになれば、競馬ファンとして“新たな夢”を見られることに違いない。

京都新聞杯でどのような走りを見せるのか。注目だ。

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キズナと武豊が天皇賞春で惨敗した5つの理由と英断への期待

(C) sleep

復活を期待するファンの願いは届かなかった。

5月3日、京都競馬場で行われた天皇賞春(GI/芝3200m)でキズナ(牡5)は1番人気に支持されていた。世界一を目指す日本のエースとして、多くの期待を集めていたのだ。

しかし、結果は7着。“復活劇”は起こらなかった。

なぜ、キズナは敗れたのか。いくつかの角度から分析していこう。

惨敗の理由① そもそも期待値が高過ぎる

そもそも、なぜキズナが負けるとこれほど話題になるのか?

・3冠馬ディープインパクトの産駒
・武豊との名コンビ
・日本ダービー馬
・華やかなレースぶり

人気を集める理由はいくらだってある。

しかし、冷静に考えるとキズナはGIを一つしか勝っていない。日本ダービーを勝っただけ。にもかかわらず、これだけ多くの期待を背負わせるのはかわいそうだ。

キズナは“日本一のスターホース”かもしれないが、どんな条件でも走るディープインパクトのような“完全無欠のスーパーホース”ではない。よって、普通に負ける。言い方を変えると、「負けることが不可解」という解釈はありえない。

惨敗の理由② 追い込み馬の宿命

まずはこの記事を読んでほしい。

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追い込み馬は華やかで人気を集めやすい。しかし、展開に左右されたり、前が詰まったり、外を回さざるを得なかったり、不利を受ける可能性が高い。追い込み馬に安定した成績(しかも毎回1着)を求めるほうがおかしいのだ。

実際、キズナはこの日、終始外を回して大幅に距離をロスしていた。このやり方では相当周りと実力者がなければ勝てない。しかし前述のとおり、キズナは“普通のGI馬”だ。GI馬が何頭もいるレースに出れば“出走馬の1頭”にすぎず、このやり方では勝てない。

惨敗の理由③ ディープ産駒鬼門の長距離重賞

ディープインパクト産駒はマイルから2400mまで、幅広い距離で活躍している。一方で天皇賞春のような長距離重賞はディープインパクト産駒にとって“鬼門”といえる。

初年度産駒から数えて33頭が3000m以上の重賞に挑戦しているが、通算成績は(0−7−3−23)で勝ち馬はゼロだ。2着馬が7頭出ているため、“鬼門”を突破するのも時間の問題だが、他の距離に比べて適正は低いのは確か。

キズナはマイラー説があるように、単純に距離が長かった可能性は十分にある。

惨敗の理由④ “鮮度”の低さ

ディープインパクト産駒を紐解く上で重要なキーワードとなるのが“鮮度”だ。

実はディープインパクト、フレッシュな状態でないと走れない傾向にある。特に牡馬の場合、鮮度が悪くなると実力があってもメンタル面の問題で走らなくなってしまう。

この傾向はGI馬たちのキャリアを見れば明らかになる。ディープインパクト産駒は17頭が芝のGIを勝っている。しかし、JRAのGIを複数回勝っているのはジェンティルドンナとヴィルシーナの牝馬2頭のみ。牡馬はというと……

ダノンプラチナ 朝日杯フューチュリティステークス
ダノンシャーク マイルチャンピオンシップ
スピルバーグ 天皇賞秋
ミッキーアイル NHKマイルカップ
トーセンラー マイルCS
キズナ 日本ダービー
ディープブリランテ 日本ダービー
リアルインパクト 安田記念

ご覧のとおり、GI馬は8頭いるにもかかわらず、2勝している馬が1頭もいない。 (※リアルインパクトはジョージライダーステークスを勝っているが海外GIのため対象外)

キズナはGIを勝っているし、昨年春の天皇賞で走っているため、鮮度が低かったと考えられる。ディープインパクト産駒の傾向からすると“走り時”と言えなかったわけだ。

惨敗の理由⑤ 内枠有利のレース

そしてレースがキズナに味方しなかったのも痛かった。今年の天皇賞春は完全に内枠が有利なレースとなった。上位の枠順を見てみると……

1着 ゴールドシップ 1枠1番
2着 フェイムゲーム 7枠14番
3着 カレンミロティック 1枠2番
4着 ラストインパクト 2枠4番
5着 ネオブラックダイヤ 2枠3番
6着 ホッコーブレーヴ 3枠6番

ご覧のとおり、フェイムゲーム以外は内枠の馬が上位を独占している。ラストインパクトやホッコーブレーヴはまだしも、ネオブラックダイヤが5着に来ているのだから、いかに内が有利だったかが分かる。

またフェイムゲームにしても、スタートから内に入り、ラチから2頭目の位置で競馬していた。距離ロスが少なく、外に出したのは最後の直線になってから。

一方のキズナは終始外を回り、3、4コーナーでは大幅に距離をロスしていた。これでは走れるものも走れない。

キズナは復活するのか?

これだけ多くのマイナス要素があったわけだから、惨敗しても仕方がない。むしろ、ここまで騒ぎ立てられるのはキズナやキズナの関係者にとってかわいそうなことだと感じる。

おそらく次走は宝塚記念になる。宝塚記念の適性も高くないため、おそらく復活劇を演じるのは難しいだろう。

キズナと武豊騎手に待ち受ける試練…天皇賞春と宝塚記念制覇は困難?

ただ、キズナが弱い馬というわけではない。ハマればいつでも勝てる力は持っているし、適正なレースに使われれば簡単に負けない。

そういう意味で宝塚記念や凱旋門賞を使うのはどうなのか。

ディープインパクト産駒が得意なのは馬場が軽い東京や京都の芝コースだ。馬場が重たい宝塚記念(阪神競馬場)や凱旋門賞(ロンシャン競馬場)とは適正がズレる。

本当にキズナを復活させたいのなら、(トーセンラーがそうだったように)安田記念やマイルチャンピオンシップといったマイル戦を使って刺激を与えたり、走ったことがない東京芝2000mの天皇賞秋やダービーを勝った東京芝2400mで行われるジャパンカップで久々に走らせてみてはどうだろうか?

ファンが多い馬、期待が多い馬というのは分かる。今さらマイル路線に行ったり、フランス遠征を取りやめるというのは許されないかもしれない。

しかし、ファンが本当に見たいのは適正が合わないレースで負けるキズナの姿ではなく、(たとえ王道路線でなくとも)華麗に差しきり勝ちを収めるキズナの姿である。

本当にキズナを復活させたいなら――。

選ぶべき道が、他にあるのかもしれない。陣営の“英断”に期待したい。

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武豊騎手とエイシンヒカリに“欅の向こう側に置き忘れた夢の続き”を見よう

(C)arima0208

ディープインパクト産駒のエイシンヒカリ(牡4)が、武豊騎手と新コンビを組むことになった。同馬はデビューから5連勝でオープンを突破。アイルランドトロフィーで見せた大逃げは、競馬の枠を超えて世間の注目を集めた。

そんな話題馬と武豊騎手の“出会い”は胸が踊る要素でいっぱいだ。

相性は良さそう

今までエイシンヒカリは岩田康誠騎手、和田竜二騎手、横山典弘騎手とコンビを組んできた。

どの騎手もトップジョッキーのため、パートナーとして悪くはない。ただ、岩田騎手や和田騎手は豪腕が持ち味だ。特に岩田騎手は天性の勝負勘と抜群の判断力で力の劣る馬を何頭も勝たせてきた。昨年のマイルチャンピオンシップ、今年の日経新春杯における“神騎乗”は記憶に新しい。

ただし、豪腕であるがゆえに繊細な逃げ馬に乗った時の成績はあまり芳しくない。(といってもフラットに見れば十分優秀な成績なのだが。“神騎乗”のイメージが強すぎて、逃げ馬に乗った時の印象が薄れているのかもしれない)

一方、武豊騎手は逃げ馬の乗り方を熟知している。今年のフェブラリーステークスではコパノリッキーで逃げ切り勝ちを収めたし、トウケイヘイローとの快進撃も記憶に新しい。体内時計が極めて正確で、武豊騎手が逃げるレースは一貫としたペースになりやすい。

当たりが柔らかくて馬を気持ちよく走らせるタイプの騎手のため、相性は良さそう。うまく行けば、新たな名コンビとしてファンが記憶することになるかもしれない。

欅の先にある夢

何よりこのコンビを見ていると、“ある馬”を思い出してしまう。

競馬ファンなら「武豊騎手+逃げ馬=サイレンススズカ」という図式が頭をよぎるのではないだろうか?

天皇賞秋で散った悲運の名馬は、今なお多くのファンの心に刻まれている。「あのまま走り続けていたらどうなったんだろう?」、「種牡馬になっていたらどんな仔を出したんだろう?」 いまだにそう思わずにはいられない。

エイシンヒカリがサイレンススズカ級だとは言わない。まだまだ一流の逃げ馬とはいえず、人気先行の感が否めない。

ただ、サイレンススズカも最初から強かったわけではない。徐々に力をつけ、初めて重賞を勝ったのは4歳になってからだった。

エイシンヒカリの父は、サイレンススズカの父サンデーサイレンスが生んだ最高傑作ディープインパクト。ファンを魅了する個性的な逃げに鞍上武豊……。

これだけ揃えば、夢を見るには十分ではないだろうか。

1998年11月1日、東京競馬場の欅の向こう側に置き忘れた夢が動き出そうとしている。そんな未来が見られたら、競馬ファンとしてこれ以上、胸躍ることはない。


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